「やりたいこと」はなくていい、でも「あったらいい」のは・・・ 伊藤羊一 著『やりたいことなんてなくていい』

今回ご紹介する1冊は伊藤羊一さんの「やりたいことなんてなくていい」です。

伊藤羊一さんの本と言えばこれまでに出版された本のタイトルのインパクトが大きく、目を引くものがほとんどです。「1分で話せ」や「0秒で動け」など、短いワードで言い切れる具体的かつ印象に残るタイトルが多かったと思います。

私も過去に書評を書いています👇

こちらもぜひ読んでみてくださいね😊
この春から新社会人になる方、プレゼンの仕方や報告・連絡・相談の仕方について詳しく書かれているので、社会人が持つべきコミュニケーションスキルの基礎について学びたい人はぜひ読んでみてください。

大事なことをシンプルに 伊藤羊一 著『1分で話せ』

今回ご紹介する「やりたいことなんてなくていい」はこれまで出版された本のタイトルと異なり、なんだか具体性に欠けるような気がしましたが、読んでみたら今までの本の中で一番好きな1冊となりました。

さっちー
「あれ、これも伊藤さんが書かれた本なんだ。読んでみよう」

新型コロナウイルスが流行し、既存の働き方が見直されつつあるこの時代に「やりたいこと」について今一度考えている人も多いかと思います。そんな方にはぴったりな1冊だと思います😊

今やっていること、実は「やりたいこと」じゃなかった

著者の伊藤羊一さんの経歴を見てみましょう。

東京大学経済学部卒、1990年日本興業銀行入行、企業金融、債券流動化、企業再生支援などに従事。

2003年プラス株式会社に転じ、ジョインテックスカンパニーにてロジスティクス再編、事業再編・再生などを担当後、執行役員マーケティング本部長、ヴァイスプレジデントを歴任、経営と新規事業開発に携わる。

2015年4月ヤフー株式会社に転じ、Yahoo!アカデミア本部長として、次世代リーダー育成を行う。KDDI∞ Labo、IBM Blue Hub、学研アクセラレーター、青山スタートアップアクセラレーションセンター、Startup Weekendなど事業開発プログラムのメンター、コーチを務める。

グロービスGDBA2011年修了。2012年グロービス・アルムナイアワード変革部門受賞。
GLOBIS 知見録より引用)

一見輝かしく、成功者への道を順風満帆に歩んできたかのように見える著者ですが、本人曰く「不良社員だった」とのこと。

仕事がうまくいかずにうつ病にもなったという伊藤さん。どんよりとした日々を送っていた時に救ってくれたのは奇しくも「仕事」でした。

  • 仕事に逃げるなら全力で行きましょう。合格点ギリギリの80%でこなすのではなく、120%を目指すのです。
  • 足下の仕事を120%の力でやる。それが私なりのキャリア論のスタートです

わらしべ長者的キャリアを築きあげる「3つの極意」

伊藤さんはこれまでのご自身のキャリアを振り返ってみると、「やりたかったことをやっている」と言うよりも「当時の職場でやらなければならなかったこと」、「たまたま頼まれて始めたこと」が繋がって行った結果今がある、と振り返られていました。

このようなキャリアの作り方を本の中で「わらしべ長者的キャリア」と表しています。そしてそのわらしべ長者的キャリアの作り方は以下の方法だと解説しています。

  1. クオリティを徹底的にあげよ
    リアルな経験を積み、so what?で抽象化
  2. 常に人を驚かせよ
    驚きは「口コミ」になり、自分の可能性を開く
  3. 食わず嫌いせず、何でも引き受けよ
    「何でも頼めるやつ」という評判をつくれ

「百聞は一見にしかず」という言葉もある通り、その人自身が経験はとても貴重で他の人が取って変わることの出来ないものになります。

そんな経験をたくさん積んで、自分なりの一般論や教訓を自分の言葉で伝えられるようになること、言語化し人に伝えていくことが大事だと伊藤さんは述べています。

また、経験を積むために仕事をこなしていくことは、必然的に仕事のクオリティをあげることに繋がっていきます。仕事のクオリティを高めていくと、必ずどこかで相手がびっくりするポイントを作り出すことが出来ます。

驚きは口コミになり、あなたの評判は自然と広まっていくことになるでしょう。

自分の人生を生きるための方法

目の前のことにまずは一生懸命取り組むことが大事だと説いている伊藤さんですが、本の後半に進むに連れて仕事×人生についての話をしています。

あなたは人に語れる「自分の言葉」を持っていますか?

どんな立場にいようと「自分はこういうことをやっている」「自分はこんなことをしていきたい」という言葉をもっていますか?そんな言葉はありますか?

この本の中で一番私がグッと心を掴まれたのがこの一文です。

「私なんて・・・」「これくらい私じゃなくても・・・」「他の人でも出来る」ついついそんな言葉が口から出そうになってしまうこともありますが、大事なポイントは「やっていること」ではなく、「どんな思いでやっているのか」だと伊藤さんは述べています。

「結局この仕事を通して、自分は何をやりたいんだ?」という軸を持つことが大事なのです。

この軸を見つけ、この軸に従って仕事をすることで、やらされ感ではなく「幸福感」が生まれ、120%の力を発揮出来るようになるのです。「未来に悩んでいる人こそ、とにかく行動せよ」と伊藤さんは読者にエールを送っています。

新しいことを始めるタイミング

この本の中で「あなたは人に語れる「自分の言葉」を持っていますか?」と同じくらい好きな一文が

「目の前にある仕事に夢中で取り組むことが大事なのは分かるけど、新しいことにも挑戦したい。その見極めは?」という質問に対しての答えとなる一文、

そんなもの(新しいことを始めるタイミング)は意識しなくてもいい。勝手に繋がっていくもの」というものでした。

目の前のことに一生懸命取り組んでいると、どうしても慣れが生じてしまい「このままでいいのかな?」と思ってしまうもの。とはいえ、このままだと良くて現状維持、プラスにはなっていないんじゃないか。そう思う気持ちは私も何回も経験しました。

しかし、転機は向こうから(他の人から)もたらされるもの。その時が来るまでじっと自分の経験と実力をためること。そんなメッセージを受け取り、自分が感じる「機」と他人が感じる「機」は異なり、急ぐものではないと学びました。

終わりに

これまでの伊藤さんが出版された本は相手を動かすための話術の方法や、すぐに行動に移すための思考法など、どちらかというとノウハウ系の本でしたが、今回出版されたこの「やりたいことなんてなくていい」はこれまでの路線とは大きく異なり、これまでに書かれてきた本の効果を最大限に生かすための「マインドセット」のための本だと感じました。

これまでの著書はどちらかと言うと男性向けだな・・・。私はゴリゴリのビジネスマンじゃないし・・・。と感じていた私ですが今回の本はとても読みやすくそして何度も考えさせられる1冊でした。

これまでに発行された本が料理でいうところのレシピ本だとするならば、今回発行された本はレシピ本を作った料理人のこれまでを記した伝記のようなものでしょう。

料理人のことを知ったからこそ、この料理が生まれた、そして食べてみたいと思わせるような3武作になっていると感じました。

今時間がたくさんあるこのタイミングに、「自分の言葉」や「自分が一番大切にしたいもの」を考えてみてはいかがですか?

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わたほん編集者。子どもの頃から本が好き。日々の忙しさに負けて本から離れた時期もあったけれど、結局本に癒され、本に励まされ、本からたくさんのことを学び、立ち上がってきました。私である意味を、存在する意義を与えて教えてくれるのは本。軽めの本やビジネス本を好んで読みます。