わたしの地雷本。角田光代 著『おまえじゃなきゃだめなんだ』

こんにちは、すーちゃん(@suexxsf)です。

仕事が忙しくて、ご無沙汰していました。
少し落ち着いたと思うので、ここからゆっくり再開していきたいと思っています。

自分の恋愛

わたほんの書評では、よく自分の恋愛などをネタにしている自覚はありますが、それを極めたような本がこの世には存在するんですよね…(笑)

そして、そういった本を読むたび、「わたしのことか!?」と驚きます。すごいですよね。

地雷本について

以前ツイートしたこともあるのですが、皆様にとって、地雷本ってありませんか?

これは決してその本を貶しているわけでも、叩いているわけでもありません。
自分の中に刺さりすぎて抜けなくて、定期的に読んでは落ち込む…というループになっています。

わたしにとっての地雷本は、角田光代さんの『おまえじゃなきゃだめなんだ』です。

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自分の中のそういう、触れてほしくない部分を、隠していた部分を、刺しに来るような本。

自覚があるからこそ、読むたびにウッ…ってなります。

それなら読まなきゃいい。
まさにそうなんですが、痺れるのも好きなんです(笑)

『おまえじゃなきゃだめなんだ』

本作は、恋愛短編集です。
基本的には、柔らかい雰囲気の物語が多いです。

扉を開ける

結婚する前の、とある男性が、祖母から聞く婚約指輪のお話が印象的です。

「それが指輪のおかげとは思わないわよ、巡り合わせでしょう。でもね、漠然と消えてしまいたいと思ったあのときに、見つめるものがあってよかったと思うのよ。見つめ返す強い光があってよかったって。だからね、婚約指輪は買いなさい。いつどんなふうにあんたたち夫婦を助けるか、わかんないから」

正直、婚約指輪って必要なのかと思ってたわたしですが、この短編を読んで、ある意味「お守り」のように感じました。
強い光、素敵です。

表題作について

その短編集の中で、個人的にグサグサ刺さるのは表題作です。
この作品だけ、飛び抜けて痛々しく感じるのはわたしだけなのでしょうか…

背景は違えど、主人公の貞操観念の無さや考え方が、自分と重なる気がするのです。

40歳を目前にして主人公が出会った男性。
ひとりの人と向き合うことを、主人公は学習していきます。

これがつまり、「向き合う」だと知った。相手のことを知るたびに、見つめすぎず、適度に目をそらすこと。好きか嫌いか煮詰めないこと。それはだんじて不誠実ではない。不誠実というのは、凝視したり煮詰めたりしたあげく、他人に逃げることだ。

けれどこのまま順当にいけば、宗岡辰平は求婚してくるはずだった。私たちは、一対一で向かい合っているのだし、四十近くなって、今さら新しい相手もあらわれるはずはないのだから。

そう思っていた矢先、この男性と結婚できなかったという流れ。

泣きたくなる一言

怒るというよりもむしろ、納得がいったというか、あぁ、 過去の自分の不誠実が、今こんなかたちの誠実になって返ってきたと、そんなふうに思ったのだった。

この一文を読むたび、過去の諸々の出来事に懺悔したくなります。不誠実だった自分が嫌になります。

どうして私は選ばれなかったんだろう。どうしておまえじゃなきゃだめだと、だれも言ってくれないのだろう。だれにも言ってもらえないまま、こんな年齢になったんだろう。

どうか、どうかわたしのもとには、過去の不誠実が返ってきませんように。
これからは誠実に生きられますように。

この書評では表題作をメインに取り上げましたが、他の短編もすてきです。ぜひどうぞ。

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ABOUTこの記事をかいた人

1992年、愛媛県生まれ。愛知県在住。『わたしの本棚』ライター。 好きな本のジャンルはミステリー。読書歴は約10年。辻村深月、東野圭吾、森絵都、恩田陸、原田マハ、村山由佳作品をよく読みます。(敬称略) 辻村深月作品が特に好きで、情報収集や考察が日課。また、作品の舞台になった街へ赴く、聖地巡礼も楽しい。 今まで読んだ本で1番好きなのは、辻村深月 著『子どもたちは夜と遊ぶ』。何度も読み返してるのは、同じく辻村深月 著『スロウハイツの神様』。初めて読んだ高校時代から現在も、わたしに影響を与え続ける、大切な作品たち。 読書の他に、アルトサックス、お菓子作りも好き。