「憂鬱な日はミステリーを読む」が子どもの頃からの習慣のひとつ。ノンノ(@nonno_osaki)です。
今回ご紹介するのは、2019年1月25日から公開されている映画の原作である冲方丁『十二人の死にたい子どもたち』です。

発売されて間もなく、近所の図書館で本書を見つけタイトルに惹かれて借りました。
一気に読みきったことを覚えています。
今回、映画化された記念にkindleで購入し再読。内容を思い出しながら流し読みするつもりが…
再びしっかり読み切ってしまった本作をご紹介します。
目次
冲方丁、初のミステリー作品
作者の冲方丁(うぶかた とう)氏は小説家でもあり脚本家でもあります。
SF作品『マルドゥック・スクランブル』、時代小説『天地明察』の執筆、また『攻殻機動隊 新劇場版』などの脚本を手掛けています。
SF作品が多く高く評価されてる冲方氏が、初めて挑んだミステリー作品が本作『十二人の死にたい子どもたち』です。
チャットのような会話だけで物語が進んでいく、いわば戯曲みたいな小説が書きたいと思っていて、それなら『十二人の怒れる男』みたいなやつがいい、登場するのは子どもたちだけで……とそこまでは考えていたんです。
引用元 文藝春秋BOOKS 構想12年の力作、冲方丁長篇ミステリー『十二人の死にたい子どもたち』に込めた想いとは──後編
アメリカで大ヒットしたドラマ・映画『十二人の怒れる男』のオマージュ作品とも言える本作。
密室空間において十二人が議論し合う。
単行本で404ページに渡る内容を閉じ込められた空間の中で議論する12人の会話とそれぞれの心情で構成されています。
あらすじ(※後半ネタバレあり)
廃業した病院にやってくる、十二人の子どもたち。
建物に入り、金庫を開けると、中には1から12までの数字が並べられている。この場へ集う十二人は、一人ずつこの数字を手にする決まりだった。
初対面同士の子どもたちの目的は、みんなで安楽死をすること。病院の一室で、すぐにそれは実行されるはずだった。しかし、十二人が集まった部屋のベッドにはすでに一人の少年が横たわっていた。
彼は一体何者なのか、誰かが彼を殺したのではないか。このまま計画を実行してもいいのか。この集いの原則「全員一致」にのっとり、十二人の子どもたちは多数決を取ろうとする。
引用元 Amazon
「死にたい」という思いを抱えて廃病院に集まる十二人の子どもたち。
それぞれが死にたいと考える理由は、本当に様々で中には胸が苦しくなる状態の子どももいます。
十代の子どもたちが抱える「死」への願望
まだ十代の頃、身体も心も日々成長していく中で気持ちが不安定になることが多くありました。
どんどん変わっていく自分自身や周りの友達。
学校と家を往復する毎日で、学校内・家庭内でトラブルが起きると逃げる場所もなければ相談する相手もいない。
本作に出てくる十二人のように「重い」理由がなくとも、漠然と死に対する憧れを持っていた時期もありました。
それは生きてる世界が狭いから、より良い世界を知らない十代ならではの感情だったのかなと今になっては考えることができます。
本作では、そんな脆く危うい十代の複雑な心境が見事に描かれています。
非現実的であるけど、妙に生々しい。十代の頃を思い出しながら、読み進めていました。
個性豊かな十二人
十二人の子どもたちは、非常に個性豊か。
個人的に登場人物が多い作品は読みづらいのですが、本作はそれぞれのキャラクター(外見の特徴含め)が個性的なためストーリーが理解しやすいです。
十二人が出した答えは?(ネタバレ注意)
(ほんの少し、結末に触れます。未読の方は注意!)
結末は、私が想像していた(期待していた)ものとは全く違い拍子抜けしてしまいました。
いい意味で裏切られたといいましょうか。
タイトルの物々しさから、緊張しながら読んでいたのですが読了後はほわんと温かい気持ちになっていました。
子どもたちだけの議論でこういう結論に至ったことに拍手したい。
まぁ…密室系のミステリー好きな私としては、なんというか…肩透かしを食らった感は否めませんが…(笑)
しかし、そう来るんかい!と思いつつも嫌な印象はありませんでした。冲方丁氏、恐るべし。
堤幸彦監督による映画化で話題に
2019年1月に本作は堤幸彦監督により映画化され、現在公開中です。
堤幸彦監督は『池袋ウエストゲートパーク』や『ケイゾク』などを手掛けています。
独特の描写や作風が印象的で好んで観ていたので、本作をどのようにまとめあげたのか期待しています。
キャスト紹介
杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、橋本環奈といった若手豪華キャストにも注目が集まっています。
廃病院で、しかもほぼ1室で展開されるストーリー。彼らはどのように演じているのでしょうか。
気になる結末は?
タイトルの重さから、読むのをためらう方も多いかもしれません。
しかし、私はこう言いたい。

読了後の何とも言えない気持ちを共有したいです。
そして、もし良かったら感想をわたほんTwitterにツイートして頂けると嬉しいです。
個人的な思いが暴走した書評となってしまい、失礼致しました…!