統帥権とは何か 半藤一利 著『語り継ぐこの国のかたち』

こんにちは。
ミズエ(@osoranokanatahe)です。
また暑い8月がやってきました。
8月といえば、終戦記念日です。
15日には令和初の終戦記念日を迎えます。

今回は、改めて、戦争や平和の意味について考えたいと思います。

ということで、昭和史の権威である半藤一利さんの『語り継ぐこの国のかたち』という本を読んでみました。

今回は第一部の「日本のノー・リターン・ポイント」という章から、統帥権問題とは何か、よく言われる軍部の暴走とは何が原因なのかについて説明したいと思います。

半藤一利氏について

半藤一利さんは昭和5年(1930年)、東京生まれ。
東京大学文学部卒業後、文藝春秋入社。「週刊文春」「文藝春秋」編集長、専務取締役、同社顧問などを歴任しました。
近現代史、特に昭和史に関し人物論・史論を、対談・座談も含め多く刊行しています。

なぜ軍部は暴走したのか

よく、満州事変から日米開戦に至るまでの経緯、結果としての敗戦の原因が「軍部の暴走」という言葉で説明されているのを目にしませんか。

以前から、なぜ軍部は暴走したのか?統帥権とは何かという問いがわたしの中にありました。

鍵となった統帥権

暴走の鍵となったのが統帥権です。

統帥権という化け物が昭和を滅ぼした。

これは司馬遼太郎氏の言葉です。

どのような意味でしょう。

半藤氏は、この章で統帥権がなぜ軍部の暴走をゆるしたかについて考察しています。

統帥権とは軍隊の最高指揮権のことです。
旧憲法下では天皇陛下の大権として、政府や議会から独立したものとされていました。

その背景には、明治十年(1877年)の西南戦争という経験がありました。

西南戦争

西南戦争とは、薩摩の武士団と、新しい徴兵制による新政府軍との戦いです。

新政府である明治政府としては、徴兵した兵隊で負けるようなことがあれば、政府が倒壊しかねないという危機感がありました。

それゆえ、最新式の兵器を大量に外国から買って兵隊に持たせ、ともかく勝たなければいけなかった。

ところが、その最新式の兵器をもった一連隊を動かすために、当時はその都度政府にお伺いを立てなければなりませんでした。

政府が会議を開いて認可して、はじめて兵を動かすことができる。

そのため、臨機応変の迅速な対応ができなかったといいます。

そこで、山縣有朋などの考えで、西南戦争の後、軍を天皇直属にして、いちいち政府にお伺いを立てなくても済むような独立した体制にすることにしました。

統帥権の確立

統帥権というものを天皇にあずけ、天皇が大元師陛下から、陸海軍の参謀長に直接に命令が下される。つまり天皇直率です。

天皇の命令によって戦うため、統帥権は天皇にある。
総指揮官は、その委託を受けているという体制にしました。

つまり、戦争をするのも天皇、終戦・講和をするのも天皇ということです。

軍が政府を通さず、天皇の許可をもらえるようになった

さらに大事な点として、帷幄上奏(いあくじょうそう)権の独立があります。

通常、内政と外交の場合、天皇陛下に上奏申し上げるのは、総理大臣以下閣僚です。

しかし、軍や作戦に関することは、すべて参謀総長ならびに軍令部総長の判断で、内閣とは関係なく、上奏ができます。

つまり、陸海軍の作戦部は、自分たちの独自の判断で天皇陛下に上奏して、許可をもらうことができるのです。

(政府には、海軍大臣、陸軍大臣はいますが、これらは軍政をやるのみで、実際の戦略や戦術のほうには介入できませんでした)

軍部のコントロールが不可能に

半藤氏は、

統帥権問題は、国家の政策と軍の作戦計画とが合わない場合はどうするかなど、将来の大問題になることは間違いなかった。

と述べています。

結果として、これが後に軍部のコントロールが不可能となり、のちのち第二次世界大戦までの軍部の暴走をゆるすことになりました。

終わりに

個人的なことですが、長女がもうすぐ6歳を迎える歳となり、以前より日ごろから様々な事柄に対して「なぜ?」「どうして?」という疑問を呈することが多くなりました。

いつか、娘や息子に「戦争」を語れるようになるために、歴史や戦争に関する本を読んで、自分なりの理解を深めたいと思っています。

最後に、半藤氏は以下のように述べています。

難局に対処するための処方箋は
ほかのところにはなく、
歴史のなかにある、
とわたくしは
あらためて思っているのです。

歴史を学ぶ意味も合わせて、未来の子どもたちへ伝えていけたらと思っています。

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ABOUTこの記事をかいた人

北海道在住。2児の母。濫読、雑食の活字中毒。よく読むジャンル:小説、ビジネス、エッセイ、歴史、新書。好きな小説家:平野啓一郎、村上春樹、宮部みゆき作品(敬称略)読者の皆様の本との一期一会のお力になれますように。
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