リアルで、非リアルなSNS小説。はあちゅう 著『仮想人生』

こんにちは、ノンノ(@nonno_osaki)です。

2019年1月に発売された、はあちゅう氏『仮想人生』を読みました。

わたしの本棚では今回『仮想人生』をリレー本として、わたほん書評ライターたちで順に読みそれぞれが書評を書くという取り組みをしていました。

ひとつの本に対してそれぞれ捉え方が異なり、皆の書評が良い味を出しています。

他の書評ライターたちがこれまでに書いた書評もぜひご覧くださいね。

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著者はあちゅう氏について

慶応義塾大学に在学中にブログをはじめ、ブロガーとして活躍します。
ブログでスポンサーを募り世界一周旅行をしたというエピソードは有名な話。

現在は「ブロガー・作家」という肩書きで雑誌の連載やエッセイ、小説の執筆を行っています。

2018年にAV男優のしみけんさんと事実婚をしたことでも話題になりました。

はあちゅう氏が大学生の頃は2004~2008年頃でしょう。
私は彼女と同じ歳なので当時のSNS事情はよく覚えています。

のんの
mixiが流行ってたなぁ…ブログをやってる人はいたけれど、今ほど多くはなかった…
大学のサークル活動の一環でホームページを作ってはみたけど、今とは全然レベルが違う…
スマホなんてもちろん無くて。パカパカの携帯かスライド式携帯かの2択…っていう時代。

そんな時期からブログ界で有名なはあちゅう氏。
SNS界の女王と呼べる経歴・実績の持ち主でもあります。

『仮想人生』のあらすじ

あらすじ

大人なんだから自分の寂しさくらい自分で処理しなきゃいけない。

だから、結婚3年目・33歳のユカは、夫の帰りを待つだけの夜に耐え切れず、ツイッターで裏アカウント「人妻の美香」を生み出した。

自堕落な世界をただ見学するつもりだったのに……。

はあちゅうにしか描けない、SNSで行きかう人間の欲と愚かさとやさしさの物語。

引用元:cakes

『仮想人生』では様々な登場人物がTwitter上で生み出した「裏アカウント」をテーマに扱っています。

裏アカウントとは、

ソーシャルメディアなどにおいて、自身のアカウントとして開設した本来のアカウントとは別に、秘密裏に設けた匿名アカウントのこと。

引用元:https://www.weblio.jp/content/%E8%A3%8F%E5%9E%A2

と定義されています。

『仮想人生』の登場人物

『仮想人生』に出てくる登場人物は、それぞれTwitterの裏アカウントを持っています。

裏アカウントを通してつながった登場人物たちがそれぞれ出会い、関わり合いながら少しずつ前に進んでいく様子がえがかれています。

ユカ

人妻の美香「結婚四年目セックスレス人妻。DM開放しています」

33歳、専業主婦。夫の恭平は人材派遣会社の社長。

「笑顔で遅くまで働いてきた旦那を労うのが妻としての役目のはずだ。」

と言いつつ、夫の帰りが遅く3か月セックスレスが続きふと寂しさを感じるようになる。

ある日「人妻の美香」の名で裏アカウントを作り刺激的な世界に足を踏み出す。

鉄平

圭太「ストナン/ネトナン/ティンダー/ナンパ/主戦場は獅子と犬/ナンパ師の方、絡んでください!」

23歳。新宿のアパレルショップで働いている。ナンパ師

Twitterはナンパの記録を記している。次から次へ女の子をナンパし、セックスすることを繰り返している。

工藤直人

ナオ「大学生です。もしよければフォローしてください」

20歳。モテない童貞の大学生

将来は画家を目指している。ある日、趣味で描いていた鉛筆画がTwitterで拡散され注目を集めていく。

裕二

暇な医大生「面白きこともなき世をおもしろく。精神科希望」

21歳。大学生。Twitterのフォロワー数は8万人。

Twitterのフォロワー数の多さと大学がつまらなくて始めたデリバリーホストの仕事に誇りを感じている。

ねね@童貞ハントFカップ「アラフォーのドMです。都内在住。童貞さん、学生さんウェルカム。DM、リプ、気まぐれだけどちゃんと返します」

42歳独身の会社員。仕事での成績は非常によく収入も多い。

「昼に私以上の私を完璧に演じるために、夜は、知らない男と心を交わさないセックスして、安いだけの食べ物を胃がぱんぱんになるまで体の中につめて、吐いてとことん無駄にする。

もう40代の若くもない女がみじめで、みっともなくて、だからこそ安心する。」

Twitterで知り合った若い男性とのセックスと、過食嘔吐で精神のバランスをとっている。

恭平

ユカの夫。ユカには人材派遣会社の社長をしていると言っている。

「お互いがちょっとずつ知らない世界を持つのが理想の夫婦だ」と考えている。

「もし、別の人生を生きることができたなら…」

Twitterを舞台にした『仮想人生』

読んでいて感じたのはすごくリアル。だけど、すごく非現実的ということでした。

登場人物それぞれが抱える寂しさや苦しさ
SNSを通して見える繋がりの薄っぺらさと深さ

スマートフォンがまだ無かったころに流行した携帯小説を思いだすようなライトな語り口に反する重たい空気

「私がもし、別の人生を生きることができたなら…」

誰もが考えるであろうテーマに関して、現代ではSNSを通じて誰かになりきるという手段があるということを改めて感じました。

同時にSNSで繋がっている人の得体の知れなさを思い、ぞっとしました。

私にとっては登場人物それぞれが抱える思いはリアルなんだけど、なじみのない裏アカウントが絡み合う点が非リアルなストーリーでした。

まとめ

現代ではコミュニケーションのメインツールとなっているSNS。

SNSのリアルと、現代を生きる人間の寂しさや苦しさを感じるストーリーです。

読んだ後は、なんとも言えない爽快感モヤモヤ感があります。

 

ぜひ、書店で手にとってみてくださいね。

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※今回、プルーフ版をわたしの本棚メンバーでお借りしたため引用部分が出版されているものと異なる場合があります。ご了承ください。

 

ABOUTこの記事をかいた人

東京在住、32歳フリーのライター。 よく読むジャンル:ミステリー、恋愛、 好きな作品:村上春樹、嶽本野ばら、伊坂幸太郎、石田衣良、江國香織(敬称略) “クローズドサークル“もののミステリーに萌えます。 どろどろグログロの殺人系と涙が止まらない程美しい恋愛系が好きです。 読書は最高のエンターテインメント!皆様に楽しんで頂ける書評を書いていきます。