言葉の意味、その奥底の感情を感じませんか。暁佳奈著『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

はじめに

「愛してるを知りたいのです」

そんな熱烈なフレーズが印象的なお話をご存知でしょうか。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンという作品で、主人公が口にする言葉です。

アニメーションとして制作、放送されたこの作品ですが同名の小説から作られました。

アニメ自体もさることながら、それだけの表現を用いたくなるのだろうなと思わせる圧倒的に美しく宝箱のようなお話たちは、魅力的なものです。

そんな「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」についてご紹介してみたいと思います。

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あらすじ

自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)という名が騒がれたのは随分と昔のこと。

オーランドという博士が愛する妻のために作った、肉声の言葉を書き写す機械のことであった。

機械はやがて世界中へと普及し、それを貸し出して提供する機関まで出来上がる。

人形の種類は多岐に渡り、代筆業を生業とする人間もまたその名で呼ばれた。

「お客様がお望みならどこでも駆けつけます。自動手記人形サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデンです」

これは美しい自動手記人形が紡ぐ、物語。

自動手記人形「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

主人公となる少女、ヴァイオレット・エヴァーガーデンはまるで人形と見紛うほどの端正な顔立ちです。

しかし愛想は全くと言っていいほどになく、機械人形のようにすら思われることもあるような人です。

彼女の育ちは特殊で、孤児であり国が戦時中の折には少女兵として戦っていたという経歴が実はありました。

そんなあまりにも独特な環境に身を置いていたせいもあってか、感情というものに希薄さがあります。

そんな彼女が生業としているのが代筆業、自動手記人形サービス。

どこへでも望まれた場所へ駆けつけて、代筆業をこなしていきます。

その中では依頼人の心の傷を癒すこともあったり、依頼人の悲しみに寄り添うこともあったりします。

ひとつひとつの依頼が彼女の不器用な感情を刺激し、多くの感情を知っていくのです。

少女兵と少佐

自動手記人形であるヴァイオレット・エヴァーガーデンが、名前もなかった少女の頃のことです。

命令があるたびに人を殺す兵器として扱われていた彼女が出会った「少佐」と呼ばれる男性が、彼女の世界を変えていきます。

少佐は彼女にヴァイオレットという花の名を与え、不器用ながらに彼女を大切にしました。

しかし彼女には大切にされる、ということもよくわかりません。

彼女にとっては兵器として使われることが、最良であり至高であると考えていたのです。

上官と兵士であり、親と子にも似た関係でもあり、しかしそれのみには止まらないという何とも形容し難い関係な二人でしたがある任務の折にそれは変わります。

敵地への潜入任務の際、二人は大怪我を負い動けなくなってしまいます。

絶体絶命、命の危機の中で少佐から発せられた言葉は「愛してる」でした。

彼女はその意味がわからぬまま、少佐を想いそして生きていくことになります。

少佐の「愛してる」の意味を知るために、彼女は言葉と感情を扱う代筆業を選び生きていくのです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

この小説は短編集に近く、多くの短いお話がたくさん収録されており、それぞれの時々、その時点におけるヴァイオレットの姿は時に美しく、時に儚く、時に強く輝きます。

またアニメーションも去ることながら、情景の描写の美しさは圧巻ですので、本当に一度読んでみてほしいと願ってやまない小説です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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ABOUTこの記事をかいた人

稲田菜緒子

関西出身在住。 普段は事務職に明け暮れながら、本を読み文を書くのを好みます。 ジャンルは最近SFに興味があります。ファンタジーやミステリ、ライトノベルを好みがちです。 好きな作家は伊藤計劃、伊坂幸太郎、暁佳奈、高里椎奈、西尾維新(敬称略)