ビートルズの名曲に乗せて綴られる愛の物語。村上春樹 著『ノルウェイの森』

こんにちは。のんのです。
わたしの本棚で2回めの書評となる今回、何を書こうか考え、プロフィールに挙げている好きな作家さんの作品の中から1冊を選ぶことにしました。

わたしが村上春樹さんの作品の中で、一番最初に読んだものです。

”死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。”

これは冒頭で、主人公ワタナベが語っている言葉で、この作品のテーマでもあります。

主人公ワタナベと親友のキズキ、キズキの幼馴染である直子。
キズキは17歳の時に自殺をし、ワタナベと直子はキズキを失います。

キズキを失った喪失感を抱えながら、ワタナベと直子は淡々と生きていきます。

「二十歳になるなんてなんだか馬鹿みたいだわ」と直子が言った。「私、二十歳になる準備なんて全然できてないのよ。変な気分。なんだかうしろから無理に押し出されちゃったみたいね」

時が止まったままの感覚と、それに反して進んでいく歳月。
やがて、直子は突然精神病の療養所へ入ることになります。

「死」へと近づいていく直子と、ワタナベが大学で出会った「生」を象徴するような緑という女の子。
ワタナベは、ふたりとどう過ごしていくか悩みます。

「ずいぶん待った?」「べつにかまわないよ。僕は時間のあり余ってる人間だから」

余談ですがわたしは村上春樹作品の、この様なキザな言い回しがとても好きです。
男女ともに気取った話し言葉が、現実離れしていて、それが文学作品として楽しめる要素のひとつであると考えています。

『ノルウェイの森』はビートルズの名曲である

ここで、ご紹介したいのはこの作品のタイトル『ノルウェイの森』に関して。
これは、物語の中でも重要なキーワードとして出てくるのですが、ビートルズによる曲のタイトルです。

”この曲を聴くと私ときどきすごく哀しくなることがあるの。どうしてだかはわからないけど、自分が深い森の中で迷っているような気になるの”と直子はいった。

美しいギターとシタール(インドの楽器)の旋律に乗せて、ジョン・レノンの歌声が切なく響くこの曲。
直子が言う様に、なんとなく悲し気な雰囲気が漂う美しい曲です。

「生」の緑と「死」の直子の狭間で

キズキの死により、少しずつ壊れていく直子と、明るく自信家な緑。
ワタナベはふたりともに愛情を感じており、どちらと生きていくべきか悩み続けます。

私のことを覚えていてほしいの。私が存在し、こうしてあなたのとなりにいたことをずっと覚えていてくれる?

これは、直子の台詞です。

愛する人の「死」を体験すると、こういう風に考えてしまうのだろうか、もしわたしが直子だったらどう生きていくのだろうか。

生きた証を、誰かに刻みたいのだろうか。
死んでしまっても、自分のことを覚えていてほしいと願うのだろうか。

残された者は、どうやって生きていけばよいのだろうか。

改めてこれらのことについて、考えさせられました。

「君のことを忘れられるわけがないよ」

「ノルウェイの森」のメロディに乗せて綴られる、
美しく苦しい愛の物語

わたしが、最初にノルウェイの森を読んだのは26歳の時でした。その時は、ワタナベの行動の意味が分かりませんでした。
今、32歳になり再度読んでみると、あの頃とは違った見方ができるようになりました。それは、わたし自身が歳をとって少し死に近づいたからかも知れません。

村上春樹さんの名作、ノルウェイの森。
ぜひ、一度手にとってみてください。

ビートルズの”Norwegian Wood”も素敵な曲なのでおすすめです。