女子高生の徹底痛快復讐劇!渡辺 優 著『ラメルノエリキサ』

いまから5年前。
ブラック色のつよい某業界で仕事をしていました。

24時間、会社に縛られている状態。
深夜でも早朝でも関係なく、休日でも電話が鳴りやまない。

そんな生活のなか、わたしには心から憎い上司がいました。

復讐はなにも生まないのか?

自分の気分でその日の仕事を決める、
すべてが自分中心にまわっていると勘違いしているようなその上司。

彼の気まぐれで幾度となく無駄骨を折らされていたわたしは、
次第に彼を憎む気持ちがどんどんドス黒くなっていくのがわかりました。

[voice icon=”https://mybookshelf.site/wp-content/uploads/2018/05/IMG_0026.jpg” name=”ゆうゆう” type=”l”]もう我慢ならない![/voice]

忍耐力は限界値に達していました。
まさに自由奔放に仕事をし、最後の責任もすべて他人に丸投げするような上司を、
わたしが何とかしないと被害者が拡大するばかりだと思ったのです。

[voice icon=”https://mybookshelf.site/wp-content/uploads/2018/05/IMG_0026.jpg” name=”ゆうゆう” type=”l”]ヤツをなんとかして……どうにかしなければ![/voice]

そこにあったのは、紛れもない復讐心。

ちょうど、職場の目の前には勾配が急な坂がありました。
真冬の寒さが厳しい季節なんかは、それはそれは滑りそうなブラックアイスバーンに変貌します。

仕事が終わり、さっさと帰ってしまう上司が車に乗り込んでその坂を下っていく様子が、
事務所の窓から毎日見えていました。

[voice icon=”https://mybookshelf.site/wp-content/uploads/2018/05/IMG_0026.jpg” name=”ゆうゆう” type=”l”]事故れ[/voice]

わたしは祈りました。

自分で自分の手をよごす度胸はない。
それならせめて、だれも悪くない、ヤツ自身の過失でどうにかなってほしい。

滑ってくれ!
事故ってくれ!
ブラックアイスバーンによって、単身事故を!
どうか!

願いはむなしく、彼が誤って事故を起こしどうにかなることは遂にありませんでした。

わたしは悟りました。
復讐心や、実際の復讐は何も生み出さない。
そこに残るのは無力感だけであると。

女子高生りなの名言『復讐とは誰かのためじゃない。大切な自分のすっきりのためのもの』

渡辺優の『ラメルノエリキサ』を読んだ。

そこには復讐心に熱く燃える、ちょっと常軌を逸した女子高生がいた。
名前は、小峰りな。

作品の冒頭で、飼い猫の両腕を折られた腹いせに、
犯人である同級生の女の子を殺害しようとするシーンが描かれている

腕を折られた復讐として殺してしまうのはやりすぎでは? という実姉の忠告に対し、

「でも、しおちゃんはなにも悪くないミーナの足を折ったんだよ。
それに、私、ミーナが足を折られて悲しいの。(中略)
ミーナが悪くない分と、みんなが悲しい分を全部合わせたら、
しおちゃんの腕一本じゃ足りないわ」

と返すりな。さすがとしか言えない。

[voice icon=”https://mybookshelf.site/wp-content/uploads/2018/05/IMG_0026.jpg” name=”ゆうゆう” type=”l”]そうだ。わたしは悲しかったんだ。[/voice]

あの上司に、いいようにこき使われている悔しさ、むなしさ、無力感。

あのとき、自分の存在を軽んじられているようで悲しかった。

もっと、自分のことを大切にしてあげてもよかったんだ。
たいせつな自分の、すっきりのために。