寂しい、けれど、誰よりも“生きたい”人たちーーはあちゅう 著『仮想人生』

 

これは、寂しい人たちの物語だ
ページを繰った瞬間に、私(@yuu_uu_)はそう思った。

代わり映えのしない生活に刺激が欲しくて、Twitterの裏アカウントを取得する主人公・ユカ。
表では大学生、裏ではナンパ師の圭太。
妻であるユカに隠しながら、デリバリーホスト会社の社長をしている恭平。
童貞なのにひょんなことから、猫の絵が有名になってしまって困惑する直人。
恭平の元でデリバリーホストとして働く、有名ツイッタラー『暇な医大生』こと裕二。

この人たちはみんな、表の、
本来の自分に満足できないから虚構の自分を裏につくって
それを理想とすることで寂しさを埋めている

そんな、心が寂しがっている人たちの話。
けれど、誰よりも、生きたいと執着している人たちの話。

 

 

ご縁から、来年1月に発売予定の
はあちゅうさん著『仮想人生』を読みました。

 

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裏アカウントを人生のスパイスにしようとした

夫・恭平との関係は順調に思えた。
それなのに、現実にはセックスレスの期間が続いてしまっている。

刺激が欲しくて、変化が欲しくて、
料理の仕上げに加える隠し味、スパイスのような感覚で
Twitterの裏アカウントをつくった主人公・ユカ

 

「意味はないけど、顔写真を登録しておいて『いいね』がたくさんきてると
安心するんだよね。
まだ女として終わってない気がして」

 

そんな友人の言葉をきっかけに取得したアカウントをつかって、
普段は交わらない人たちとネット上だけの繋がりを増やしていく。

そんな中で、夫とは別の男性と実際に会う機会も

 

「会いたいなんて、誰かに最後に言ってもらったのはいつだろう」

 

読んでいて思ったことは、
「私はまだこの寂しさを知らないで生きている」ということだった。

人は寂しさで死ねるという話もあるけれど、
私には、数は多くないけれど濃い繋がりをもった友人がいるし、
支えてくれる家族もいる。

恋人はいないけれど、
心底欲しいと思うほど困りきってもいない。

でも、寂しさって、実はちょっとだけ憧れるんです

生への執着って感じがするから。

 

 

お互いがちょっとずつ、知らない世界を持つこと

主人公・ユカの夫である恭平。
彼のちょっとした一言が心に残っている。

 

「お互いがちょっとずつ知らない世界を持つのが理想の夫婦だ」

 

ともするとこれは、
秘密を持ちたがる男性側の体のいい言い訳に聞こえてしまうかもしれない。

けれど、彼の口から紡ぎ出される言葉は、
どんな時も正直で、嘘偽りがなかったのだと思う

この小説に登場する人物たちのなかで最も「寂しい」人だったのは、
きっと彼だ。

 

寂しさを「材料に」する物語

多種多様な寂しさを抱えた人たちが、
それぞれの生活に不思議なくらいにリンクしていくストーリー展開。

登場人物ひとりひとりの視点から順に紡ぎ出され、
繋がりがわかる構成に自然と惹き込まれていきました。

それぞれが、それぞれの人生の道標をみつけて
半信半疑ながらも進んでいく過程を追っていると
ぐっと胸がつかまれて泣きそうになります。

 

「俺の人生って一体どこにあるのだろう」

 

この物語を読み終わった全員が、
自分自身に同じ質問をするでしょう。

あなたにとって、人生はなんのための旅ですか?

 

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ABOUTこの記事をかいた人

2年前に、月残業時間100時間超え超絶ブラック企業から脱出。 書くことを仕事にしたくて奮闘するアラサーです。30歳までに本を出すことが目標! 幼少期に読んだ『ズッコケ3人組』から読書にハマり、それ以来、わたしの友達は活字です。 年間300冊の読書量から、おすすめの本を厳選して紹介します。 好きなジャンル:自己啓発・ビジネス・エッセイ・小説  (ミステリー) 好きな作家:道尾秀介・辻村深月・有川浩・窪美澄・西加奈子・住野よる
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