隠されたメッセージを集めて 伊坂幸太郎 著『重力ピエロ』

こんにちわ、さっちーです🌷

過去の本屋大賞を読んでみようシリーズ、今回ご紹介するのは2004年の5位受賞作品、伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』です。

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私は伊坂幸太郎さんと同じく宮城県に住んでおります。伊坂幸太郎さんの作品は舞台が仙台市内なことがあるので読んでいると、もしかしたら私の日常のどこかで小説の登場人物とすれ違っているのかも・・・と思うことが出来、不思議な気持ちになりとても面白いです😊

過去に読んだ伊坂幸太郎さんの本です↓↓

2019年本屋大賞候補作。伊坂幸太郎 著『フーガはユーガ』(ネタバレ有り)

春が二階から落ちてきた

『春が二階から落ちてきた』というびっくりする一文で始まるこの小説。主人公は泉水と春という2人の男の子。

この2人は兄弟ではあるもののあまり顔つきは似ていません。

なぜなら弟の春と兄の泉水とは父親が異なっているのです。泉水が産まれたあと、泉水の母親は突然見知らぬ男に襲われてしまい、その結果春を身籠ってしまったのです。

半分しか血が繋がっていない泉水と春ですがお互いを思う気持ちはとても強く、春にとっての泉水はいつも頼もしい存在であり、同時に何か有事があるとお守りのように側にいて欲しいと思う存在でした。

本書の随所には幼いころの2人のやりとりや過去のエピソードがたくさん描かれており、微笑ましくもあり胸が締め付けられるようなそんな気持ちになりました。

あらすじ

この本のテーマは「放火と落書きと遺伝子」です。

泉水と春の住む町で連続放火事件が起き、2人は放火が起きた現場には必ず落書き・グラフィティーアートが描かれているということに気付きます。

泉水と春、そして入院中の父はこの連続放火事件に興味を持ち、それぞれが放火事件の規則性について調べることに。

そんな中、泉水は落書き・グラフィティーアートにもある共通点、規則があることに気付きました。

未だ犯人が見つからず、発生する連続放火。もう少しで放火犯を捕まえられそうな泉水の前に現れた謎の美女の正体、泉水の会社の顧客の正体とは・・・?

今回の小説に隠されたテーマとは?

伊坂幸太郎さんの小説は毎回社会問題がテーマとして扱われています。

今回のテーマとしては「血縁」、そして「性犯罪」というのが隠されたテーマかな?と読んでいて感じました。

物語の終盤で、病に伏している泉水と春の父親が2人に向かって「お前たちは俺の子どもだからな」と語りかけるシーンがあります。

この父と春は血は繋がっていません。しかし、立派な「家族」だと私は思います。

 

日本では「血を分けた兄弟」「血は水よりも濃い」ということわざに代表されるように「血縁関係」がとても重視されています。

しかし、私は実際の血筋はあまり関係なく、どのくらいの期間一緒に過ごしたかで家族かどうかが決まると思っています。

なのでこの本を読んで家族愛に感動した、というコメントも見かけますが「血筋」や「血縁」をあまり重視しない私にとってはこの父の「お前たちは俺の子どもだからな」は当然というか当たり前の言葉かな・・・と思ってしまいました。

 

そして一方の性犯罪。

レイプ、性行為の強要など、性犯罪はまだまだ犯罪としての認知度が低く、「隙があったのでは?」「知り合いだったんでしょ」と相手にも責任をなすりつける風習があると思います。

しかし、性犯罪は立派な犯罪です。事件に絡んだ人は間違いなくその生涯に渡って十字架を背負うことになります。

この物語の家族も皆言葉には出さないけれど、やり切れない思いを抱えながらお互いに支え合って生きています。性犯罪の被害者がなぜこそこそと笑われながら生きていかなければならなかったのでしょう。

性犯罪が立派な犯罪だと周知され、悲しい思いをする人が少なくなればいいなと思いました。

終わりに

伊坂幸太郎さんの小説はストーリーの続きが気になりページをめくる手が止まらなくなるのと同時に、隠されたテーマについて考えるきっかけを与えてくれます。

私が泉水だったら、私が春だったら、私がこの2人の父親だったら、何を感じどういうメッセージをお互いにやりとりするのかな・・・と考えながら読み進めました。

小説の中で生まれた謎が解決したとしてもスッキリせず、どこかわだかまりを残したまま物語が終わってしまうのが伊坂さんの作品の最大の特徴だな、と思います。

読んだ後にズシンと重く心に響く1冊です。

ABOUTこの記事をかいた人

わたほん編集者。子どもの頃から本が好き。日々の忙しさに負けて本から離れた時期もあったけれど、結局本に癒され、本に励まされ、本からたくさんのことを学び、立ち上がってきました。私である意味を、存在する意義を与えて教えてくれるのは本。軽めの本やビジネス本を好んで読みます。
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