ローラ・インガルス・ワイルダー 著 谷口由美子 訳『長い冬』

みなさま、お久しぶりです。久々の書評です。今回取り上げる本は『大草原の小さな家』シリーズから、『長い冬』です。

どうしてこの本を取り上げることにしたかって、それはもう、ひたすらに

寒いからです。

現在アメリカの中西部には大寒波が押し寄せてきており、ミシガンも例外ではありません。

もうこんなの初めて見たよ。「場所によっては南極より寒い」とかいうパワーワードも見ました。モスクワよりは普通に寒い。今年の冬はこれまでのところそこまで寒くなくて、「去年の方が雪はひどかったですね〜」とか話していたのに、ここに来てどかんと寒さにやられました。本当は、「次の書評を書くときは森見登美彦の『熱帯』について書こう!」と考えていたんですが、これはもう「熱帯」じゃないよね。寒帯っていうか、もはや極寒帯と呼びたい。ごめんもりみー。またの機会に書きます。

あまりの寒さに大学も史上7度目の休校令を出し、家にいます。こういうとき、ピアノ科って楽器が持ち運べないからつらい。学校がロックされているとピアノがある練習室にも入れず、死活問題です。練習という人生の目的を見失った昨日、私は昼からビール飲んで寝てしまいました。私、最近「自分は音楽が本当に好きなのかな?やりたいのかな?」と自問自答している日々だったんですが、やっぱり音楽がないと生きていけないのかもしれない。アル中になっちゃう。

と、こんな話はどうでもいいんです。『長い冬』の話をしましょう。この本を読むと、この寒さで文句たれてちゃダメだなと思います。

『大草原の小さな家』シリーズ

ローラ・インガルス・ワイルダーが自身の少女時代をモデルにして書いたこの作品シリーズは、1880年代のアメリカで開拓者たちがたくましく生き抜く様子を描いたものです。ドラマ化もされ、親しんでらっしゃる方も多いと思います。

created by Rinker
ジェネオン ユニバーサル エンターテ
¥27,980 (2019/02/21 12:56:03時点 Amazon調べ-詳細)

私自身は、実はこの『長い冬』しか読んだことがないのですが、  開拓時代のアメリカでの生活がどんな過酷なものだったのかということがこの本を読むとつぶさにわかります。アメリカという国の根拠があるようなないような楽観主義や、フロンティア精神はこういった暮らしから生まれて来たのかなあと思いながら読みました。

インガルス一家はウィスコンシン→カンザス→ミネソタ→サウスダコタと結構な大移動をしていたようですが、この『長い冬』はサウスダコタが舞台です。1880年ー1881年に度重なるブリザードに襲われ、列車が雪で止まってしまった冬のことをモデルにしているようです。

1881年の3月21日、ミネソタにて撮影された、雪で止まってしまった機関車(Wikiより)

『大草原の小さな家』はフィクションですから、物語を円滑に進めるために事実を編集しているところもあるようですが、この『長い冬』に限っては、かなり史実に忠実に描かれているようです。なんか、こういう寒さとかってめちゃくちゃ詳細に記憶に残るよね。この小説が正確なのもわかる気がします・・・。

天気や動物を見て冬の厳しさを知る

物語は夏に、ローラとお父さんが干し草狩りをしているところから始まります。インガルス一家にはお父さんとお母さんの他に、長女のメアリ、ローラ、キャリー、グレイスの四人娘がいます。幸せに暮らす一家なのですが、その年はジャコウネズミがいつもと違う巣を作ったり、季節外れの大嵐が来たりして様子が違います。

お話の中では10月くらいから雪が降り始め、終わりは5月ですから、7−8ヶ月氷点下で雪が吹きすさぶ冬が続いたということになります。

大草原と猛吹雪

アメリカの中西部には勾配があまりありません。ミシガンを初めて訪れたとき、あまりの道のまっすぐさと坂道のなさにびっくりしました。夏はどこまでも広がる大草原と森の中に突っ切るまっすぐな高速道路をラジオを聴きながら走るのが最高なのですが、冬になると話は全然別です。風や大気を遮る山がないため、風がまっしぐらにやって来て吹雪がなんども訪れます。道は凍り、運転するとスリップしてしまい・・・と、現代は現代で大変ですが、それでも汽車が止まったり、外界との接触が切れてしまうというのはほとんどありえないことなので、生きていくのが困難になるということはあまり考えられません。(それでもこの大寒波で8人の方が亡くなってしまったようですが)

しかし、西部開拓時代には一度汽車が止まってしまえば、物資はやって来ません。物語の中で平和に暮らしている時に出てくる食べ物はかぼちゃのパイや七面鳥などとても美味しそうなのですが、冬の最中は黒パンにじゃがいも、紅茶を毎日食べ、飢えそうになりながらやっとのことで命をつなぎます。しかも吹雪が一度来てしまうと周りが全く見えなくなってしまい、外に出られなくなってしまいます。本当に過酷。その中でも家族が力を合わせて知恵を絞り暮らしていく様子がとても印象的です。

前向きに生きること

小説の中の冬は本当に過酷で、気持ちも滅入ってしまうんではないかと思うんですが、登場人物たちの前向きさには学ばされます。私は二日間家にいるだけでまいっているので、本当にタフさを見習いたいです。この凍てつく寒さを受け入れて、どんな冬も終わるときは来ると思って春を待ちます。春よこい!!!

created by Rinker
¥864 (2019/02/21 12:56:03時点 Amazon調べ-詳細)

ABOUTこの記事をかいた人

埼玉県出身、東京- NYを経て、今はミシガン州立大学で音楽学部の博士課程に在籍中。 専攻はピアノ。 よく読むジャンル→ミステリー、ファンタジー、エッセイ、恋愛もの、歴史物、伝記、ノンフィクション、児童書 アメリカ中西部でピアノを弾いたり音楽について学んだり書いたり教えたりしています。 本を読んで現実逃避して寒さに耐えています。