大人に読んでほしい児童書。トーベ・ヤンソン 著『ムーミン谷の冬』

はじめに

みなさんは幼いころ、夜中に起きてしまい不安を感じたことはありませんでしたか?

私は冬の夜に目が覚めてしまってすごく寂しくなったことがあります。

夜のしんしん冷える冷たさ、静かな部屋で時計の音だけが響く、隣で眠る母を揺らしても起きない。
すやすや寝ている横顔は私の知ってるお母さんじゃない気がして心の底から不安になりました。

今日紹介するトーベ・ヤンソン著『ムーミン谷の冬』は主人公のムーミンが冬眠する時期に途中で起きてしまいます。
ママもパパもみんな眠っていて、世界で自分だけしかいないようなひとりぼっちのお話です。

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トーベ・ヤンソンの描く『ムーミントロール』は妖精たちの住む谷に住・ムーミン谷に住んでいるいきもの。

ムーミンの白くて可愛い姿は全世界で愛されており、様々なグッズやムーミンをモチーフにしたカフェなどがある人気キャラクターですよね。
しかし、ちゃんとお話を読んだことのある人は意外と少ないのではないでしょうか。

あらすじ

ムーミントロールは冬眠します。11月から4月までは家のベットで眠るのです。
しかし、ムーミンは窓から青い月の光で起きてしまします。目はしっかりあいてしまってもう眠れませんでした。

「ママ、起きてよ。」「世界じゅうが、どこかへいっちゃったよ。」
ムーミンは寝ているママの布団をひっぱりましたがムーミンママは起きません。

仲良しのスナフキンは旅に出でいて春にならないと会えません。

お腹を空かせたムーミンは食べ物を探しに外へ出ます。
外の世界には降り積もった雪や葉のついていないジャスミンの木、ムーミンがみたことのない景色が広がっています。
はじめて冬を過ごすムーミンにはいったいどんな出会いが待っているのでしょうか―――。

みんなちがって、それでいい

私がムーミンシリーズを好きな理由のひとつが登場人物がヘンテコというところです。
一人一人の哲学をもっていて、人目を気にしていないところが読んでいて安心します。

この物語にはムーミン以外にミイやトゥーテッキ(おしゃまさん)、めそめそくん、ヘムレンさん等が登場します。

ものすごく簡単に説明すると、

ミイ…いたずら好きで乱暴、人のことは考えない女の子。
トゥーティッキ…男の子に見えるけど女の子。ムーミン一家の水浴び小屋に不法占拠している。
めそめそくん…自分を狼の兄弟だと思い込んでいる。本当は犬。
へムレンさん…空気が読めなくておせっかい、みんなから少し嫌われている。

といった感じで一癖ある人達ばかりです。とくにヘムレンさんはみんなから可哀想なくらい煙たがられていますが、ヘムレンさんと接していくうちに彼の思考や良い面、悪い面、どちらも知ることができます。
また、冬に対しても、最初は「世界が死んでしまった」とこわがっていたムーミンですが、外に出で冬を知りるなかで恐怖や偏見がなくなり良いところも見つけることができました。

これは作り話ですが私たちの世界でも相手が自分と違うということを理解したうえで接することができたら、きっと素敵なんだろうなと思いました。

最後に

ムーミンシリーズは児童書として出版されていますが、悪い奴がでできてこらしめる!というような単純なものではなく「なんとなく悲しい」とか「なんだか素敵」といった単純ではない心も描かれています。

また、文章が詩のようで哲学的で深いです。昔は何も考えずに読んでいましたが今読み返すとグッとくるセリフに元気づけられます。
ぜひあたたかい物語とムーミンたちのハッとする言葉にぜひ癒されてください。

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おまけ~新装版との違い~

読み比べてみて翻訳が少し違うということに気づきました。新装版のほうが言葉が綺麗でした。

例えば、従来だと「お前が死んだらな」というセリフが新装版の場合は「そのうちね」と訳されています。
読み比べるのも楽しいのでオススメです。