クリスマスイブの呪いを解く。村上春樹 佐々木マキ 著『羊男のクリスマス』

こんばんは、花です。もうコートやマフラーが必要なくらい寒くなってきましたね。
12月にはいり、街中のどこにいてもクリスマスを感じます。

今月は冬に関連した本を紹介しようと思います。
1冊目は作家・村上春樹 と漫画家/絵本作家/イラストレーター・佐々木マキが一緒につくりあげた共作。

「何でもいいからまず絵を描いてください」「その絵をみて話を考えます」と村上春樹が佐々木マキに伝え、佐々木さんが絵を描き、その絵から村上さんが物語をつくり、その物語を読んだ佐々木さんが挿絵を描いて完成したそうです。

この本は私が村上春樹さんの作品の中で1番初めに読んだものでした。
字も大きく佐々木マキさんの絵がとてもかわいいので、「村上春樹作品、ちょっと読んでみようかな」という方にもオススメです。

羊男のクリスマス

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聖羊祭日にドーナツを食べた呪いの為クリスマスソングが作曲できない羊男は、穴のあいてないねじりドーナツを手に秘密の穴の底におりていきました。
暗い穴を抜けるとそこには――。
なつかしい羊博士や双子の女の子、ねじけやなんでもなしも登場して、あなたを素敵なクリスマスパーティにご招待します。

このお話には村上さんの本を読まれている方にはなじみのあるキャラクター「羊男*」が登場します。私は羊男が愛らしくて一番好きです。 *……「羊男」は羊の衣を被った人間

わた本ライター のいさんが書かれた記事に羊男のお話(図書館奇譚)が紹介されていて、とても読みやすくて面白かったです。
こちらの記事→

あらすじ

ある夏の日、羊男はクリスマスのための音楽を作曲して欲しいと羊男教会の羊男から依頼を受けます。意気揚揚と作曲に取り組む羊男ですが全くうまくいかず11月が終わっても何もできていません。クリスマス直前になり、羊博士に相談すると、羊男が作曲できないのは呪いがかかっているとのこと。
そうして羊男はこの呪いを解くために旅に出るというお話です。

理不尽な呪い

羊男は呪いをとくために旅にでるのですが、この呪いというのが
昨年の12月24日にドーナツを食べてしまったのが原因なのです。

羊博士曰く、12月24日は聖羊上人が夜中に道を歩いておられて、穴に落ちて亡くなられたという神聖な日。だからその日に穴のあいた食物を食べてはいけないとのこと。

なんとまぁ理不尽な呪い……。

理由はなんであれ日常生活の中で理不尽なことって数多くあります。

状況は違いますが、羊男の「なんで僕が…」と思う気持ちは私も共感してしまいました。

個性豊かなキャラクター

呪いを解く旅にでた羊男は途中で様々な人物に出会います。
ひねくれ者ですぐ泣く左ねじけ、森の中でしか生きられない双子、掃除が苦手な海ガラス、人の苦しみを笑う右ねじけ、姿を見せないなんでもなし……。

個性豊かなキャラクターたちは全員個性的で一癖あります。苦手とまではいわないけど扱いづらい。
そんな一癖あるキャラクターは人が隠しもっている裏側の内面のようだと思いました。

最後に

この本を初めて読んだのは中学一年生でした。(学校の図書室で、体育の授業をさぼったときに)
当時は面白くて不思議なお話だな~と思っていましたが、大人になった今読みなおすと不条理な設定にも納得してしまったり、ささないな発言にも注目するようになりました。

「ドーナツの穴を空白として捉えるか、あるいは存在として捉えるかはあくまで形而上学的な問題であって、それでドーナツの味が少しなりとも変るわけではないのだ。」これは村上春樹 著「羊をめぐる冒険」に出てくる台詞です。
村上作品にはドーナツがよくでてきます。
なぜドーナツなのだろう、と出てくる食べ物一つにも意味が込められているのでは?と考えてしまいます。
個人的に勝手にテーマを見つけだし、疑問を持ち、それについて良く考え、答えを出すことができるのも村上作品の面白いところです。
大人でも子どもでも楽しめる一冊なので、是非クリスマス前に読んでみてはいかがでしょうか。
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ABOUTこの記事をかいた人

1997年生まれ、静岡県出身。 好きな作家:吉本ばなな、恩田陸、森絵都、村上春樹、星新一、伊坂幸太郎、乙一、舞城王太郎、窪美澄 (敬称略) 映像制作をしたり本屋で働いたりして過ごしています。