こんにちは。すーちゃん (@suexxsf)です。
ある日、自分が書いた書評の下にある、自己紹介文を見て気づいたんです。
好きな作家を何人かお名前を挙げていて、大抵1度は書評を書いているのに、恩田 陸さんは書いてなかったということに…!
そうなったら、読みたくなるわたし(笑)
『六番目の小夜子』や『夜のピクニック』といった有名な作品は置いておき、恩田さんには珍しいラブロマンスものの書評を書いていきたいと思います。
- 運命を感じる本
- 一瞬一瞬を大事にしようと思える本
目次
『ライオンハート』について
恩田 陸さんについて
恩田 陸さんといえば、昨年『蜜蜂と遠雷』で直木賞・本屋大賞をダブル受賞したことは、皆さんの記憶にも新しいことでしょう。
彼女の作風は多岐にわたります。ミステリーやホラー、エッセイ、SF…作品ごとに楽しませてくれます。
人によっては、ラストがはっきりしていないと思うこともあるかもしれません。わたしも以前、そう思っていました。
しかし、読む時期によって、自分が受け取るものは変わっていくようです。
本作について
神のおぼしめしか、気紛れか。はたまた、運命のいたずらか。
ひたすら生まれ変わり、出会い、また別れることを繰り返す、エリザベスとエドワード。
時の狭間で、ほんの短い時間。決して結ばれないが、深く愛し合う2人。
何十年も待ち、ようやっとできた再会。そのあとの別離。
その一瞬一瞬が、とても尊く感じられます。
絵画のような小説
この小説は、絵画のようだと感じることがあります。実際、短編の前に、1枚の絵画が載っています。
そこを起点とする物語と思うと、その絵画まで愛しくなってきます。
個人的には、冒頭の『エアハート嬢の到着』と、その次の『春』が好きです。
『エアハート嬢の到着』は、2人の最初の出会いであり、また『春』は第三者が2人の再会を眺めているというのが興味深いです。
現実にはありえないことですが、例えば、もう会えないと思っていた相手と、どこかでほんの少しだけ、会えるからくりができていたら。それが、心から好きな人だったら。
その逢瀬は、何事にも代えがたい瞬間なのかもしれません。
キーワード
- 白いレースのハンカチーフ
「from E. to E. with love」の縫い取り - LIONHEART
- 夢と祖父の日記
- 紋章
名言:「いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに会えて良かったと思うの。いつもいつも。あなたに会えた瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ」
これは、2人の別離の間際、いつもエリザベスが口にする言葉。
この言葉で、エドワードは次の再会まで我慢できると言います。
つらいけれど、逆にここまで想い合えるって、本当に幸せなのではないか…とさえ思いました。
ああ、そうだ。私たちはまた出会うのだ。時のはざまで。誰かの巨大な意識の流れのほとりで。ただこの瞬間のためだけに、私たちは生を授かり、これまでの生を生きてきたのだ。
まとめ
正直、まとめようとすればするほど、作品の良さが薄れていきそうで、あまり書けませんでした。
この美しい世界、贅沢な読書体験。多くの方に読んでいただければ嬉しいです。
どこかで今も、2人は再会を待ち望んでいるのかもしれません。