「読解力」とは一般的に文章を読み、その内容を理解する能力のことをいいます。
では「大人の読解力」とは…?
今回ご紹介するのは、斉藤孝氏の著書『大人の読解力を鍛える』です。

私は一般的な読解力を鍛えるための本だと思って、本書を購入しました。
しかし本書で「大人の読解力」は、以下のように定義されています。
日常生活で接するあらゆる情報から、その真意を正しく読み取る能力のこと
現代では、コミュニケーションの手段として会話だけでなくメールやSNSなど多くの手段が利用されています。
また情報を得る媒体は、新聞・テレビ・本だけでなくウェブメディアや個人のブログなど多く存在しています。
現代を生きていく上で、これらの多くの情報の中から必要な情報・正しい情報・相手が伝えたい情報をくみ取る力を鍛えていくことは非常に重要なことです。
- コミュニケーションをとるのが苦手な方
- 情報が多すぎて戸惑っている方
上記の方をはじめ、多くの大人たちにおすすめの1冊です。
目次
大人が求められる読解力とは

著者の齋藤孝氏は、本書『大人の読解力を鍛える』の「はじめに」で大人の読解力を以下の様に定義しています。
読解力といえば一般的には、「文章を読んで内容を正確に理解する能力」のこと。
しかし本書で扱う「大人の読解力」とはその解釈をもっと広げて、日常生活で接するあらゆる情報から、その真意を正しく読み取る能力のことを指しています。
ー『大人の読解力を鍛える』P.11より引用
文章だけでなく、会話の中やSNS上でのやりとり、テレビから流れてくる情報…
多くの情報の中から真意を読み取る力のことを大人の読解力とし、本書では大人の読解力を磨く方法について紹介されています。
会話読解力/情報読解力

ここでは、『大人の読解力を鍛える』の第2章で取り上げられている「会話読解力」と「情報読解力」についてご紹介します。
コミュニケーションをとる上で必要とされる「会話読解力」
「会話読解力」とは、コミュニケーションをとる上で相手の発言の真意を理解する力のことをいいます。
- 文脈のつながりを把握し、相手の発言を理解する力
- ジョークを理解する力
- 日本人特有の謙遜している姿に気づく力
上記に挙げたような「会話読解力」を鍛えることが、現代社会のコミュニケーションでは求められています。
情報過多の時代に生きる私たちが身に着けるべき「情報読解力」
「情報読解力」とは、テレビ・新聞・インターネットなどあらゆるメディアの情報から、正しい情報をくみ取る力のことをいいます。
インターネットが普及している現代、情報過多ともいえるほど多くの情報が飛び交っています。
そして、その情報のすべてが正しいものだとは限りません。
SNSの普及や、個人がメディアを立ち上げられるようになったことから、情報発信は以前より身近なものになりました。
世の中にあふれる情報は、そのすべてが正しいとは限りません。
そこにはまったくのウソやデタラメ、根拠のない情報、誇張や偏りのある情報など、不確かで怪しい情報も数多く混在しています。
ー『大人の読解力を鍛える』P.83より引用
私たちに必要なのは、多くの情報の中から正しい情報を識別し、判断する力なのです。
「大人の読解力」の鍛え方

では、具体的に「大人の読解力」はどのように鍛えていけばよいのでしょうか。
ここでは「情報読解力」に焦点を当てて、本書の中から特に印象に残った部分をご紹介します。
「情報読解力」を鍛える(1)|ネット情報はまず疑ってみる
「まず疑う」は、月並みな言い方をすれば「情報を鵜呑みにしない」ということ。
そのためには目の前の情報に対して常に批判的な視点を持っておくことが大事になります。
ー『大人の読解力を鍛える』P.86より引用
ネット上に溢れる情報を見た時には、まずは疑ってみるようにしてみましょう。
2020年の新型コロナウィルスの流行で、トイレットペーパーが品薄になるという誤った情報に踊らされトイレットペーパーが店頭から消えたのは、つい最近のこと。
こういった情報が流れた時に、ただ信じるだけでなく情報の発信元を調べてみたらどうなったでしょうか。
発信する側が正しい情報を発信することはもちろんですが、受け取る側も「まず疑う」クセをつけるべきです。
「情報読解力」を鍛える(2)|不確かな情報は必ず「裏を取る」
疑わしい情報に遭遇した際、どうすればよいのでしょうか。
齋藤孝氏は、疑わしい情報を「多角的かつ徹底的に調べてみる」ことが重要であると述べています。
「裏を取る」とは、情報の真偽を識別できる証拠を集めて事実関係を確認すること。
容疑者の不確かな供述の裏を取る刑事のように、不確かな情報があったら事実関係を徹底的に調べて真偽を確かめる。
ー『大人の読解力を鍛える』P.89より引用
事実関係を確認するには、まずはネットで検索した上で最終的には新聞記事や雑誌記事などの活字情報でチェックすることが必要です。
新聞社や出版社は、正しい情報を発信するために事実確認や表記の誤りをチェックするといったシステムが構築されているため、事実である可能性が高いからです。
「情報読解力」を鍛える(3)|読解力を鍛えるトレーニング
『大人の読解力を鍛える』の第3章では、実際に読解力を鍛えるためのトレーニング方法が紹介されています。
- 文学
- 新聞やネット
- 歌詞
- 映像と絵
- スポーツ
日常生活で触れるさまざまなモノを通じて、読解力を鍛えるトレーニング方法が紹介されているので気になる方は本書をぜひ手に取ってみてください。
おわりに|『大人の読解力を鍛える』をどう生かすか

私は『大人の読解力を鍛える』を読んで、特に「情報読解力」を鍛えることの大切さを改めて感じました。
誰でも簡単に情報発信ができる現代だからこそ、正しい情報を見極める力を個人が持つことはとても重要です。
情報の出所を調べるクセをつけることは、今すぐにでも始められます。
また、齋藤孝氏は本書の最後でこう述べています。
私たち現代人が持つべき読解力とは、こうした「社会に適応するための総合的なスキル」のことを指します。
そして、その総合的な読解力を養うためにもっとも効果的なトレーニングとなるのが「読書」「文学を読むこと」なのです。
ー『大人の読解力を鍛える』P.194より
これからも多くの本を読むことでさまざまな知識を得て、正しい大人の読解力を鍛えていきたいと思います。
ぜひ皆さんも、大人の読解力について今一度考えてみてはいかがでしょうか。
わたしの本棚には、他にも齋藤孝氏の著作の書評があります。合わせてどうぞ!
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