今、なぜ、スロー・リーディングが求められるのか? 平野啓一郎 著『本の読み方 スロー・リーディングの実践』

こんにちは。初めまして。

今回から、書評を書かせていただくことになりましたミズエ(@osoranokanatahe)です。

北海道在住の2児の母です。

子どもの頃から読書が好きで、暇さえあれば活字を読んでいる活字中毒人間です。

 

今回は平野啓一郎さんの『本の読み方 スロー・リーディングの実践』という本をご紹介します。

 

最近は書店の棚で「読書術」「速読」等、本の読み方に関する本が多く出てきていますね。

読書が好きな人、苦手な人を問わず、本の読み方についてなんらかのヒントがほしいという方には、この本は非常に大切な何かを与えてくれる本です。

今回は、この本の中から、スロー・リーディングとは何か、その醍醐味とは何かについて紹介させていただきます。

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はじめに

 

「一日が24時間では足りない」

 

日々生活していく中でこのように感じることがありませんか。

わたしもよくそれを感じます。

読みたい本がたくさんある。書店に行くと、ついあれも読みたい、これも読みたいと本を買ってしまう。

図書館に行っても同じように、読んでみたい本と出合ってしまい、その本も手に取る。

ですが、気が付くと、家事や子どもの世話に追われて、読む暇がない。

子どもたちの就寝後に本を読もうと思っても、寝かしつけと同時に自分も寝落ちしてしまう。

結果、読みたいけれど、読んでいない本、積読が溜まっていきます。

積読を解消するために、短時間で今よりもっと早くかつ効率的にたくさんの本を読めないものか、と思ってしまいます。

 

平野さんは、このような状況を下記のように指摘します。

 

私たちは、日々、大量の情報を処理しなければならない現代において、本もまた、「できるだけ速く、たくさん読まなければいけない」という一種の強迫観念にとらわれている。

 

知らず知らずのうちに、わたしもこの強迫観念にとらわれていました。

 

平野さんはそれから解放されるための鍵として、「スロー・リーディングの実践」を提案しています。

 

スロー・リーディングとは何か?

 

平野さんは、「スロー・リーディング」とは、一冊の本にできるだけ時間をかけ、ゆっくりと読むことである、と述べています。

 

鑑賞の手間を惜しまず、その手間にこそ、読書の楽しみを見出す、そうした本の読み方のことです。

同時に、一冊の本を、価値あるものにするかどうかは、読み方次第、とも言っています。

なぜなら、そういった姿勢で読書することによって、書き手の仕掛けや工夫を見落とさないでいることができるからです。

たとえば、推理小説であれば、最後の謎解きのための「伏線」に注意して本を読むと思います。

 

その伏線は、実は、他のジャンルの小説にも様々に張り巡らせており、それだけではなく、論文やエッセイの中にも大抵、仕込まれている

 

平野さんも、小説を書くときには、実は些細な点にまで、いろいろな工夫を施していると言います。

実際、読者からの感想を読んでいると、ちゃんとそこに気がついてくれ、その分、小説を深く理解し、楽しんでくれる人たちが必ずいると説明しています。

わたしはこの本を読むまで、早く大量に本を読めれば、その分、有意義な時間が増えると思っていました。

しかし、このような「伏線」の存在に気が付けないほどスピード重視の読書の仕方では、本を味わって読む、本当の面白さを知ることができない。そこが盲点になっていたのです。

 

読書量は、自分に無理なく読める範囲にとどめることが重要であると言えます。

 

スロー・リーディングできる範囲を超えると、「伏線」を見落とすことに繋がり、結果、読書が不完全で味気のないものになってしまう可能性があるからです。

 

読書は終わったときから始まる

 

平野さんは、読書の面白さの一つとして、

「読んだ本について、他の人とコミュニケーションが取れること」

を挙げています。

感動した本を人に薦めたり、読んだ感想を語り合ったりすることは楽しいですよね。

「感想が異なる場合は、その異なる点がどう異なるかを話し合うことで、自分の考えの幅を広げることができる」とも述べています。

それは自分を豊かにして、思考に奥行きを作ることに繋がると思います。

 

読書は、読み終わったときにこそ、本当に始まる。

ページを捲りながら、自分なりに考え、感じたことを、これからの生活にどう生かしていくか。

―読書という体験は、そこで初めて意味を持ってくるのである。

 

スロー・リーディングにはアウトプットを促すという一面もあるのではないでしょうか。

速さだけを重視した表面的な本の読み方だと、なかなかアウトプット自体が出にくいのではないかと思います。

 

 

最も疎遠な人、つまり「自分自身」

 

スロー・リーディングすることで、本の筆者とじっくり向き合うことができます。

また、その本を元に、これまでよりもっと深く他者と話し合うことができます。

それは、新たな自分を発見する契機となるかもしれない。

 

それ(スロー・リーディング)は、特別の場所も、相手も必要なく、普段、最も疎遠な人、つまり「自分自身」と向き合うための時間である。

仕事が忙しいと、なかなか本を読む時間も取れなくなってくる。読めて、ビジネス書くらいだろう。それはそれで有意義かもしれないが、やはり仕事の一環であるには違いない。肝心の自分は置き去りにされたままである。

一日にほんの僅かな時間でも、スロー・リーダーであることは、公私にわたって自分自身を見失わないためのよりどころとなるだろう。

 

普段、最も疎遠な人。つまり「自分自身」。

言いえて妙です。

自分はそもそもどういう人間なのか。

スロー・リーディングはいろいろな問いをわたし達に投げかけてくれるかもしれません。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

北海道在住。2児の母。濫読、雑食の活字中毒。よく読むジャンル:小説、ビジネス、エッセイ、歴史、新書。好きな小説家:平野啓一郎、村上春樹、宮部みゆき作品(敬称略)読者の皆様の本との一期一会のお力になれますように。