5月企画の【名言集】!
私は大好きな西加奈子さんの「白いしるし」からピックアップします!
32歳、独身女性の夏目は真っ白な絵を描く間島の絵に見た瞬間に惹かれてしまう。そして間島自身にも恋をするーー

彼のことを苦しなるほど好きだ、ということは、出遭ってすぐに分かっていた、
相手のことをまだ全然知らなくても、出遭ったその日にこの人好きになるとわかるときがあります。
好きになるかもという可能性ではなく、好きだ、なんですよね。一目惚れという言葉もありますが惚れるというより、あ、この人好きになるなと気づくというほうが近い気がします。そして人を好きになることは苦しい。何気ないことに一喜一憂して頭の中が支配されて。人を苦しくなるほど好きになることは抜け出したくても抜け出せない。
一生帰ってこんかったってわかったってことは、俺も一生生きてたってことやんな。
3年前に出て行った恋人を待ち続ける夏目の友人の瀬田。残った猫を増やし続け恋人のように大事に大事にして恋人を待つ。普通ならもう戻ってこないと思うが、そんなことは一切考えずに帰ってくることを疑わない。その純粋さと切なさにちょっと心苦しくなる。恋人を信じて疑わない瀬田は間違いなく誰よりも純粋だ。
瀬田の想いが、塚本美登里の想いが、間島昭史の、私の想いが、どうか救われますように。その先に、光がありますように。願った。願った。
ラストシーンでの文。
ハイエースを一人で乗りこなし、ひたすらに目的地に向かう夏目。発光する偉大な富士山にそれぞれの先に光があることを願う姿はかっこいい。
それぞれが全身で恋をしている。誰かが誰かのことを好きになる。ただそれだけ。こんなに素敵なことが他にあるでしょうか。読むと毎回ぎゅっと少し切ないけど絶対に恋がしたくなるそんな話。
夏目と真島の絵も正反対のようで似ていそうな絵も見てみたい。定期的に読み返したくなる1冊。ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?