ラガーマンと教授の友情~ラグビーW杯日本開催に寄せて~ 『友情 平尾誠二と山中伸弥の「最後の一年」』

2019年9月20日、ラグビーワールドカップの幕が開きます。

日本で初めて開催される世界大会。

観戦に行かれるかたも多いのではないでしょうか。

ちなみに、私yurika(@bookshelf_yt07)も2試合は観戦する予定です。

話は少しそれましたが、この大会はまさに日本ラグビー史において、新たな1ページを刻むのは、間違いないでしょう。

今回はラグビーワールドカップ開催にあたり、あるラガーマンが築いた友情を語りたいと思い、この本を選びました。

『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』です。

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平尾誠二さんの生涯

平尾誠二さんというラガーマンをご存じでしょうか。

本の表紙に山中伸弥教授と一緒に写っている、ダンディーな方が平尾誠二さんです。

1963年京都府生まれの平尾誠二さんは、

  • 当時無名だった伏見工業高校で主将として出場した高校選手権で全国優勝(1981年)
  • 日本代表に19歳4か月での選出(1982年)
  • 進学先の同志社大学では大学選手権3連覇(1983年~1985年)
  • 入社した神戸製鋼で日本選手権7連覇(1989年~1995年)

と実績を残されました。

1998年に引退すると、ラグビー日本代表監督や神戸製鋼コベルコスティーラーズの総監督兼GMとして活躍されました。

このように、列挙しているだけでも、大変輝かしい経歴の持ち主なのが分かります。特に伏見工業での活躍は、ドラマ『スクール☆ウォーズ』のモデルとしても有名ですね。

ところが、平尾誠二さんに癌が襲います。癌を告知されたときはすでに肥大していたといいます。

病は体を蝕み、2016年10月20日、53歳で永い眠りにつかれました。

病気のことは、親しかった方にも亡くなるまで伏せられていたと言われています。

その中でも、山中教授は平尾さんが癌と分かってから直ぐに、知らせていたといいます。

このことからも平尾誠二さんは、山中教授に心許していたことが分かります。

山中教授との友情

お二人の出会いは、2010年の雑誌の対談だったといいます。

実は平尾誠二さんと山中教授は、同い年。

また山中教授も大学時代にラグビー部に所属されており、平尾誠二さんは憧れのヒーローだったといいます。

IPS細胞の研究により有名になった山中教授は、様々な取材依頼を断る中、この対談は実現させたといいます。

対談となると、その場の縁で終わってしまうことも多いと思いますが、二人の縁はこの場で終わりませんでした。

食事やゴルフだけでなく、最後にはお互いの家族を交えての交流になったといいます。

平尾さんと山中教授の友情は、平尾誠二さんの奥様惠子さんも、特別なものだったと感じていたようです。

主人には心許した友達が何人かいましたが、妻の私から見ても、山中伸弥先生は特別な人だったと思います。

自分が癌であることを、主人は親しい友達にさえ知らせませんでしたが、山中先生だけには、癌が見つかった当初からお話ししていました。先生は治療について親身にアドバイスをしてくださいました。

(中略)

主人の死から一年近く(当時)が過ぎた今、私たち家族に治療の面で後悔の念がないのは、山中先生のおかげです。心から信じあえる友として、癌と闘う仲間として、先生は常に主人のそばにいてくださいました。天国にいる主人ともども、心からありがたく思っています。

また山中教授も、平尾誠二さんとの交流をこのように語っています。

平尾誠二さんと僕との付き合いは、出会いからわずか六年間で終わってしまいました。せっかく知り合えたのに、あっという間でした。

けれど、四十代半ばを過ぎてから男同士の友情を育むというのは、滅多にないことです。何の利害関係もなく、一緒にいて心から楽しいと感じられる人と巡り会えた僕は幸せでした。

平尾さんはラグビー界で、山中教授は研究者として、第一線で活躍されているお二人である故、解かり合えるものがあったのかもしれませんね。

最後に

年を重ねると、心から分かり合える友情を築くことが難しくなります。

自分たち当事者だけでなく、近い家族からも特別だったと思われる二人の絆の深さに、本を読んでいる私も憧れとうらやましさを感じました。

どんな年齢になったとしても、すてきな出会いはあるのかもしれませんね。

平尾誠二さんが見ることができなかった日本でのラグビーW杯。

来るラグビーW杯を見ることができる私は、一人のラガーマンが築いた友情を思い出しながら、試合を見たいと思ったのです。

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神奈川県出身、OL。 好きなジャンルはファンタジー、ミステリー、ビジネス書、スポーツ選手・監督の著者 好きな作家は上橋菜穂子/荻原規子/宮部みゆき/東野圭吾/原田マハetcと書ききれません。 今は読書が大好きですが、かつて学生時代は読書が苦手でした。読書課題の本はすぐに飽きて、漫画ばかり読んでいました。 ですが、宮部みゆきさんの『火車』に出会い、文字の世界に引き込まれたのと同時に、自分が経験できないことは、本を読んだ時のイマジネーションが補ってくれると実感したのです。 読書離れが叫ばれて久しいですが、人生経験を妄想でもいいから、多くこなせるよう、私が書く書評記事でお手伝いしたいです。