空のめぐりのめあて。宮沢賢治 著『双子の星』

あまのがわのにしのきしを、
すこしはなれた そらの井戸。
みずはこころ そこもきらら、
まわりをかこむ あおいほし。
夜鷹ふくろう ちどり かけす
来よすとすれども できもせぬ。

こんにちは、みき(@_miki972)です!

以前に山奥の温泉地に旅行へ訪れた時に、冬の凍えるような空に一面星がきらきらと光っていて、本当に綺麗でした。

星と言えばオリオン座とシリウス、あとは北極星、夏の大三角形、なんて有名どころくらいしかぱっと見てわからないくらいには無知ですが、星をテーマにした書籍がとても好きです。

以前に銀河鉄道の夜をご紹介させていただきましたが、今回は同じ宮沢賢治著の、「双子の星」をご紹介させていただきます。

あらすじ

 

天の川の西の岸には双子の星がいます。チュンセとポウセ、双子のお星さまです。

毎晩“星巡りのうた”にあわせて笛吹くのが二人の仕事です。

ある時二人は、日が昇った頃を見計らって、西の野原に水を飲みに訪れます。

その先で出会った大烏と蠍の喧嘩に巻き込まれてしまう二人。

またある時は、乱暴ものの箒星に言われて遠出をしますが、だまされて海の底に沈んでしまいます。

二人は無事に自分たちのお宮に帰れるのでしょうか。

美しい童謡にのせて

 

あかいめだまの蠍
広げた鷲のつばさ
あおい目玉の子犬
ひかりの蛇のとぐろ
オリオンは高くうたい
露と霜とをおとす

アンドロメダの雲は
さかなのくちの形
おおぐまの足を北に
いつつのばしたところ
こぐまの額のうえは
空のめぐりのめあて。

上記は双子の星たちが毎晩うたっている“星めぐりのうた”です。

童謡として今でも多くの人に親しまれています。

昔、この詩を読んだ時にきれいだな、とうっとりして、いつの間にかすらすら言えるようになっていました。いちばん好きな詩はなんですかと訊かれたら、迷わずこの詩をこたえるくらいには、響きの美しさを気に入っています。

なので、短い文章で美しい文字を連ねる詩や短歌が好きな方にはぜひおすすめしたいです。

本の世界をめぐってゆく

 

双子の星は銀河鉄道の夜でも以下のように登場します。

「あれきっと双子のお星さまのお宮だよ。」
「双子のお星さまのお宮って何だい。」
「あたし前になんべんもお母さんから聞いたわ。ちゃんと小さな水晶のお宮で二つ並んでいるからそうだわ。」

賢治の作品は星をテーマにしたものが多いので、その一つ一つがどこかでつながっています。

私はこの「双子の星」を短編がいくつも入った一冊の本で読んだので、いろいろんなところで話が繋がっているのがおもしろくて、またその感じが星座みたいだな~と思いました。

疲れてたり、なんとなく集中力がない時は長い小説より短編集ばかり読んでしまいがちなんですけど、宮沢賢治の短編はいくつか読むとそれが一つの作品として大きなひとかたまりになるので、長い本を読んだ時と同じくらい充実感を感じます。

星をみてみる

 

銀河鉄道の夜」や今回ご紹介した「双子の星」や、あといつかご紹介したいと思っている「夜鷹の星」や「春と修羅」などを読んだ後、以前より夜空が近くなったような気になりました。

たぶん全然無関係なんでしょうけど、二つ並んだ星を見つけたら「あれは双子の星かな」とか思ったり、あかく光る星をみたら「あれは気の短い蠍かな」と思ったり。

読んだ後、夜空がちょっと近くに感じる、そんな近しさが感じられるのが、長く愛され続ける童話や童謡の魅力なのかな、と思います。

美しい夜空を、かわいらしい双子の星がめぐる「双子の星」。

みなさまもぜひ、読んでみてはいかがでしょうか。

ABOUTこの記事をかいた人

本好きの21歳です。 神奈川県に住んでいますが、東京で働いています。 よく読むジャンル:純文学 好きな作品:みずうみ(よしもとばなな)、落下する夕方(江國香織)、銀河鉄道の夜(宮沢賢治)、赤毛のアン(モンゴメリ) 色んな作品に触れ、感じたことを発信できればと思っています。
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