ほんとうのさいわいを探しに行く― 宮沢賢治 著 『銀河鉄道の夜』

「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったね、どこまでもどこまでも一緒に行こう」

こんにちは、みき(@_miki972)です!
夏になると読みたくなる小説、皆さんにもありますか?

ここ最近火星が急接近していたおかげで、夜空を見上げる回数が多くなり、ふと読み返したくなった小説があります。

今回はあまりにも有名な美しい小説、「銀河鉄道の夜」について綴っていこうと思います。

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あらすじ

 

主人公ジョバンニはいじめられっ子で、孤独を感じています。

病気がちな母親のために毎日働き、同級生たちの輪になじめず、唯一の友人カムパネルラとさえうまく話せません。

ある日、同級生たちが星祭で流す烏瓜を取りにいく約束をしている中、一人仕事へ向かうジョバンニ。

仕事を終え、家に帰り、母親のために砂糖いりの牛乳をこしらえようとしますが、配達がまだきていません。

牛乳を取りに向かうジョバンニですが、いじめっ子のザネリたちに出くわし、牛乳も入手できず、一人天気輪の柱のある丘へ向かいます。

そこで聞こえてくる不思議な声

「銀河ステーション、銀河ステーション――」

美しい銀河を走る列車に乗って

 

「おっかさんは、ぼくを許してくださるだろうか」
「ぼくはおっかさんが、ほんとうに幸せなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんの一番の幸せなのだろう」

ジョバンニが乗った列車には、友人のカムパネルラも乗り合わせていました。

カムパネルラは少し顔色が青ざめて、どこか苦しい、というような顔をしています。

そうして、上記のようなことをジョバンニに言います。

カムパネルラは川でおぼれたいじめっ子のザネリを助けるため、川に飛び込み死んでいたのです。銀河ステーションとはあの世の世界。それに気づかないジョバンニは、窓の外の素晴らしい景色に胸を躍らせます。

二人は列車に揺られながら、銀河を旅してゆきます。

二人の持つ切符

アルビレオの観測所の付近にて、列車の車掌がやってきて、二人に切符を見せるよう促します。

カムパネルラのものとは違い、ジョバンニの持つ切符はどこにでも行けるものでした。ジョバンニはまだあの世の住人ではないため、元の世界へ帰れるのです。

途中で乗ってきた小さな姉弟と仲良くなるジョバンニとカムパネルラ。
やがて姉弟が下りる駅が近づいてきます。

「厭だい。僕もう少し汽車へ乗ってから行くんだい」
「僕たちと一緒に乗っていこう。僕たちどこまでだって行ける切符を持っているんだ」

降りたくないと駄々をこねる小さな男の子に対して、ジョバンニはこう投げかけます。けれどどこまでだって行けるのは、乗客のなかでただ一人、ジョバンニだけなのです。

「だけどあたしたちもうここで降りなきゃいけないのよ。ここ天上へ行くところなんだから」

姉弟は乗っていた船が氷山にぶつかり沈んでしまい、気が付くと列車に乗っていた子供たちでした。

姉弟が下りた後も、列車は銀河を進んでいきます。

一方通行の旅路

 

「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったね。どこまでもどこまでも一緒に行こう。」
「僕もうあんな大きな闇の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいを探しに行く。どこまでも僕たち一緒に進んで行こう。」

「--ああきっと行くよ。あそこの野原はなんてきれいだろう。みんな集まってるねえ。あそこが本当の天上なんだ」

ジョバンニがカムパネルラの言うほうを見ても、ぼんやり白く見えるだけで、野原なんてものは到底見えませんでした。

気が付くとジョバンニはもとにいた丘に寝転んでいました。

しばらく歩くと川の端にひとだかりができています。

同級生に訊くと、川に落ちたザネリを助けるために飛び込んだカムパネルラが見つからないというのです。

ほんとうのさいわいを探しに

 

宮沢賢治の作品の特徴として、宗教や生死について多く描かれています。

ほんとうのさいわいとは何か。

ザネリのために身を挺して命を落としたカムパネルラの選択は正しかったのでしょうか。

カムパネルラにとって、そしてカムパネルラの心配していた母親にとって、ほんとうのさいわいとは何だったのでしょうか。

カムパネルラとあの小さな姉弟が下りた駅が違ったように、ジョバンニが持っていた切符が特別だったように、ほんとうのさいわいとは人それぞれ異なるものだと思います。

今回この記事を書くにあたって、たくさんの方の考察や感想を読みました。本当に多くの考えや解釈が存在し、読んだ人の数だけ違う世界があるのだと感じました。

人によって解釈が大きく異なるのが、この作品の大きな魅力の一つとも言えるかもしれませんね。

美しい銀河を旅する「銀河鉄道の夜」。

この夏、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

本好きの21歳です。 神奈川県に住んでいますが、東京で働いています。 よく読むジャンル:純文学 好きな作品:みずうみ(よしもとばなな)、落下する夕方(江國香織)、銀河鉄道の夜(宮沢賢治)、赤毛のアン(モンゴメリ) 色んな作品に触れ、感じたことを発信できればと思っています。
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