なぜ娘は父親を殺したのか。直木賞受賞作。島本理生 著『ファーストラヴ』

こんにちは、のんの です。

今年度の直木賞受賞作が発表された後、新聞で著者のインタビューが掲載されているのを読みました。
その作品に興味を持ちそのまま本屋へ直行し、購入。

『なぜ娘は父親を殺さなければならなかったのか?』
この帯を見て、少年犯罪を題材にした問題作かなと思いながら読み始めました。

いい意味で期待を裏切られる結果となった、島本理生さんの「ファーストラヴ」を今回はご紹介します。

(受賞直後だった為、帯が「直木賞候補作」となっています)

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父親を殺した美人女子大生・環菜

「いやあ、びっくりする事件でしたね。アナウンサー志望の女子大生がキー局の二次面接の直後に、父親を刺殺して、夕方の多摩川沿いを血まみれで歩いてたっていう。」

22歳の女子大生、聖山環菜が画家である父親を殺し逮捕されます。
容姿端麗で女子アナ志望の大学生による父親殺しは”美人すぎる殺人者”と週刊誌に報じられるなどして、世間から注目されます。

そんな中、臨床心理士である真壁由紀は、出版社から環菜の半生をまとめて出版するという依頼を受け、拘置所にいる環菜と面会をします。

「真壁先生に会って以来、私は、私のことが知りたい、と思うようになりました。
どうして私は拘置所なんかにいるんだろう。
どうして私は親を殺すような人間に育ってしまったんだろうって。」

助けてほしいという思いを受けて、由紀は環菜の過去を辿りはじめます。

初恋の人、親友、元カレ、母親…

環菜に関わってきた人たちに会い、話を聞いていく中で様々な事実が明らかになっていきます。

「お願いです。私を治してください。私をちゃんと罪悪感がある人間にしてください。」

環菜の過去には何があったのでしょう。
なぜ、父親を殺してしまったのでしょうか。

臨床心理士・真壁由紀

この作品は、臨床心理士である由紀の視点から書かれています。
出版社の依頼を受けて、環菜の事件・人生に触れる由紀にも様々な過去があります。

傷ついた思い出、トラウマ。環菜の人生を遡る過程でそういった由紀自身の問題にも向き合うことになります。

環菜の弁護士であり、夫の弟である迦葉、カメラマンをしている夫の我聞さん、出版社の辻さん由紀の両親
環菜の事件だけでなく、由紀の心情や、彼らとの関係性の変化もこの作品のもうひとつの柱であると言えます。

納得の直木賞受賞作

本作はミステリーであるので、内容に関してはこれ以上触れませんが、直木賞を受賞したのも納得の作品です。
重たいテーマであるにもかかわらず、すぅっと心に入ってくるストーリー展開で読了後なんとも言えない爽やかで高い満足感を得ることができます。

特に裁判のシーンでは、リアルな描写と環菜をはじめとする登場人物の証言を息をとめて読んでいました。
呼吸をするのを忘れるほどの臨場感と、迫力は圧巻です。

これは余談ですが…どの登場人物も、丁寧に書かれていますが、その中でもわたしは由紀の夫の我聞さんがとても好きです。
というのも…我聞さんは、わたしの未来の旦那さんにそっくりなのです。由紀と我聞さんのエピソードが、自分たちのそれと重なり、「島本さんはわたし達のこと、見てたのかしら…」と思う程。(冗談です、もちろん)

今回、はじめて島本さんの作品を読みました。
言葉の選び方や、ストーリー展開、どちらも好きなのでこれを機に他の作品も読んでみようと思います。

環菜はなぜ、父親を殺さなければならなかったのか、皆さんの目で確かめてみてください。

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ABOUTこの記事をかいた人

東京在住、32歳フリーのライター。 よく読むジャンル:ミステリー、恋愛、 好きな作品:村上春樹、嶽本野ばら、伊坂幸太郎、石田衣良、江國香織(敬称略) “クローズドサークル“もののミステリーに萌えます。 どろどろグログロの殺人系と涙が止まらない程美しい恋愛系が好きです。 読書は最高のエンターテインメント!皆様に楽しんで頂ける書評を書いていきます。