柚木さんの書くごはんは、なんでこんなに美味しそうなんだろう…。
柚木麻子さんの著書には『ランチのアッコちゃん』や『Butter(バター)』など食べ物を中心としたストーリーが多いのですが、どれもものすごく美味しそう。
『Butter(バター)』を読んだ時にはどうしてもバターが食べたくて、途中でレーズンバターサンドを食べてしまいました。
その中で、tsukiが今回ご紹介するのは『あまからカルテット』です。
アラサーの仲良し4人組が、稲荷寿司、甘食、ハイボール、ラー油、おせちといった美味しいものをヒントに難題を解決するラブコメディです。
美味しい物語
ストーリーはきゅんとするものばかり。
花火大会で出会った彼に恋をしたり、昔はなれてしまった親友に再会したり。
アラサーが主人公なのに不倫とかドロドロした話がひとつもなくて、ほんとにいいの?と思うくらいの爽やかさです。
私は柚木さんの本に出会うまで、料理の小説を読んだことがありませんでした。
食べることは好きですが、食事にそこまで情熱をもったことはなかった。でも情熱をもって食事をすることって、丁寧に生きることにつながるんだとわかりました。
丁寧な料理の描写が、こんなにホクホク幸せな気持ちしてくれるなんて知りませんでした。
「胸さわぎのハイボール」という話に登場するハイボールの描写は最高です。まるで目の前に、特別に美味しそうなハイボールが見えるよう。
きんと冷えていて、信じられないほど口当たりが良い。炭酸のさわやかな喉越しに、ウイスキーの苦味、レモンの酸味が加わり、胸に冷たくて香りの良いミストが広がっていくかのよう。ほろ苦さがなんとも口にすずしい。
普段あまり料理ジャンルの小説を読まない人も、この魅力にはまるはずです!
女の友情にほっこり
これまでに色々な女性の恋愛・仕事の小説を紹介してきましたが、女が集まる話は面白い!
この小説のように、複数の女性が登場するとそこにたくさんのドラマが生まれます。

恋愛や仕事に一生懸命な仲良し4人組は、お互いのピンチを助け、支え合う仲間です。
女性が集まるとトラブルも起きやすいとよく言われますが、この4人は山あり谷ありの中でも不思議とうまくバランスがとれています。
女同士ってギスギスしたイメージがあるかもしれないですが、実際は結構さっぱりしていて心地良いんですよね。
この主人公たちのような友情って羨ましいです。私には、いざとなった時にこんなに支えあれる友達いるかなぁ…と思ってしまいます。
友達にも会いたくなるし、大事な人と一緒に美味しいごはんを食べたくなる、素敵な本です。