半年ぶりぐらいでしょうか。
お久しぶりです、すーちゃん ( @suexxsf )です!
仕事も落ち着いてきたので、書評を再開します。
改めて、よろしくお願いいたします。
今回取り上げるのは、東野圭吾 著『希望の糸』。

先日、名古屋駅前のジュンク堂で見つけた新刊。
一気に読みました。
※帯にも書いてないことを下記に書いていきます。
東野ファンの方は特に、ネタバレ注意⚠️
目次
令和初の東野作品
久しぶりの加賀シリーズ
帯には書いていませんが…
講談社からの作品ということで、大好きな加賀シリーズ でした!
…結果的には加賀というよりも松宮のお話ですが、同じ路線にあることは間違いないので、広義で加賀シリーズかなと。
東野氏からのメッセージは、「しつこいけれど 絆の話です 好きなので」。
ありがとう。わたしもあなたの描く、絆の話が大好きです。
あらすじ
とある喫茶店の女オーナーが殺される。誰もが「彼女は良い人だった。恨まれるような人じゃない」と口を揃えて言う。
捜査線上に浮かび上がる、元 旦那や常連客。複雑に絡み合う人間模様。
ドラマや映画の影響で、加賀は阿部寛だし、松宮は溝端淳平で脳内再生されます😂
(そういえば、加賀は捜査一課に戻ってきました。けどまた、人形町をうろうろしていてほしいなぁ)
家族と絆がテーマ
テーマは家族。そして絆。
『真夏の方程式』、『赤い指』、『麒麟の翼』、『祈りの幕が下りる時』など、東野作品には同様のテーマの小説が増えています。
家族にフォーカスしていく東野氏の筆致。
さすが東野圭吾、としか言えませんでした。
下記ページでは担当編集者の方が書いていますが、こちらもおもしろいです。
絆の話
「誰かの代わりに生まれてきたなんて思いたくない」
先ほどのあらすじの内容と並行して進むのは、別の夫妻の物語。
震災で子供2人を亡くし、生き甲斐を無くした夫妻。
打ちひしがれる日々の中、再び子供を作り育てることで、その穴を埋めようとします。
次女となる娘が中学生に上がる前に、妻が死去。
そのあとに夫が娘から言われるのが、帯にある言葉です。
「あたしはあたし。誰かの代わりに生まれてきたなんて思いたくない」
この部分は、夫妻の気持ちも娘の気持ちも想像できるので、苦しかったです。
そして夫妻が抱えた秘密。
その中でも、
「萌奈は私の子。そのことは動かない。だって、私が産んだんだもの」
と言い切る母親の強さを感じました。
苦悩する刑事・松宮
他人の秘密を探ることに対して、苦悩する松宮。
親子関係という、距離の近さゆえの苦しみを改めて感じました。
「刑事というのは、真相を解明すればいいというものではない。取調室で暴かれるのではなく、本人たちによって引き出されるべき真実というものもある。その見極めに頭を悩ませるのが、いい刑事だ」
「大事なことは、自分の判断に責任を持つ覚悟があるかどうかだ」
これは松宮を見守る加賀の言葉ですが、シリーズ全体を通して変わらない加賀の考え方に、じーんと来ました。
見えない糸で繋がっている
前作『祈りの幕が下りる時』は加賀の家族と絡み合った物語でしたが、本作は松宮。
血の繋がりから、ストーリーが拡がっていき、気づけば泣いていました…
そして、最後のこの部分が好きです。
「たとえ会えなくても、自分にとって大切な人間と見えない糸で繋がっていると思えたら、それだけで幸せだって。その糸がどんなに長くても希望を持てるって。だから死ぬまで、その糸は離さない」
令和も、東野圭吾作品から目が離せないな、と改めて思いました。
コメントを残す