こんにちは。すーちゃんです。
少し前、Twitterの読書垢(読書アカウント)界隈で、「オススメの◯◯作品を教えて」から始まる、作品紹介が流行りました。
タイムラインに流れたのを見て、わたしも辻村深月作品バージョンでツイートしたら、久しぶりに伸びました。
初心者
「オススメの辻村深月作品教えて」優しいオタク
「ツナグ」「かがみの孤城」じっくり育成したいオタク
「冷たい校舎の時は止まる」「スロウハイツの神様」沼に引きずり込むオタク
「子どもたちは夜と遊ぶ」話しかけてはいけないオタク
「盲目的な恋と友情」→続く
— Sumire Yano(スー) (@suexxsf) October 7, 2018
末期
「噛みあわない会話と、ある過去について」流行りに乗ってみましたw
こういうの、たのしい(笑)— Sumire Yano(スー) (@suexxsf) October 7, 2018
(RT、いいね、リプライしてくださった方々、ありがとうございます!)
どこでも公言していますが、辻村作品が大好きです。
わたほんでも既に、7冊の書評を書かせていただきました。
その中でも、映画化したおかげで知名度があり、また辻村作品初のシリーズものである『ツナグ』を紹介させていただきます。
(ツナグ2は、yomyomでの連載が先日終わりまして、書籍化を待っています)
新潮社ホームページ https://www.shinchosha.co.jp/sp/book/138881/
ツナグとは

タイトルであるツナグとは、生者と使者をつなぐ窓口。
漢字表記では使者、となるようです。
「死んだ人に会うことができる」と都市伝説のように広まる中、歩美は使者の仕事を、祖母から引き継いでほしいとお願いされます。
「こういうのはね、巡り合わせなんだよ。」
「何度かけても繋がらない人がいる一方で、本当に必要な人のところには、きちんと使者との縁がやってくるようになってる」
歩美の祖母はそう言います。
偶然の巡り合わせで繋がった人々。
彼らが会いたいと願う死者との最後の邂逅を通し、歩美自身も成長していく、という物語。
ツナグの魅力
以前、『子どもたちは夜と遊ぶ』の書評を書いた際、辻村作品の魅力を3点挙げました。
- 女子同士の心理描写
- 清々しい読後感
- 作品から派生するリンク
それを参考に、今回の『ツナグ』も紹介していこうと思います。
女子同士の心理描写
第3章「親友の心得」がそれに当たります。
実はわたし、映像でも小説でも、何度読んでもこの短編が腑に落ちなかったのですが、久しぶりに今回読んだら愕然としました。何これ。
同じ演劇部の、嵐と御園。御園は人付き合いがうまく、一匹狼になりがちな嵐を立ててくれるような子だった。二人は親友だった。
とあるオーディションでのすれ違いから、二人は仲違いする。一緒の通学路、冬は水が流れていると道が凍って危ないという話をしていた矢先。
嵐は出来心で、その家の水を流してしまう。翌日、その通学路の先でトラックで轢かれて亡くなってしまう。
嵐はツナグの存在を突き止め、御園と会う。
この先はもう、読んでほしい。ザクザク刺されてほしい。
9年近く追いかけている、辻村深月という作家のすごさを改めて感じる短編です。
清々しい読後感
「親友の心得」のあとに清々しいというのも不思議ですが、本作は全体的に見るとヒューマンドラマで、後味が好きです。
失踪した婚約者を待ち続けていたサラリーマンと、その恋人との再会のお話。「待ち人の心得」(第4話)は、特に好きです。
「親友の心得」との温度差もすごいですが、「待ち人の心得」がまとう空気がとても良いです。
映画になると、土谷さんとキラリが最後にベッドでじゃれあうシーンが、何度見ても本当に泣けます。
お互いが好きなのに、相手が死んでいるゆえ、もうこれが本当に最後。
そう思うとやるせないし悔しいし、けどもう前を向いて歩いてほしいというキラリの気持ちも伝わってきて、何だかとても好きです。
作品から派生するリンク
ツナグにもそのようなリンクがありそうで、明記はされていないけど、探すのが楽しいです。
辻村作品群として存在する、作品間の繋がり。
やはりファンとしては堪らないと思う今日この頃。
実写映画
松坂桃李さん主演。豪華俳優陣が揃った映画『ツナグ』は、2012年に公開されました。

原作の小説が好きで、実写映画も見に行くことはあるのですが、しっくり来ることは、正直 少ないです。
しかし、この映画は別です。
尺の都合で、第1話「アイドルの心得」が無かったことは残念でしたが、全般は素敵でした。
DVDも購入し、何度も観ています。
再現度が高い映画も、合わせて是非観ていただきたいですね。
初めて辻村深月作品を読む、という方にもおすすめの『ツナグ』。
わたしはこれから、続編『ツナグ2』を楽しみにしています!