こんにちは! 日曜日担当、ゆうゆう(@yuu_uu_)です。
今日は、運命的な出会い方をしてしまった1冊の本についてお話します。

中島桃果子さんという方が書かれた、
『誰かJuneを知らないか』という小説です。
『誰かJuneを知らないか』

まず見てほしいのは、
この作品の冒頭文です。
誰かJuneを知らないか。
月の涙と雨傘をあしらった冠をはすっぱに頭に載せて、
銀の睫毛を震わせながら歌っていたあの子のことを。
自分の片割れを探してある日どこかへ行ってしまった彼女のことを。
この作品、手に入れるまでに相当な時間がかかりました。
『ココナラ』というサイトで書評を書かせていただくお仕事をしているのですが、
この『誰かJuneを知らないか』は、そのご依頼で知った1冊。
Kindleでも配信されておらず、近くの大型書店にも在庫がなく、
2週間ほどかけてようやくAmazonに1冊だけ在庫があるのを発見し、即注文。
私が一層この作品に愛着を持つようになったのは、
出会うまでの紆余曲折があったからかもしれません。
ようやく出会えた1冊。
開いたらまず飛び込んでくるのが、この冒頭文。
僕はいまやっと、準備ができたんだ。
君が睫毛を震わせて空を見上げたならその瞬間に、
オーロラ色の傘をかざして小さく頷く準備だよ。(中略)僕はいまでもこの場所で、君の帰りを待っている。
言葉の新しい世界に、触れる
書評としては反則かもしれませんが、

その言葉、一説一節の美しさ。
日本語が元々内包している弾けるような瑞々しさ。
危なげに不安定、なのに、確かに地に足をつけているのがわかる存在感。

ファンタジーではありません。
どこまでもリアルな、現実世界の物語です。
宙を漂っているような言葉選びに、もしかしたら、
肌に合わないと感じてしまうかもしれない。
けれど、本が好きなあなたなら、言葉が好きなあなたなら、
きっとこの魅力に気づいてくれる。
そして、一緒にJuneを見つけられるはずです。
どうか、この物語を知ってください。