絵の中に入ってみたいと思ったことはありませんか?
こんにちは、tsukiです!
子どもの頃、教科書の表紙だった井上直久さんの絵を見て、そのどこまでも続く美しい世界に本気で入ってみたいと考えたことがあります。
今回紹介する宮部みゆきさんの『過ぎ去りし王国の城』は、その夢そのもの。お城の絵に入り込んでしまう話です。
久しぶりにファンタジーな作品を楽しめました。もちろんそれだけでなく、事件の謎やヒューマンドラマもあって、面白くて一気に読んでしまいます。
絵の中の少女は誰か?
中学3年生の真(しん)は、銀行でお城の描かれたスケッチを見つけ、持ち帰ることに。そして自分の分身(アバター)を書き込むと、その絵の中に入れることを発見します。
同級生で美術部の珠美(たまみ)にアバターの作成を依頼し絵の中に入った真は、お城に閉じ込められたひとりの少女を目撃します。
彼女は誰なのか、そして、この絵の世界はどうやって生まれたのか?
主人公は中学生
大人になってから、中学生が主人公の小説を読むのは久しぶりでした。改めて考えると、中学生も中身は大人とそこまで変わらないですね。
宮部さんの描く子どもは、むしろ私よりも全然鋭くて、いろんなものを抱えながら生きてるようでした。
作品に出てくる女子生徒の珠美は、同級生からいじめられているおとなしい子。(いじめのシーンは本当に腹立たしいです!)
なんですが、絵がものすごく上手で成績も優秀。問題はあるものの家庭も裕福で、大人に対してすごく礼儀正しく接する。

たぶん珠美って、これからどんどん花開くタイプだと思います。優秀で、おそらく磨けば美人で、才能もあるけど、今は埋もれてしまっている状態。
中学時代ってなんでそういう魅力が奪われがちなんだろう。私の時代もちょっと不良な感じのの人が目立っていたのですが、今もそうなんでしょうか?
友達関係とか、カーストとか、今思うと中学生時代ってすごく狭くて窮屈な世界でした。
私も地味な生徒で、あんまりいい思い出はないです。人生で一番どんよりしていたのはこの頃だったかも。
外の世界はもっと広いのに、自分の周りが世界の全てのような気がしていました。当時の自分に、これからもっともっと自由で楽しくなるよって伝えたいです。
真も珠美もしっかりしているので、これから素敵な大人に成長していくと思います。いいことがたくさん起こってほしいです。
ファンタジーですが、中学生の葛藤や家族との問題に、うるっとしながら、たくさん考えさせられる本です。