【特集/食欲の秋】“かたくて甘くないパンが好き”。瀧羽麻子 著 『うさぎパン』

こんにちは、みき(@_miki972)です!

少しずつ葉の色が色づいて、朝家を出ると空気がひんやりと冷たくなり、もうすっかり秋だなあとしみじみ思います。

今回は「食欲の秋」特集ということで、食べ物にまつわるおすすめの本をご紹介したいと思います!

以前、木皿泉さんの昨夜のカレー、明日のパンをご紹介した際にも言いましたが、私はパン屋さんのパンが好きです。

ふんわり暖かい店内、焼き立てのパンのにおい、妙にうすいビニールに個包装されたパンから伝わる温度……!

今回は、瀧羽麻子さん著の「うさぎパン」をご紹介させていただきます🐰

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あらすじ

 

お嬢様学校育ちの優子は、高校生になって通いはじめた共学の学校で“富田くん”と出会う。

二人の共通点は“パンが大好き”ということ。

家庭教師の美和ちゃんと、心配性な継母のミドリさん、恋多き親友の早紀。

まわりの人たちに囲まれながら、優子と富田くんは大好きなパンを食べて穏やかに過ごす。

ある日、突然美和ちゃんの体に、死んだはずの母親“聡子”が宿って、たまに顔をだしては優子と話をするようになるが…。

「好きなものはなんですか?」

 

「好きなものはなんですか?」
「パンです」

「はい!僕もパンが好きです!」
「文化祭は一緒にパン屋をやりませんか?」

主人公優子はパンが好きで、高校の最初の自己紹介でも上記のように答えてしまうほど。

富田くんはお調子者の、パン屋の息子で、自己紹介で好きな食べ物をパン、と答えてクラスを微妙な空気にしてしまう優子に助け舟を出します。二人はここから少しずつ仲良くなってゆきます。

この小説はパン好きの優子視点で描かれていることもあり、パンの表現が本当にうっとりしてしまうくらいおいしそうで、なんだか読んでいるとお腹がすいてしまいます…!

太さと長さの違うバゲットが何種類か、バスケットにささっている。
棚には、ふっくらとしたクロワッサン。
ぱりっとした表面の小さな丸いパン。
雑穀入りと思われる、ごまのまぶされた細長いパン。
リンゴののった、つやつやしたデニッシュもある。

どこからか、パン屋さんのあのあたたかくてふわふわの匂いが漂ってくるような…そんな文章にうきうきしてしまいます。

みまもる大人

 

この小説にでてくる、優子の家庭教師、美和ちゃん。

大学院の二年生で、頭が良いのに、まわりに頭が良いと思われるのを嫌う、本人曰く“お気楽大学生”。

美和ちゃんは優子に勉強を教えながら、姉のような親密さで相談に乗ってくれる、まさに理想の家庭教師です。

美和ちゃんはのんびりしていて、本人のいう通りお気楽に描かれてますが、私は彼女の芯の部分にある気難しさのようなものがたまらないくらい好きです。

「ただ、突然、いろんなところから離れたくなっちゃうの。」
どうしても我慢できないのだと美和ちゃんは言った。
わたしにとっては初耳だったけれど、美和ちゃんは、だれにも行き先を告げずにふらっと一人で旅に出てしまったりするらしい。

美和ちゃんのそんなおおらかさのようなものに導かれ、優子の死んだ母親“聡子”が、たまに顔を出すようになります。

優子は聡子と関わっていくうちに、忘れていた幼少期のことを少しずつ思い出してゆきます。

うさぎパン

 

小説のタイトルである「うさぎパン」は、主人公優子にとって大切なものです。

パン仲間であり、そしていつしか大切な人になってゆく富田くんや、姉のように親しい美和ちゃん、色んな人と関わりながら、優子は大切なことを少しずつ気が付いてゆきます。

ふんわりと良いにおいが漂ってくるような一冊、「うさぎパン」。

この秋、皆様もぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

🐰章ごとの区切りが可愛いらしくてほっこりします。

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本好きの21歳です。 神奈川県に住んでいますが、東京で働いています。 よく読むジャンル:純文学 好きな作品:みずうみ(よしもとばなな)、落下する夕方(江國香織)、銀河鉄道の夜(宮沢賢治)、赤毛のアン(モンゴメリ) 色んな作品に触れ、感じたことを発信できればと思っています。