こんにちは、みき(@_miki972)です!
今回は「人生に影響を与えた3冊」という特集に沿って、私が大切に思っている本をご紹介していこうと思います。
人生に影響を与えた、というと、どの本だろう…と毎日ぼんやり考えましたが、私はまだまだ若輩者で、そんな大仰な言葉を前にうんうん唸りました。
なので、この本に救われたな、この本がなかったらきっとあの時だめになってただろうな、と確信している3冊をご紹介させていただきます。

みずうみ/よしもとばなな
1冊目にご紹介させていただくのは、よしもとばななさん著の「みずうみ」です。

この本は私が高校生の時に学校の図書室で出会いました。
綺麗な表紙だな、読んでみよう、という軽い気持ちで手にとったこの本を、自分でも買って、何度も何度も読み返して、心の処方箋みたいに今でも大切にしています。
この本は、大好きな母親を亡くした主人公、ちひろが、心に重荷を背負う青年、中島くんに出会い、懐かしい記憶をたどりながら静かなみずうみのほとりにある一軒家へ向かう話です。
二人のやり取りのなかに、こんなシーンがあります。
「中島くん、いかないで、どこにも。(中略)ただ、この世に居続けようとしてほしい」
「いきたくないけど、どこにも」
中島くんは言った。
「でも体の中の何かが、この世にいちゃいけないって、いつも言ってるみたいなんだ」
「戦ってよ、中島くん」
私は二人のこのやり取りが本当に好きです。
当時私はまだ十代の幼い心に耐えられないくらいのいろいろなことが重なって、本当に辛くて、大好きなはずの友達や先生にも会いたくなくて、うわーん!という状態がずっと続いていました。
自暴自棄になっていけない道へ進んでしまいそうだったときに、主人公ちひろの「戦ってよ」という言葉が、まるで自分に言われているみたいで本当に心強くてうれしくて、ぼろぼろ泣いてしまったのを覚えています。
「戦ってるけど、でも、奪われたものが多すぎて、うまく戦えないんだ」
「弱気になっちゃだめだよ」
体は全部知っている/吉本ばなな
2冊目は、またまた吉本ばななさんの「体は全部知っている」です。

この本は心と体がテーマの13本の短編が収録されています。
特に、いちばん初めに収録されている「みどりのゆび」というお話についてご紹介させていただこうと思います。
このお話は、主人公とその家族が、主人公の祖母を看取るまでの出来事がとても緻密に描かれています。
主人公が、祖母が大事にしていた植物たちに水をやる時の言葉が、とても暖かく、読んだ人を救うような優しさに満ちています。
いつも自分のことよりも私やおまえたちを気にしてくれていた人が、やっと自分のことを考える時がきたんだよ。
病室で眠る祖母の姿を見て、こんなに暖かい言葉がでてくる主人公の清らかさがとても好きです。
私はこの本を読んだ時、ちょうど自分の祖母が入院していて、もうほとんど口もきけないくらいになっていました。
眠る祖母の横顔を見て、自分のことだけを考える時がきただけだ、と思うと、悲しい気持ちがふっと和らぎました。
キッチン/吉本ばなな
最後まで一貫してよしもとばなな先生で書こう、とこの特集に参加させていただくことになった時から決めていました。

私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。
主人公みかげは、共に暮らしていた祖母を亡くし、ひょんなことから祖母の知り合いの青年と、その美しい母、えり子さんのもとで暮らすことになります。
しかし、気づくとほおに涙が流れてぼろぼろと胸元に落ちているではないですか。
たまげた。
自分の機能が壊れたかと思った。ものすごく酔っぱらっている時みたいに、自分に関係ないところで、あれよあれよと涙がこぼれてくるのだ。
バスでたまたま出会ったおばあさんとその孫のやり取りを見て、みかげがこぼすこの台詞がとても好きです。
自分ではもう踏ん切りをつけた、大丈夫だ、いつも通りだ、と思っていても、こころは全然回復していなくて、わけもわからないまま涙がとまらない、って、皆様も身に覚えがあるのではないでしょうか。
みかげはひとしきり泣いた後、
神様、どうか生きていけますように。
と祈ります。
私もなにか心がもやっとするようなことがあったときは、みかげのようにどうか生きていけますようにと祈るようになりました。
生きていけますように、というアバウトなかんじが、なんだかとてもおおらかで、胸のなかで唱えるとほっとします。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
よしもとばななさんのお話は言葉のひとつひとつが魔法みたいで、悲しい気持ちが和らいだかと思えば、ためこんでいた何かを洗い流すように涙があふれてきたり、言葉でこんなに心を揺さぶられるなんてすごいな、といつも思います。
私は以上の3冊に本当に助けられました。
この記事を読んだ方が手にって、同じように抱えていた何かが軽くなったりしたらとても嬉しいです。