僕は父に嘘をついた。トールマン・カポーティ 著『あるクリスマス』

先週に引き続き、今日も冬に関連する本を紹介します。
クリスマスシーズンに読んでいただきた一冊。

トールマン・カポーティ著/村上春樹訳 『あるクリスマス』

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著者のトールマン・カポーティは世界的に有名な小説家ですね。
彼の作品を読んだことがなくても『ティファニーで朝食を』『冷血』という作品名は耳にしたことはあるという人もいるのではないでしょうか。

『あるクリスマス』は私が初めて読んだカポーティ作品です。
個人的な話ですがこの話を読むといつも感情がゆれて体調を崩してしまうのです。

このお話はけっして「心温まるクリスマスのお話」ではありません。

あらすじ

両親と離れて、田舎の親戚の家で暮らす6歳の少年バディー。
彼は何年ものあいだ両親にあっていなかったが、あるクリスマスシーズンに彼の父の呼ばれ、父親の暮らす街・ニューオーリンズに行くことになった。
数日間、物理的にも心理的にも距離のある親子二人で過ごすクリスマスとは。

父親と息子の温度差

主人公のバディーは幼少期のカポーティを映したような家庭環境です。
離縁した父母のものをはなれ親戚の家に身をおくバディーは両親からの愛情はもらっていないことは事実ですが、バディー自身はそれを辛いことだとは思わず美しい田舎での生活に満足しています。

父と過ごすニューオーリンズの煌びやかな街に興味はありませんでしたはやく田舎のおうちに帰りたいな……なんてことばかり考えています。
一方、父親は久しぶりに息子に会えたことが嬉しく、たくさんの愛を伝えます。(息子への愛というよりかは自分自身の孤独も含まれている気がしましたが…)

バディーはニューオーリンズから田舎へ帰る時も父親の「一緒に暮らしたい」という願いに気づかないふりをします。
田舎に帰ってからバディーが父親にあてた手紙は一見、“心あたたまる息子からの手紙”ですが、そこにつづられた「あいしています」はバディーが子どもらしくかいた儀礼的なものでした。

孤独な父親と大人になっていく少年の心の痛みがひしひしと伝わってくるお話です。

最後に

カポーティの短編小説集『誕生日の子どもたち』にも収録されています。
少年少女の無垢さをテーマにしており、子どものならではの強さや純粋さ、そして残酷さが丁寧に描かれた作品です。
※この本には誕生日の子どもたち/感謝祭の客/クリスマスの思い出/あるクリスマス/無頭の鷹/おじいさんの思い出
6つのお話がはいっています。

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