
10月19日(金)から佐藤健さん主演の映画『億男』が公開されます。
気になってその原作、本屋大賞にもノミネートされた川村元気さん著の『億男』を読みました。
宝くじで3億円を当てた主人公が「お金と幸せの答え」を求めて冒険する物語です。
あらすじ
「お金と幸せの答えを教えてあげよう」。
宝くじで三億円を当てた図書館司書の一男は、大富豪となった親友・九十九(つくも)のもとを訪ねる。だがその直後、九十九が三億円と共に失踪。ソクラテス、ドストエフスキー、福沢諭吉、ビル・ゲイツ。
数々の偉人たちの言葉をくぐり抜け、一男のお金をめぐる三十日間の冒険が始まる。
実は、一男は弟の借金を肩代わりしており、そのせいで妻子と離れてしまったという悲しい状況にあります。
3億円を持って消えた九十九を探し出すため、九十九と親交のあった3人の億万長者を訪ねることに。
九十九の目的とは?九十九を見つけ出すことはできるのか?
冒険の中で、一男はお金に関する気づきと学びを得ていきます。
お金と幸せのあり方を説く、自己啓発の要素も入った物語です。
お金で幸せになれるとは限らない?
億万長者たちの話を聞くと、みんなどこか諦めというか、暗い部分を持っています。
お金を愛し憎む人、大金を捨てたい人、罪の意識を持ち続ける人。お金を持ちすぎたために、本当に大切なものを失ってしまったと苦しんでいます。
億万長者たちの悩みは、自分の環境とは違っていたので、イメージするのは難しかったです。でも、「お金で幸せになれるとは限らない」ということが伝わってきました。
もちろん、選択肢も広がるし、心のゆとりもできるので、お金があることはプラスだと思います。持ちすぎるとまた違ってくるのでしょうか。
もしお金を持ったとしても、人生に必要なものが何であるかをちゃんとわかっていれば、お金に翻弄されなくてすむのかもしれません。
億万長者の経験を知った一男がその後、お金に対してどう向き合っていくかにも注目していただきたいです。
落語と偉人たちの名言
この物語には、落語が大きく関わってきます。落語の要素が、この作品に感動と深みを与えていると思います。
ラストの落語のシーンは、うるっとしてしまいました。読んでいるうちに落語にも興味がわいてきます。
またいろいろな場面で、お金に関する偉人たちの名言が登場します。
- 人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ。(チャーリー・チャップリン)
- 動機はお金ではない。本当に面白いのはゲームすることだ。(ドナルド・トランプ)
お金と人生について、改めて考えたくなる本です。