娘を殺したのは「誰」ですか?東野圭吾 著『人魚の眠る家』

 

子どもの頃、「意味の分からない遊び」にハマっていたことがあります。
今となっては覚えていないことも多いのですが、

 

  • ティッシュをひたすら水の中でぐるぐる混ぜる
  • 見つけたナメクジに塩をかける
  • 庭石の上を延々と跳ねてまわる

 

こういうことを繰り返していました。
大人からは言われます。
「どうしてそんなことをしてるの?」
「何か意味があるの?」

小学校に入る前の頃合いだと許されていたことが、
入学以後は途端に許されなくなり、制限されます。
勉強しなければならないという明確な理由が生まれてくるからです。

この作品、「人魚の眠る家」には、
ビーズの指輪を大切にしている女の子・若葉ちゃんが登場します。

 

ゆうゆう@旅する書評家
この若葉ちゃん、物語上では特にキーパーソンではありません

 

ですが、この子のとある行動がきっかけで、物語は装いを変えます

「どうしてそんな指輪、大切にしてるの?」
「そんなことしなければ、今頃こんなことには……」

この作品を読んだあなた、そして、
この度実写化となった映画作品を見たあなたは、そう思うことでしょう。

でも、彼女には理由があった。

私には、そう思えてなりません。

 

 

 

 

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説明できない「大切なもの」を子どもはたくさん持っている

 

私が幼少期の頃、ティッシュを水の中でひたすら混ぜていたのは、
まだ自分の歳ではできない料理に対する憧れと、
漠然とした「ものづくり」への欲の発散だと思っています。

今では説明ができるようになった物事。
それでも、子どもの頃は説明ができなかった。

うまく説明はできないけれど、それでも、
「大切だと思えるもの」を子どもはたくさん持っているものです。

若葉ちゃんにとっての指輪も、そのひとつだったと思っています。

 

 

悪いことをしたのに言えない、そんな自分をわかってほしい

 

そんな物事は、時たま
とんでもない結果に繋がってしまうこともあります

ナメクジに塩をかけているのを見つかった時は、
なぜだかよくわからないけれどとても叱られたし、

庭石を飛びまわっていた時は、足を踏み外して痛い思いをしたし。

若葉ちゃんにとって、それは、
大切な従妹の生命の危機に繋がってしまいました

命が助かるか、助からないか、
これから一体どうなっていくのか、
自分の犯した過ちの「結果」を常に目の前で見せられている感覚。

悪いことをした。
それなのに言えない。

弁解したい気持ちで心がいっぱいになる。
それでも、言えない。
そんな自分をわかってほしい。

この物語は、主人公・瑞穂ちゃんが水の事故で脳死状態に陥ってしまい、
もう既に意識の回復が見込めないと分かっているにも関わらず、
延命を諦められない夫婦のお話です。

ですが、私には、
責任感と罪悪感その両方に押しつぶされて
動けなくなっている子どもの物語に見えてなりませんでした。

 

 

親のエゴと子どもの罪悪感が併走する世界の行方

 

大切にしていた指輪が、結果的には
大好きな従妹の命の危機に繋がってしまった。

実の親のエゴ、
大変なことになってしまった目の前の現実に対して、
怖さで何も言えない子どもの罪悪感

このふたつの大きな感情が錯綜し、
併走していく世界は
どのように帰結していくのか?

映画も素晴らしいですが、ぜひ原作も手に取ってみてください。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

2年前に、月残業時間100時間超え超絶ブラック企業から脱出。 書くことを仕事にしたくて奮闘するアラサーです。30歳までに本を出すことが目標! 幼少期に読んだ『ズッコケ3人組』から読書にハマり、それ以来、わたしの友達は活字です。 年間300冊の読書量から、おすすめの本を厳選して紹介します。 好きなジャンル:自己啓発・ビジネス・エッセイ・小説  (ミステリー) 好きな作家:道尾秀介・辻村深月・有川浩・窪美澄・西加奈子・住野よる