日常に溶け込む、不思議な一族の物語。恩田 陸 著『光の帝国 常野物語』

こんにちは、すーちゃん(@suexxsf)です。

新年のご挨拶

明けましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします。

昨年はわたほんを始めたことが、自分の中でも大きな転機となりました。
これをきっかけに転職を考え始め、1週間で今の職場に決まったり、引っ越したり…と、自分史上1番の激動の1年になりました。
今年も頑張ります!

年始に読む本

年始、読む本を本棚を眺めていて、ふと…「恩田陸作品を読みたい」と思いました。
今回は、『光の帝国 常野物語』をご紹介します。

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ミステリー好きの原点

わたしのミステリー好きは、中学2年の頃に読んだ『六番目の小夜子』からだったと思います。

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ドラマも好きでした…!懐かしいです。

そのあとは『夜のピクニック』くらいしか読んでいなかったのですが、『蜜蜂と遠雷』でまさしく雷に打たれました。
さすが、直木賞&本屋大賞ダブル受賞作!!映画化も決まってますね。

音楽家 のいさんの書評も、とてもおもしろいです!

「舞台で演奏する」ただ、それだけの事なのに。恩田 陸 著『蜜蜂と遠雷』

恩田作品への誘い

『蜜蜂と遠雷』で直木賞受賞が決まったあたりで、Twitterのタイムラインに流れてきたサイトがありました。
こちらを参考に、恩田陸作品を読み進めました。

きっと、同士

「誘い」というのがぴったりな、こちらのサイト。

いや、ほんとに勝手ながら…きっとこの方は同士だと直感で思いました。
好きな作品に込める想いが素晴らしい。

わたしも辻村深月好きは至るところで、うるさいぐらいに言っていますが、きっと同じ熱を持っている。
勝手に親近感を持ちながら、このリストに則って、読み進めてみました。大抵 読みましたね。

前回 書評を書いた『ライオンハート』も、このリストから知った作品です。

時を越えた、刹那的な出会いと別れ。恩田 陸 著『ライオンハート』

そして年始に、ふと、常野の人々に会いたいと思い、手に取ったのが『光の帝国 常野物語』です。
(リストでは第一位になった作品です)

小説と舞台

2年前の夏、演劇集団キャラメルボックスの舞台を初めて観て、感銘を受けました。
そのあとの秋の舞台は、『光の帝国』が原作。

短編のうち、『大きな引き出し』を軸に、物語が進みました。

小説の世界観

今回 改めて、『大きな引き出し』を読み直しました。
決して長い物語ではありません。どちらかというと、あっさり終わる感じです。

しかし、舞台ではこの物語を、こんなにというぐらい広げて、掘り下げていたのが、印象的でした。

常野の一族

副題である「常野物語」の「常野」は地名であり、同時に この短編集に登場する、特異な能力を持つ一族の総称です。

常野の人々は、普通の人が持ち得ない力を持っていますが、権力を持たず、群れず、温厚な一族です。
また、常野というのは、「常に在野の存在であれ」という意味だそうです。

不思議な能力

『大きな引き出し』に登場する春田家は、大量の書物やあらゆる古典を暗記する、驚異的な記憶力を持っています。
その他にも、

  • 「遠目」(とおめ)と呼ばれる予知能力に優れた一家
  • うんと離れた場所で起きていることを、目の前で見聞きすることができる、「遠耳」(とおみみ)と呼ばれた一家
  • 200年以上も生き続けている、長命種

も登場します。

ある意味、ファンタジーといえばそうかもしれません。
その分、舞台化された『大きな引き出し』は、世界観そのものが舞台映えしました。

魅力的な短編集

その他の短編も、それぞれ色があっておもしろいです。

最後の「坂道を降りて…」も好きです。
ファミレスで読みながら泣いてしまって、お姉さんに驚かれました(笑)

他の短編ありきの展開ではありますが、常野の人々を巡る出来事が素敵です。

「改めて、世界は音楽で満ちていると思うよね」

『蜜蜂と遠雷』にも通ずるようなこの言葉が、好きですね。

常野物語 続編

シリーズ続編『蒲公英草紙』はわたしの好きな、戦前のお嬢様と、お手伝いという設定です。
シリーズ3作目、『エンド・ゲーム』は『光の帝国』の『オセロ・ゲーム』の続編と思われます。また違ったテイストの、常野の物語です。

『光の帝国』が気に入った方は、続編もおすすめです。
こうやって常野の人々のその後を見守ることができて、嬉しいです。

ひっそりと、日常に溶け込む、常野の人々。
わたしたちが毎日平和に暮らせているのも、彼らの助けがあってこそ かもしれません。

今まで見ていた風景が別の意味を持って追って来るようになった。今まで何の感動もなく通り過ぎてきた町や村に彼等の末裔がひっそり住んでいるのではないかと思うと、その一つ一つが謎めき、奇妙な愛しさを感じる程だ。

常野の人々は、あなたのすぐそばにいるのかもしれません。

わたしもいつか、ツル先生に会いたいです。

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ABOUTこの記事をかいた人

1992年、愛媛県生まれ。愛知県在住。『わたしの本棚』ライター。 好きな本のジャンルはミステリー。読書歴は約10年。辻村深月、東野圭吾、森絵都、恩田陸、原田マハ、村山由佳作品をよく読みます。(敬称略) 辻村深月作品が特に好きで、情報収集や考察が日課。また、作品の舞台になった街へ赴く、聖地巡礼も楽しい。 今まで読んだ本で1番好きなのは、辻村深月 著『子どもたちは夜と遊ぶ』。何度も読み返してるのは、同じく辻村深月 著『スロウハイツの神様』。初めて読んだ高校時代から現在も、わたしに影響を与え続ける、大切な作品たち。 読書の他に、アルトサックス、お菓子作りも好き。