
人間関係に疲れた時、人との関係でトラブルが起きたとき、心がどうしても弱ってしまう。
そういう時、人はなかなか冷静な判断が下せずにいる。
必要以上にリスクを考えてしまったり、あることないこと吹聴されてしまうんじゃないかと風評被害を恐れたりする。
また相手に対して怒りや嫌悪を感じて、常にイライラすることもある。
心が疲れ、本来自分がやるべきことができなくなったり、ひどい場合は体調不良に陥り寝込んでしまうこともある。
こっちだって頭に来ている。
本当は言い返してやりたい。報復出来たらどんなにすっきりするだろうか。
そんなことを思ったり、感じたことは誰だって一度はあるはず。
しかし、それらは全て無駄。無駄というより火に油を注ぐこととなり、事態を余計悪化させてしまう。
そういった行き場のない気持ちを整理させ、落ち着きを取り戻す、そのためには相手よりも自分のやりたいこと・やるべきことに集中することだ。
「頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法」田村耕太郎著は、そんなイライラした自分に落ち着きを取り戻してくれる本だ。
過激なタイトルとは裏腹に自分の人生を見つめるきっかけとなる内容
「アホ」と書くといかにも自分が優れていて相手が悪いのだという印象をうける。
著者の田村耕太郎氏は、慶応義塾大学大学院やエール大学経済大学院を卒業。MBA取得。その後金融業界でバリバリ働き、政治家になるというエリート中のエリートだ。
彼にとっては多くの人が「アホ」に見えてしまうのではないかと思ってしまう。
しかしそういうキャッチーな言葉遣いが出てくるのは全6章のうち、最初の1章の部分だけであり、特に後半は自分の人生で大切なものを見極めるヒントになるようなことが満載だ。
超エリートが考える人生で一番大切な能力とは?
事をなすために、経営者だろうが、学者だろうが、政治家だろうが、行政官だろうが、必要な能力がある。
それは「相手の気持ちを見抜く力」だ。
超エリートの田村氏は、これまで様々な挫折をしてきた。
「エリート故のプライドの高さ」、「持ち前の自己責任感の強さ」、「ストレートな物言い」などからいつも敵を作ってきたらしい。
そんな彼が気づいたのは、「相手の気持ちを見抜く力」が人生で一番大切な能力だということ。
これがわかっていないとエリートなのに挫折をする。いやむしろ頭のいい人、学歴の高い人ほどこの能力がないから挫折をする。
他者を怒らせずに、戦わずに、味方にして巻き込んでことを為すには相手の気持ちを理解する力をつけないといけないのだ。
得意淡然、失意泰然
この本で好きな言葉がでてくる。
「得意淡然、失意泰然」
物事に一喜一憂せずに淡々としている者が最後には勝つという教えだ。
一喜一憂せず淡々とやることをやり続けるということは人生の成功法則だ。
多くの人は継続することが難しい。その理由はその都度自分の感情に振り回されているからだ。
何かを行動する動機に感情が影響する。
楽しいからやる、辛いからやめる、それも人生だが、何かを成し遂げようとしたときはそれではいけないということをこの言葉から教わることができる。
本著を読み終えて感じること
著者の田村耕太郎氏は1963年生まれ。現在54歳だ。
個人的にはこの本に記されていることに共感する部分がたくさんあった。
人生とはそうあるべきだと思う。
しかし一方で現在活躍している20-30代の若者はこの本とはまた違った価値観をもって行動し成功しているようにも感じる。
新しい価値観で自由を再定義している。
それはこの本に出てくる世界や価値観とはずいぶん違う。
なんというか、時代は少し変わったのかなと感じる。
20代や30代前半の経営者やフリーランスの方が読むとどう感じるのか知りたい。