【さくらももこさん追悼特集】さくらももこ 著『そういうふうにできている』

さくらももこさんの作品の思い出

8月15日(2018年)に「ちびまる子ちゃん」の作者、漫画家でエッセイストのさくらももこさんが亡くなりました。私はLINEニュースで訃報を知り、とてもびっくりしてショックを受けました。さくらさんのユーモア溢れる作風と、彼女が亡くなったという事実が脳の中で繋がらず、いくつか関連のニュースを読んでからやっと受け入れることが出来ました。ご冥福を心からお祈りします。

そのニュースを知ってから、さくらさんの作品の事を考えました。私がさくらさんのエッセイを初めて読んだのは、中学生の頃だったと思います。日常で起こるなんでもない出来事がとても面白く書かれているそれを読んで、爆笑すると共に、「人生って見方次第でこんな楽しくなるんだな」と気づかされました。その後しばらくさくらさんのエッセイにハマり、読み漁りました。

その後、忙殺されているうちに、私の意識からさくらさんのエッセイのことはすっぽり抜けていました。でもニュースを見た後に「どんな話があったっけ」と考え始めたら、おじいさんのお葬式の話、締め切り間近になるとホテルに「カンヅメ」になるという話、アルバイトしていた話、学校の話など驚くほど色々なことが思い出せて、私にとってとても印象深いものだったんだなと改めて思っています。さくらさんの作品は、私が人生で初めて読んだ「エッセイ」というジャンルでした。

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話は逸れますが、アメリカから日本の本を手に入れるには二つの方法があります。一つは日本人の知り合いから譲り受けたり、日本の本を取り扱う本屋さんに行くこと。もう一つはKindleや電子書籍で手に入れることです。
今週は彼女の書評が書きたく、でも、さくらさんの作品、アメリカに持って来てなかったな・・・とあまり期待しないで本棚を見ていたら、誰かから譲り受けた「そういうふうにできている」が見つかりました。久しぶりに読んでも、面白さはちっとも色あせていなかった。読めて良かったです。

このエッセイは、さくらさんが妊娠してから出産するまでの日常を綴ったものです。つわりで便秘になったことや帝王切開の際に盲腸をとったこと、子供に対する愛情はどうやって芽生えてくるかなどが可愛いイラストと一緒に愉快に描かれています。

客観的でクールだけど、いつも暖かい

 

子供は私のお腹にいた。そして私のお腹から出てきた。我が子である事は間違いない。だが、“私のもの”ではない。この子は私ではなく、私とは別の一個体なのだ。

さくらさんのエッセイはユーモアに満ち溢れていながら、いつも本質をズバッとつくように思います。子供が生まれた時にさくらさんは我が子への愛情とは何か考え、「私と子供は別の個体であり、“親だから“という理由での特権はないと思った」というふうに書いています。いつも客観的な視点を失わないさくらさんらしい書き方だと思います。

そのような心境であった。実に静かな気持ちである。日を追って、子供との絆は深まり、もっともっとかけがえのない存在になる事は確実に予想されるが、それぞれの個体は各人のものでしかないという“距離”はこのままであると思われる。もっともその距離は“オナラのできる間柄”という非常に近い距離であろうが。

その後、文章はこう続きます。説明するのも野暮ですが、真剣な事を書いても必ず最後にクスッと笑わせる事を忘れないセンスがとてもステキですね。

おわりに

考えてみれば、面白い時代に私達は生きている。こんなわけのわからない速さであらゆる事が進んでゆく時代はなかなかない。どうせなら嘆くより愉快に懸命に生きた方が良い。

このエッセイが書かれたのは1995年ですが、20年以上経った今でも、この言葉はぴったりと当てはまると思います。私はさくらさんの作品を読むといつも少し生きるのが愉快になります。世の中がどう見えるか、楽しく生きるのは、自分のさじ加減一つなのだという事を気づかせてくれる作品をたくさん残していかれました。周りを見渡すと、さくらさんの影響を受けた作家や漫画家もたくさんおられるように思います。楽しい作品をたくさん、ありがとうございましたとお礼を言いたい気持ちです。

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ABOUTこの記事をかいた人

埼玉県出身、東京- NYを経て、今はミシガン州立大学で音楽学部の博士課程に在籍中。 専攻はピアノ。 よく読むジャンル→ミステリー、ファンタジー、エッセイ、恋愛もの、歴史物、伝記、ノンフィクション、児童書 アメリカ中西部でピアノを弾いたり音楽について学んだり書いたり教えたりしています。 本を読んで現実逃避して寒さに耐えています。
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