チーム・自分をリビルディングする 梨木香歩 著『ほんとうのリーダーのみつけかた』

こんにちは。今日は珍しく児童書を紹介したいと思います🐥私はこの本を新聞の広告で見て気になって取り寄せたのですが、手に取るまで児童書であることに気付きませんでした。

この本は著者の梨木香歩さんが昨今の新型コロナウイルスの蔓延という、未だかつて経験したことのない状況下で「どう生きるか」を考えて欲しいと願い発刊されたものです。

自粛警察という新しい言葉が生まれたり、令和の時代に村八分のような出来事が起こってしまったり。「ワンチーム」という言葉が流行語に選ばれた後にしては残虐なことがまかり通る時代になってしまいました。

人との繋がりが希薄に感じられてしまうこの頃だからこそ考えたいテーマが書かれているこの本。児童書ということで簡単に読み進められます。ぜひ秋晴れのお休みの日に読んでみてください😊

ないよう・あらすじ

非常時というかけ声のもと、みんなと同じでなくてはいけないという圧力が強くなっています。息苦しさが増すなかで、強そうな人の意見に流されてしまうことって、ありませんか?でも、あなたがいちばん耳を傾けるべき存在は、じつは、もっと身近なところにいるのです。あなたの最強のチームをつくるために、そのひとを探しに出かけよう。(本のそでにある内容説明より)

この本は

  • ほんとうのリーダーのみつけかた
  • 今、『君たちはどう生きるか』の周辺で
  • この年月、日本人が置き去りにしてきたもの

の3つの章に分かれています。私がこの中で特に心に訴えかけられ、考えさせられたのは第1章のほんとうのリーダーのみつけかたでした。

私たちの行手を阻む罠、同調圧力

ほんとうのリーダーをみつける前に、私たち人類の基本的な習性を解説するところから話を初めています。

私たち人類は大昔、基本的に群れを作って集団で生活し、互いに支え合い生き延びて来ました。まとまることで命を繋ぐことが出来たのです。

日常生活でうっかり命を落としてしまったり、腹ぺこで飢え死にしたりすることが無くなった現代の私たち。しかし、私たちの無意識の奥底には、昔ながらの「群れを作る」習性がまた残っているのです。

生き延びるために多勢につく、おかしいなと思っても従ってしまう。本来生き延びるために身に付けたこの知恵は『同調圧力』という名前に変わり、私たちが心のままに歩いていくことを難しくしているのです。

群れや圧力とは一方的に私たちに圧をかけてくるだけのものなのでしょうか。同調圧力の中に蔓延る鬱陶しさから抜け出す策は「言葉である」とこの本では説いています。

日本語を丁寧に選びとることの大切さ

本書の中ではこの同調圧力が持つ鬱陶しさを和らげる言葉の一つとして「みんなちがって、みんないい」をあげています。

群れや同調圧力は皆が同じ方向を向くことを良しとしています。そんな中誰か一人がそっぽを向いていたら?

きっとそっぽを向いている人の友達や家族は「この子は群れから外されないかなぁ」と心配になってしまうはずです。そんな不安な言葉を和らげてくれるのが「みんなちがって、みんないい」なのです。

でも、問題なのは「みんなちがって、みんないい」の言葉の意味が違う方向に進んでいることなのです。言葉が持つ本来の意味の通りに言葉が使われないと、言葉が持つ力は失われ、無力化し、さびれたパチンコ屋にいつも掲げられている花輪のように虚しいものになってしまうのです。

自分の気持ちを相手に伝える時、言葉を選んでいますか?

「マジで?」や「ヤバイね」などは汎用性の高い日本語の代表例。以前バリに行った際にタクシーの運転手さんから「What’s the meaning of YABAI in Japanese?(日本人が使うヤバいってどういう意味?)」と聞かれ、うまく答えられませんでした。タクシーの運転手さん曰く「日本人は皆『ヤバい』と言いまくっていて何を言っているのか分からない」とのこと。

『ヤバい』を普段使っている私たちはその前後の状況から『ヤバい』の意味を推測しお互いに意思疎通出来るけど、風習や習慣が違うバリのタクシーの運転手さんは、そりゃ分からないよな…と日本人を代表したつもりになって反省しました。

最近のSNSでは人々の心を鷲掴みするような、言葉巧みな表現が溢れています。口コミに惹かれて買ったけどイマイチだった、という経験は誰しもがあることでしょう。

あるものを過大に評価してしまうことは、そのものの魅力を半減させるだけではなく形容した言葉の力さえ奪ってしまう、そんなことに私たちは気付いていかなければならないでしょう。

あるものをあるがままに伝える、そのために日本語を丁寧に選ぶ習慣をつけよう。そう思いました。

これは一見、群れのこととは関係ないようですが、群れのコミュニケーションの大きな柱は、やはり言葉なのです(本文p19)

あなたの、ほんとうのリーダー

そう、あなたの、ほんとうのリーダーは、そのひとなんです。

(中略)

自分のなかの、埋もれているリーダーを掘り起こす、という作業。それは、あなたと、あなた自身のリーダーを一つの群れにしてしまう作業です。チーム・自分。こんな最強の群れはいない。(本文29p)

やっぱり、というか当然だよね、ほんとうのリーダーはその人自身なのです。

でも自分が信じられなかったり嫌いだったらどうしたらいい?そんな風に思うこともあるかも知れません。どうしたら、自分の中に渦巻く様々な顔の自分を束ねられるか、そのヒントは客観視だというのです。

本書では自分を見つめる、筋肉のようなものをつける。と表現されていました。(本文30p)

自分を一番客観視しづらい時、それは自分の力なさを感じた時でしょう。

人生は勝ち負けで表されるものではありませんが、思い通りに行かなかった時、自分との戦いに負けてしまった時にどう向き合うかで「負け」の意味合いが大きく異なります。豊な負けをしましょう、という言葉が本書にはありました。

自分が、敗者であることに向き合うことの奥深さに較べれば、勝者であることなんか、薄っぺらいことです。(本文45p)

私は人との関わりがあまり得意な方ではありません。

だからじっと家で一人気ままに生活していることが多いのです。しかし、それでは自分を客観視することは難しいな、人と交わることで一人でいる時には見せない顔が出てくるからこそ、もっと積極的に人と交流したいな、と思いました。

自分を考える時に側に置きたい1冊

新型コロナウイルスの影響でこれまでの普通が普通じゃなくなって、新しい普通が普通になってきたこの頃。

これまでの「今までそうしてきたから」が少しずつ変わり始めようとしてます。そんな時だからこそもう一度「ほんとうのリーダー」と作戦会議をする必要があるのかも知れません。

自分を考える時に側に置いておいて、たまにちょっと見返して。これからの新しい時代を迷わないために大切に本棚にしまいたい1冊でした。

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わたほん編集者。子どもの頃から本が好き。日々の忙しさに負けて本から離れた時期もあったけれど、結局本に癒され、本に励まされ、本からたくさんのことを学び、立ち上がってきました。私である意味を、存在する意義を与えて問いを投げかけてくれるのは本。