こんにちは、すーちゃん(@suexxsf)です。
仕事が忙しくて、ご無沙汰していました。
少し落ち着いたと思うので、ここからゆっくり再開していきたいと思っています。
自分の恋愛
わたほんの書評では、よく自分の恋愛などをネタにしている自覚はありますが、それを極めたような本がこの世には存在するんですよね…(笑)
そして、そういった本を読むたび、「わたしのことか!?」と驚きます。すごいですよね。
地雷本について
以前ツイートしたこともあるのですが、皆様にとって、地雷本ってありませんか?
地雷本ってないですか。
自分の中のそういう、触れてほしくない部分を、隠していた部分を、刺しに来るような本。わたしにとっては、角田光代 著『おまえじゃなきゃだめなんだ』がやばいです。表題作の威力。
「過去の自分の不誠実が、今こんなかたちの誠実になって返ってきた」 pic.twitter.com/pFkQXHeH55
— Sumire Yano(スー) (@suexxsf) July 24, 2018
これは決してその本を貶しているわけでも、叩いているわけでもありません。
自分の中に刺さりすぎて抜けなくて、定期的に読んでは落ち込む…というループになっています。
わたしにとっての地雷本は、角田光代さんの『おまえじゃなきゃだめなんだ』です。
自分の中のそういう、触れてほしくない部分を、隠していた部分を、刺しに来るような本。
自覚があるからこそ、読むたびにウッ…ってなります。
それなら読まなきゃいい。
まさにそうなんですが、痺れるのも好きなんです(笑)
『おまえじゃなきゃだめなんだ』

本作は、恋愛短編集です。
基本的には、柔らかい雰囲気の物語が多いです。
扉を開ける
結婚する前の、とある男性が、祖母から聞く婚約指輪のお話が印象的です。
「それが指輪のおかげとは思わないわよ、巡り合わせでしょう。でもね、漠然と消えてしまいたいと思ったあのときに、見つめるものがあってよかったと思うのよ。見つめ返す強い光があってよかったって。だからね、婚約指輪は買いなさい。いつどんなふうにあんたたち夫婦を助けるか、わかんないから」
正直、婚約指輪って必要なのかと思ってたわたしですが、この短編を読んで、ある意味「お守り」のように感じました。
強い光、素敵です。
表題作について
その短編集の中で、個人的にグサグサ刺さるのは表題作です。
この作品だけ、飛び抜けて痛々しく感じるのはわたしだけなのでしょうか…
背景は違えど、主人公の貞操観念の無さや考え方が、自分と重なる気がするのです。
40歳を目前にして主人公が出会った男性。
ひとりの人と向き合うことを、主人公は学習していきます。
これがつまり、「向き合う」だと知った。相手のことを知るたびに、見つめすぎず、適度に目をそらすこと。好きか嫌いか煮詰めないこと。それはだんじて不誠実ではない。不誠実というのは、凝視したり煮詰めたりしたあげく、他人に逃げることだ。
けれどこのまま順当にいけば、宗岡辰平は求婚してくるはずだった。私たちは、一対一で向かい合っているのだし、四十近くなって、今さら新しい相手もあらわれるはずはないのだから。
そう思っていた矢先、この男性と結婚できなかったという流れ。
泣きたくなる一言
怒るというよりもむしろ、納得がいったというか、あぁ、 過去の自分の不誠実が、今こんなかたちの誠実になって返ってきたと、そんなふうに思ったのだった。
この一文を読むたび、過去の諸々の出来事に懺悔したくなります。不誠実だった自分が嫌になります。
どうして私は選ばれなかったんだろう。どうしておまえじゃなきゃだめだと、だれも言ってくれないのだろう。だれにも言ってもらえないまま、こんな年齢になったんだろう。
どうか、どうかわたしのもとには、過去の不誠実が返ってきませんように。
これからは誠実に生きられますように。
この書評では表題作をメインに取り上げましたが、他の短編もすてきです。ぜひどうぞ。