男女間の友情は本当に存在する?千早 茜 著『男ともだち』

こんにちは。すーちゃん( @suexxsf )です。
少しずつ秋らしくなってきましたね。突然涼しくなると、体が追い付きません(笑)
風邪などには気をつけましょう…!

さて、今日ご紹介するのは、千早 茜 著『男ともだち』。


先日は千早さんの『正しい女たち』の書評を書きましたが、そもそも千早さんの作品で初めて読んだのは、『男ともだち』でした。
最初は村山由佳さんの解説に惹かれて手に取りましたが、読み進めるうちに、どんどんハマっている自分がいました。

この書評では、この作品の魅力を伝えられればと思っています。

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再読してこそ、見えるもの

最近、わたほんで書評を書く小説は、そのときに再読したものが多いです。
ストーリーをある程度覚えているから、もっと踏み込んで読み、掘り下げられるのが良いところだと思っています。
それと同時に、初読時と今の自分とで、読んだあとの感想が違ってくるのも、おもしろいです。

以前は口癖みたいに、「ハセオがほしい」と言っていたことを思い出します。

あらすじ

29歳のイラストレーター・神名(かんな)は、冷めた関係の恋人と同棲しながら、既婚者の医者の愛人でもある。
なりたい職業に就き、仕事は順調だが、本当に描きたいものを描いているのか、と模索している。
そんなある日、大学時代のサークルの先輩・ハセオから連絡が来る。
そこから、神名の生活に変化が訪れる…

「屑」な登場人物たち

主人公の神名やハセオはもちろん、恋人や愛人、旧友も、みんなどこかしら「屑」な一面を持ち合わせていて、わたしはどこかしら安心しました。
正論ばかりを振りかざしてくる人とでは、生きづらい世の中だと思いますから。

ハセオに「クソ女」と言われる神名ですが、本人もそれを自覚しています。
いろんなものにしがみつき、必死でもがいている彼女が、唯一自分をぶつけることができるのが仕事のとき。絵を描いているとき。
そんなときに、ハセオと再会できて良かったなと、読み終えた今、改めて思います。

また、千早さんと、映画監督の松居大悟さんとの対談(→記事)を読みました。
その対談記事の中の、「強すぎて責められる主人公」という箇所は、ちょっと違う気がしました。
以前はわたしも、神名のことを強い女性だと思っていました。
しかし今読むと、とても必死に生きているキャラクターだと思えて、彼女がとても愛しいです。

だからこそ、最後に乗り越えていく様は、格好よく、わたしも神名に続きたいとさえ思いました。

恋愛市場から仕事市場へ

これも前述の対談記事にあったのですが、今回読み直して、1番強く感じたことはこれでした。

「わかってもらおうなんて思うな。誤解されてなんぼやで。ばんばん圧倒して進めよ」

神名は29歳で、わたしは25歳ですが、その「仕事市場へ移るとき」は今なのかもしれないなぁ、なんて思っていました。
ハセオのこの言葉は、強くてまっすぐで、前に進んでいく力をもらった気がします。

自分にとっての「男ともだち」

読みながら、思い浮かべるひと

神名にとってのハセオのような、そんな男ともだちは、わたしにも1人だけいます。
ただ、彼女らと違うのは、過去に付き合っていた相手だということ。

神名とハセオは、ここまで距離が近くても、それでも1度も付き合ったことも、身体の関係になったこともない。
だからこの年まで、いわゆる「友だち以上、恋人未満」の関係を続けられているのでしょう。

わたしにとってのハセオは、大学時代に、1年半ほど付き合った相手。
2度目に別れてから、4年近く経とうとしています。

そのあとどんな人と付き合っても、この人に戻ってきてしまう。もう付き合うことはないのに。
他の人と別れたあとの愚痴を聞いてくれたり、仕事で落ち込んだときに奮い立たせてくれたり(励ますというタイプではない)。
未練じゃないなら、これはきっと執着。

過去との訣別

そんなときに読んだ『男ともだち』。

「なんにもないんなら、一度、全部なくしたらええんやって。残ったもんにしがみつくな」

ハセオのこの言葉が、胸に刺さりました。
今こそ、本当に自分のもとから捨てるタイミングではないかと思いました。

おわりに

最近、恋愛小説を読むたび、わたほんで自分の恋愛癖や過去の恋愛を暴露している気がしますね(笑)

今回、この書評を書きながら、改めて、書評を書くことは自分と向き合うことなのだと気づきました。
そして自分自身と戦うこと

最後は、ハセオの愛情の定義を。

「ねえ、ハセオにとっての愛情ってなに?」
「そうやな、見ててやることかな」

男女間の友情は存在するのか?論争に、いい塩梅にヒントが見えた気がした1冊です!

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