正しい選択って、この世にあるのかな? 朝井リョウ 著 『武道館』

先日、ひとり旅で大阪にいってきました。
うまれてはじめてLCC(ピーチ)に搭乗したんですが、
帰りに1時間以上遅延してしまって時間を持て余したんですよね。

そんなときに、ふと空港の書店で出会った、朝井リョウさんの『武道館 (文春文庫)』。

面白くて面白くて、
待ち時間と機内にいるあいだの数時間で読み終えてしまいました。
(遅読の私としては驚異的)

 

アイドルも生身の人間である、という当たり前のこと

この『武道館 (文春文庫)』は、NEXT YOUという架空の女性アイドルグループを主軸に据えたストーリー。

女性アイドル、といえば、私はでんぱ組がすきです。
かつてはファンクラブに入会していたくらいすきでした。
(推しのもがちゃんが脱退してから興味がなくなってしまった……)

彼女たちのライブに一度だけ行ったことがあります。
函館の小さいライブハウスで開催された、女性限定のライブでした。

そこで、メンバーの夢眠ねむちゃんが言っていた言葉が印象的で、今でも覚えてる。
『ここにニキビできちゃったんだけど、もういい! 全部見せてこ!』

それを聞いて、ああ、アイドルでもニキビできるんだなあ、ってばかみたいに考えてました。

矛盾すべき二つの自分が、どちらも本当の自分だと知っているからだ

生身の人間である彼女たちのこと、
アイドルとして生きる彼女たちのこと、
どちらも地に足つけて生きている私たちと同じ人間だということ、
どうしてこのあいだに明確な線を引いてしまっていたんだろう

 

異物に対して想像力をもつ

「私はね、両立しない欲望を叶えてしまうっていう点で、女性アイドルは日常に現れた異物なんだと思ってる」

NEXT YOUとして活動する5人のメンバーたちに向けて発せられた、
振付師である女性コーチの言葉。

ここでいう、”両立しない欲望”っていうのは、
ファンから利己的に向けられる矛盾する要求のこと

毎日忙しいだろうけどブログやSNSは欠かさずに更新してほしいとか、
いつまでも可愛く綺麗であってほしいけれど、生涯だれとも恋をせず結婚もしないでいてほしいとか。

いつからか、アイドルという生き物に対して、
当たり前のように向けられるようになった相反する欲望。

“日常に現れた異物”に対して私たちが向けるべきなのは、
自分勝手なあれしろこれしろ、ではなくって、
彼女たちも命ある生身の人間なんだという少しの想像

アイドル全員が、アイドルとしての幸せも、
1人の人間としての幸せも、
どちらも両方ひとしく享受できるようになる世界に、早くなればいいとおもっています。