祝・文庫化!絆を感じる、ホラー短編集。辻村深月 著『きのうの影踏み』

こんにちは。すーちゃん(@suexxsf)です!

もうすっかり残暑になってしまいましたが、本日はホラー小説を推したいと思います。
辻村深月(@tsujimura_joho_) 著『きのうの影踏み』です。

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8/24に、めでたく文庫化されました
おめでとうございます!!

特設サイト→単行本刊行時 文庫化特設サイト

苦手なホラーもの

まずはじめに告白しておくと、わたしはホラーものが苦手です。

「ほんとうにあった怖い話」や「世にも奇妙な物語」は、クッションで顔を覆いながらテレビを見ています。(つまり、ほとんど見えていない)
小説では、貴志祐介 著『黒い家』が怖すぎて、やっぱりわたしには向いていない…と思っていました。

しかし、辻村さんのホラー短編集は、なんとか読めます(笑)

わたしの、辻村深月好きを知っているフォロワーさんから、少し前に何度か「辻村作品でホラー要素ある作品って、どれですか?」と聞かれることがあったので、まとめてこんなツイートをしました。

※『ふちなしのかがみ』に収録された『踊り場の花子』の映像化についての詳細
→「世にも奇妙な物語」ホームページ

辻村深月 流 ホラー短編集

そんな、ホラーが苦手なわたしですが、なぜ、わざわざ読むのか。
『ふちなしのかがみ』もそうですが、怖いだけで終わらないのが良さだと思っています。

特に本作『きのうの影踏み』では、『七つのカップ』という最後の短編でそれを強く感じました。
言ってみれば、「血が通った」小説だと思います。(詳しくは後述します)

特設サイトから読み取ること

先ほど掲載した、本作の特設サイト。

単行本刊行時のサイトでは、冒頭の『十円参り』という作品のラジオドラマが配信されていました。(たぶんもう配信終了しました)
ラジオドラマで聞いたときは、文字で読んだときよりも声から迫ってくるものがあって、結構ビビりました。

今回の文庫化のサイトでは、文豪ストレイドッグスとのコラボ?で、同じく『十円参り』の最初の部分のコミカライズが実現。
聞き手となる登場人物が、しっかり辻村深月。すばらしい…!

サイトでのインタビューを読み、やはり実話を基に描かれていた作品もあり、改めて怖くなったものもあります。

5ページという短さで、ここまで怖いと思わせられる『やみあかご』はすごいと思っています。
子育て中の方は、トラウマになるかもしれないので要注意。

不思議な世界への入り口

抱き寄せることや、“別口”の予感。
信じる信じないにかかわらず、向こうの方からやってくる力はたぶん、ある。
(『私の町の占い師』)

こういうことは、よくある。
誰も気付かないだけで、この世の中の、今日もどこかで、起きている。そのスイッチがいつ押されるか、わからない。
(『スイッチ』)

この2つの短編で、不思議な世界への入り口のようなものを、垣間見えました。

気づいていないだけ、感じていないだけ、見えていないだけ。
けれど、こういう不思議なことはきっと、今もどこかで起きているのだと思います。

「やぶれめ」の物語

解説・朝霧カフカさんの言葉を借りれば、本作は、「やぶれめ」にまつわる物語です。
(あえて「破れ目」と書かないところが良かったです)

少なくとも言えるのは、それに遭遇してしまったら、「世界は予想どおりルールどおりに、あたりまえに進んでいくんだな」と信じることはもうできない。
ひとつ信じられなくなると、すべてが信じられなくなる。
だって本当はこの世に約束事なんてないんだから。
その事実に気づいてしまうこと。それが「ほんものの怪異」です。
(解説より)

死者と生者をつなぐ想い

そして、最後の『七つのカップ』。
通学路の端に並べられたマクドナルドのカップ。
ここで事故が続くのは、昔ここで亡くなった女の子が原因なのか?というお話。

幽霊というのは皆、人間に危害を与えるものというイメージが強かったので、この短編は予想外でした。

幽霊が出てきたらいいのに、なんて願ってのは初めてだった。
(中略)どうか、女の子の霊が現れますように。
おばさんとその子が、会えますように。

死者と生者をつなぐ想いのようなものを感じられる短編。

単行本の裏の帯に書かれた「本作は全くのフィクションではなく、現実と地続きの物語です」という言葉を、実感できます。

その他にも、背筋がぞっとするような短編も、都市伝説や伝統行事にまつわる短編もあり、バラエティーに富んでいて楽しめます。怖いけど。

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ABOUTこの記事をかいた人

1992年、愛媛県生まれ。愛知県在住。『わたしの本棚』ライター。 好きな本のジャンルはミステリー。読書歴は約10年。辻村深月、東野圭吾、森絵都、恩田陸、原田マハ、村山由佳作品をよく読みます。(敬称略) 辻村深月作品が特に好きで、情報収集や考察が日課。また、作品の舞台になった街へ赴く、聖地巡礼も楽しい。 今まで読んだ本で1番好きなのは、辻村深月 著『子どもたちは夜と遊ぶ』。何度も読み返してるのは、同じく辻村深月 著『スロウハイツの神様』。初めて読んだ高校時代から現在も、わたしに影響を与え続ける、大切な作品たち。 読書の他に、アルトサックス、お菓子作りも好き。