クリスマスといえばこのエッセイ。ロバート・フルガム『ジョン・ピアポントという男』

こんにちは、のいです。飛行機で旅をしたら、時差ですっかり時間の感覚がなくなり、投稿すべき時間を忘れてしまい遅れてしまいました。

のい
ごめんなさい。

飛行機の中では森見登美彦の「熱帯」と姫野カオルコの「彼女は頭が悪いから」を読んで、かなり対照的な作品ながらどちらも大変面白く読んだので早速書評を書きたいところです。

ですが、今週は私のクリスマス前最後の投稿だということに気づいたので、何かクリスマス関連の読み物を紹介したいなと思い、「ジョン・ピアポントという男」というごく短いエッセイを紹介したいと思います。私はこのエッセイがずーっと大好きで、学生時代に中学校での教育実習で道徳の公開授業をした時も教材に使いました。(六月だったけど笑!)

クリスマスのエッセイなので、ここはぜひ、クリスマスソングなど聴きながらお読みいただければ幸いであります。わたくしも聴きながら書いております。

作品と作者のロバート・フルガムさんについて

私が「ジョン・ピアポントという男」を一番最初に読んだのは、教育学者の齋藤孝さんがおすすめの短編を集めて作った「人間劇場」という本の中だったと思います。

(この本はなかなか面白い作品が集められていて、大好きな短編がたくさん入っています。)

オリジナル出典は、こちらの本のようです。

作者のロバート・フルガムは1937年生まれ、81歳のアメリカ人ライター・牧師さんで、エッセイ集を多く出版している方ということです。公式サイトは英語ですが、英語を勉強している方はぜひ彼のサイトの「Journal」というところを見ると勉強になるかもしれません!わかりやすい英語で短く面白いエッセイがいっぱい読めるよ!(日本の伝統文化、金継ぎについて書かれた”KINTSUGI”もあります!)

上にも貼りましたが「ジョン・ピアポントという男」は日本語訳全文がこちらのサイトに載っています。(どういった経緯かまではわからなかったので、見切り発車でURLを貼っています)

ジョン・ピアポントって誰?

名前だけ聞いて、ジョン・ピアポントが誰なのかわかる方はほとんどいらっしゃらないと思います。エッセイは

ジョン・ピアポントは人生に失敗して死んだ。

という救いようのない一文から始まります。そこから、ジョン・ピアポントが失敗したことの数々が描かれ、イェール大学やハーヴァードを出たエリートにも関わらず人生があまり思い通りにいかなかったことを「なんでこんな悲しいこと読まされてるんだろう・・・」と思いながら読み進めていくと、意外な展開が待っています。

私たちは皆、ジョン・ピアポントの名前を知らないかもしれないけれど、彼がいなかったら皆人生が1ミリくらい寂しくなっていたはず。すごく短いエッセイなのですが、とても上手く書かれていて、読むと私はいつもうるっとしてしまいます。

私たちが誰かに「贈れるもの」

ジョン・ピアポントは自分がやりたかったことはあまり達成できずに人生を終えたかもしれません。でも、彼は自分の意図していなかったところで世界中の人にプレゼントを残していきました。誰もがシンプルに嬉しくなれるようなやり方で。

人生って、頑張っても望み通りにはなかなか上手くいかないことが多いものですが、自分の思ったところでは上手くいかなかったとしても、意外なところで誰かに何かを贈れるものかもしれません。それが最終的には自分が一番やりたいことだったりするから不思議です。

このエッセイのどこがクリスマスと関係あるの!?と思った皆様、ぜひ「ジョン・ピアポントという男」を読んで頂きたいです!冬は寒いけれど、心は温まるエッセイです。素敵なクリスマスをお過ごしください!

(そして良いお年を・・・という前にもう一本書評がありますね。)

注意
このエッセイは実際に調べると事実関係が違うところがあると英語版wikipediaで指摘されていますが、ここに書いてしまうとエッセイ全体のネタバレに繋がってしまうこと、また事実関係の違いがあり、フィクションだとしても私は良質なエッセイと考えていることを踏まえてここでは書きません。気になる方はJohn Pierpontのwikipediaをご覧ください。

ABOUTこの記事をかいた人

埼玉県出身、東京- NYを経て、今はミシガン州立大学で音楽学部の博士課程に在籍中。 専攻はピアノ。 よく読むジャンル→ミステリー、ファンタジー、エッセイ、恋愛もの、歴史物、伝記、ノンフィクション、児童書 アメリカ中西部でピアノを弾いたり音楽について学んだり書いたり教えたりしています。 本を読んで現実逃避して寒さに耐えています。