どうして、わたしにはお金がないのだろう。畑野智美 著『神さまを待っている』

こんにちは。すーちゃん(@suexxsf)です。
プライベートで忙しく、お久しぶりの投稿となります。

はじめに

皆さん、お金への不安はありませんか?
明日リストラされないという確証はないと思いますし、貯金ができていないとか、クレジットカードで使いすぎたとか、そういった不安がある方、いらっしゃると思います。

わたしもそのひとりです。不安です。

日々の家賃、光熱費、交際費、交通費、携帯代、クレジットカード代…その他。
恥ずかしながら、わたしはそれらの支払いに追われていて、ほとんど貯金できていないのが現状です。

とは言え、なんとかなると思っていました。
そしてテレビ等で「貧困女子」と聞いても、どこか別の世界のように感じていました。

そんな中、Twitterのタイムラインに流れていて気になったのが、畑野智美さんの『神さまを待っている』でした。

帯の「お金がない。」がシンプルに刺さります

本作を読み、自分もそっち側に行きそうな、そんな怖ささえありました。
そして、今までにないぐらい「お金」について考える良い機会になりました。

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どうして、わたしにはお金がないのだろう。

あらすじ

『神さまを待っている』では、主人公・愛が派遣切りに遭って、無職になるところから物語は始まります。

家賃が払えず、漫画喫茶を転々として過ごす愛。日雇い労働者として働いてる頃、同じ境遇の女の子・マユと出会い「出会い喫茶」で働くことに。

生きるためには、お金のためには、「ワリキリ(=売春)」をしなければならないのか。と、主人公が苦悩します。

貧困の正体について、ここまで見つめた作品は、初めて読みました。

「お金がない」

「お金がない」という状況。
これはとても深刻な状態です。

作中、主人公が地の文で

(前略)逆に、お金がなければ、またすぐにホームレスに戻ることになるかもしれない。その心配をしないでもいいように、たくさんお金が欲しい。
しかし、もっと、もっと、と願う気持ちには、果てがない。
どれだけお金があれば、裕福だと感じられて、満足できる生活を送れるのだろう。

(前略)しかし、いつまでそうやって生活していくのだろう。
安心して暮らせるお金は、全然貯まらない。
金銭感覚というのは、一度狂ったら、元に戻すのは難しい。

と、何度も何度も、お金がないことの不安を感じています。

読者であるわたしも、愛と同じ境遇に置かれたかのような気持ちで読み、ページをめくり続けました。

弟との共有

この小説を読んだあと、すぐさま弟に連絡しました。
最近、弟の好きな本の傾向がわかってきたので、合いそうな本をLINEで送っています。

その日も、「いつもとは違う感じだけど、もしかしたら好きなタイプの本かも」と言い、AmazonのURLと共に、本作を勧めました。
そしたらその5時間後、感想が返ってきました。(まさかの朝3時)

二人で、特に良いという話になったのは、愛とマユが何度か行っていた炊き出しでの話です。
愛がひとりで行った際、貧困問題をテーマに研究しているという、大学院生の女の子が愛を取材しようとするシーン。

温度差や格差さえ見え隠れする、会話。
あの描写は良かったね、という話になりました。

「神さま」について

タイトルにある「神さま」
それは、帰る場所のない女の子たちを泊めてくれる男の人のこと。

そこには大抵、代償が発生する。
それでも、頼れる人がいない子たちには「神」に見えるのでしょう。

貧困の正体

貧困というのは、お金がないことではない。
頼れる人がいないことだ。
わたしには、頼れる家族がいない。

この作品の心理はここにありました。

作者・畑野智美さんの実体験が多く描かれている、と文春オンラインの記事で読みましたが、この一文で、ハッとしました。

そして、忘れてはいけないことは、

命を守るためのお金であり、お金を稼ぐために生きているわけじゃない。

ということ。

また、そういう状態になっても、助けを求めること。
セーフティーネットを自ら学ぶこと。

当たり前のことのようですが、やはり大切なことだと感じました。

この分野に興味が湧いたので、参考文献にあった本たちも、これから読んでみたいと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

1992年、愛媛県生まれ。愛知県在住。『わたしの本棚』ライター。 好きな本のジャンルはミステリー。読書歴は約10年。辻村深月、東野圭吾、森絵都、恩田陸、原田マハ、村山由佳作品をよく読みます。(敬称略) 辻村深月作品が特に好きで、情報収集や考察が日課。また、作品の舞台になった街へ赴く、聖地巡礼も楽しい。 今まで読んだ本で1番好きなのは、辻村深月 著『子どもたちは夜と遊ぶ』。何度も読み返してるのは、同じく辻村深月 著『スロウハイツの神様』。初めて読んだ高校時代から現在も、わたしに影響を与え続ける、大切な作品たち。 読書の他に、アルトサックス、お菓子作りも好き。