あの頃の思い出がここに。森 絵都 著『アーモンド入りチョコレートのワルツ』

こんにちは!すーちゃんです。

年始のご挨拶

遅ればせながら…
明けましておめでとうございます!
1月も今日で終わりですね。1ヶ月早すぎ。

特に1月は、仕事はもちろん、趣味のボランティアや楽器などでバタバタと過ごしていました。

そして世間では、コロナウイルスが猛威を奮っています。
不確定な情報は受け入れず、手洗いうがい、あとはマスクですよね。気を付けましょう。

そんなこんなで、ほとんど読書できていなかったのですが…
久しぶりに手に取ったのは、森 絵都 著『アーモンド入りチョコレートのワルツ』です。

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森 絵都作品との出会い

以前、『架空の球を追う』の書評も書きましたが、森 絵都さんの小説は、わたしの読書人生の原点にあたります。

人生に疲れたときに、癒しの短編小説。森絵都 著『架空の球を追う』

中学1年生のときに、初めてまともに読んだ文庫本は『つきのふね』でした。

中学2年生のときの塾の模試で登場し、本の世界にのめりこむきっかけになったのは、『永遠の出口』。
(模試には『放課後の巣』の章が登場)

もっと言えば、昔 好きだった『にんきもののひけつ』という絵本の原作は森 絵都さんだと知り、ここまでわたしの世界を作ったのはこの人だったか…と、もはや運命的だとも思えます。

なにか癒される小説を読みたいときに、わたしは森 絵都さんの小説を手に取る傾向にあるようです。

特に本作は短編集なので読みやすいですし、1編ごとにクラシック曲が併記されているので、一緒に聴いてみるのも良いですね。

子供は眠る

夏に従兄弟の家の別荘で集まる5人。
章くんのお父さんの別荘ゆえ、みんな章くんには逆らえない。
いつも章くんが聴かせる、クラシックの音楽鑑賞は特に憂鬱。
そして少しずつ、章くんへの不満も溜まっていく…

テーマ曲は、シューマンの「子供の情景」。

「でもおまえらには、べつにピアノなんていらなかったのかもしれないな」
「今年の夏は…今年のぼくは、卑怯だったよ」

キラキラした夏の思い出。
たぶん彼らは、これから先も夏が来るたびにこの別荘で過ごした日々を思い出すんだろうなぁ。

彼女のアリア

不眠症の主人公は、体育の授業をサボって向かった旧校舎の音楽室で、虚言癖を持つ少女と出会う。
2人の淡い恋の物語。

不眠症のために描かれた、バッハの「ゴルドベルグ変奏曲」を聴きながら読みたい1編。
ラストシーンが好きですし、この短編集では1番好みです。

(前略)その姿はまるで、声のかぎりにアリア(独唱)をうたいあげ、暗いステージを光らせようとするオペラ歌手のようだった。ぼくはそんな彼女のアリアを、いつまでも聴いていたかった。彼女の光に照らされていたかった。

嘘は悪いものだと思っているけれど、こうやって誰かを救ったりする形もあるのだなぁ、と しみじみ思いました。
彼女のアリア、というタイトルがぴったりです。

アーモンド入りチョコレートのワルツ

ピアノ教室に通う主人公、友人、ピアノの先生の3人の時間が心地よく過ぎていたある日。
そのピアノ教室に、奇妙なフランス人のおじさんが突然現れる。
少しずつ心地よい時間は形を変えていく…というお話。

この物語の出だし部分は、回想のように、過去を思い出しながら書かれています。

2/4拍子ではなく、4/4拍子でもなくて、メリーゴーラウンドみたいにぐるぐるもまわる3/4拍子のワルツが好きだ。

というところや、続く流れの、

数年前、わたしはまだ子供で、絵空事みたいに幸せだった。そこにはいつもワルツが流れていた。(中略)電車の切符を買わなくても、飛行機のチケットを取らなくても、自分の足で歩いていけるところに大好きな人たちがいた。

こういった地の文の書き方がとても好きです。

テーマ曲は、サティの「童話音楽の献立表(メニュー)」。

「アーモンド入りチョコレートのように生きていきなさい」

サティのおじさんの言葉を胸に、2人には前を向いて進んでほしいなぁ。

魅力は、変わらないということ

解説で角田光代さんが書かれていますが、森さんの小説は「不変」です。
変わらないということは、大きな魅力。

きっとこの短編集を読めば、キラキラとしたあの頃のことを思い出します。

いつ読んでも、読者を受け入れてくれる。
そんな森 絵都作品に出会えて、わたしは幸せです。

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1992年、愛媛県新居浜市生まれ。愛知県名古屋市在住。 『わたしの本棚』ライター。 好きな本のジャンルはミステリー。読書歴は約10年。 辻村深月、東野圭吾、森絵都、恩田陸、原田マハ、村山由佳作品をよく読みます。(敬称略) 辻村深月作品が特に好きで、情報収集や考察が日課。また、作品の舞台になった街へ赴く、聖地巡礼も楽しい。 読書の他に、旅行、アルトサックス、お菓子作りも好き。