【特集/食欲の秋】美味しいごはんが人と人を繋げる。角田光代 著『彼女のこんだて帖』

こんにちは!すーちゃん(@suexxsf)です。

10月も気づけば、もう15日。すっかり秋ですね。
秋と言えば…やっぱり食欲の秋ですよね!ってことで(笑)、
わたほん特集企画、【食欲の秋】始まります!!!

食べ物が題材の小説

今回、わたしがご紹介するのは、角田光代 著『彼女のこんだて帖』。


彼女のやわらかいタッチの作品がとても好きです。

美味しいごはんが人と人を繋げる

ごはんが人と人を繋げる、連作恋愛短編集。

ひとつひとつの短編が、じんわり胸に届き、ゆっくりと身体中に染み渡る。
美味しいごはんのように、じっくり味わいたい作品です。

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泣きたい夜はラム

冒頭の短編の話をします。

主人公・協子は、4年付き合った恋人と別れた。
4年ぶりの一人きりの週末、自分のために肉を、ラムのステーキを作ろうと思い付きます。

ステーキを作りながらも、別れた男のことを思い出します。

本当に、ずっと隣にいただれかがいなくなるということは、足元がぐらつくほどさみしいことなのだと、協子ははじめて知る。それでも歩かなくてはならない。

そしてラムのステーキを味わいながら、4年間での思い出も、自分の栄養になっていると気づきます。

このさみしさも、ラム肉みたいにしっかり味わうべきなんだ。それさえわたしの栄養になるに違いないのだから。

それらの思い出もすべて消化され、栄養となりエネルギーとなった、という考え方がとても好きです。

ごはんを大切にするということ

この短編を読んでいて思うことは、「ごはんを大切にしている」ということです。
ラム肉のステーキを作る協子の他にも、彼氏のためにかぼちゃ料理を作ったり、周りに振る舞うためにタイ料理を作ったり…と、別の短編に登場する人々も、みんなごはんを疎かにしていないのです。

特に最近は多忙を言い訳にし、ごはんを適当に済ませていたことを反省します。
「食べることは生きること」と言いますが、まさにそれだと感じました。

また、『ピザという特効薬』の中で、ちかげが

「あのね、食べものっていうのはね、おいしーい、って思って食べなきゃいけないの」
「自分で作ればなんだっていとしいし、おいしい」

というシーンも、「ごはんを楽しむ」ことの大切さを教えてくれました。

名言:「恋人がいないから不幸なんて、それこそ不幸な考え方だわ。高級ホテルもすばらしいけど、貧乏旅行でも豊かな体験ができる。こうやって食卓でできる旅だってある。幸せや満足のかたちは人によって違うんだもの」

この言葉は、『食卓旅行 タイ編』でのものです。
タイトルから想像できるように、食卓で世界旅行をするOLの物語です。

もちろん外食では、イタリア料理やフランス料理・インド料理といったお店はあります。
それを家の食卓で再現し、食同好会のようなメンバーと、食卓で旅をする。
素敵ですよね。わたしもいつか、やってみたい。

巻末レシピ付き

この短編にはいくつもごはんが登場します。そして巻末にはレシピが付いています。
そのごはんが、ひとつひとつが美味しそうで、そのレシピを参考に、2つほど過去に作ってみました。

そのひとつが、『恋するスノーパフ』に登場するスノーパフです。
(わたしの中のイメージは、無印良品の「ブールドネージュ」)

麻衣ちゃんみたいにはうまく作れませんでした…
お菓子作りは好きなのですが、成形という過程がとても苦手です。笑
(クリスマスに渡した友人は喜んでくれたので、それはそれで良しです…!)

そういえば渋谷にある“森の図書室”にも、『ストライキ中のミートボールシチュウ』のミートボールがレシピにありました。


小説に登場した料理を作るって、楽しいですね。

美味しいごはんで、人は前に進んでいく。
美味しいごはんで、人と人は繋がっていく。
『彼女のこんだて帖』、食欲の秋におすすめです!

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1992年、愛媛県生まれ。愛知県在住。『わたしの本棚』ライター。 好きな本のジャンルはミステリー。読書歴は約10年。辻村深月、東野圭吾、森絵都、恩田陸、原田マハ、村山由佳作品をよく読みます。(敬称略) 辻村深月作品が特に好きで、情報収集や考察が日課。また、作品の舞台になった街へ赴く、聖地巡礼も楽しい。 今まで読んだ本で1番好きなのは、辻村深月 著『子どもたちは夜と遊ぶ』。何度も読み返してるのは、同じく辻村深月 著『スロウハイツの神様』。初めて読んだ高校時代から現在も、わたしに影響を与え続ける、大切な作品たち。 読書の他に、アルトサックス、お菓子作りも好き。
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