最愛の人はブスでした。燃え殻 著『ボクたちはみんな大人になれなかった』

東京で出会った「最愛のブス」は僕より大切な人でした―――。

 

こんにちは、突然ですがみなさんはTwitterでどのようなことを呟いていますか?

私は1日1回くらいは呟くようにしていますが、好きな時に好きなことを発信できるTwitterは楽しいものだなと思っています。

さて、今回紹介するのはTwitterで人気の作家 燃え殻 さんのデビュー作。『ボクたちはみんな大人になれなかった』

とある43歳の男の過去の恋愛と仕事についての記憶の物語。

著者の燃え殻さんはテレビの美術制作の会社で働く傍らつぶやくツイートが人気になり、なんと現在、フォロワー約22万人以上です。140文字いっぱいに綴られた彼の日常は面白く、どこか寂しく惹きつけられます。

あらすじ

17年前、渋谷。大好きだった彼女は別れ際、「今度、CD持ってくるね」と言った。それがボクたちの最終回になった。17年後、満員電車。43歳になったボクは、人波に飲まれて、知らないうちにフェイスブックの「友達申請」を送信してしまっていた。あの最愛の彼女に。

元カノの呪いは永遠

 

彼女がこちらをギロリと見た。唐突に「『ビューティフル・ドリーマー』は何度観ましたか?」と質問された。ボクの答えは2度だった。
彼女は「すくなっ!」とその日初めて腹から声を出した。

 

これは主人公と彼女が初デートでかわした会話なのですが、私は正直「ひぇ〜」と思いました。

きっと主人公はこの先ずっと『ビューティフル・ドリーマー』を観るたびに、彼女のことを思い出すはずです。私はこれを「元カノの呪い」と名付けたい。

呪いというと物騒ですが、新しい恋をしてもきっと消えないのだから呪いです。

そういった些細な、しかし頭の隅に居続ける記憶は男女問わず誰にでもあって、ぼーっと髪を乾かしているとき、仕事の帰り道、日常の何でもない瞬間にふと思い出す。

「そういえば、あの人、今なにしてるかな」って、すごく知りたいわけでもないのに出てくるのです。

誰かに話すほどでもないけど、忘れられないものとしてずっと胸の中にいるんだと思います。

主人公の経験してきたことはよくあることではないし、わかりやすく共感できるストーリーではないのに、多くの人がこの作品に共感してしまうのは誰もが「忘れられないもの」や「忘れたくないもの」を持っているからかなと思いました。

 

文庫版にはエッセイ&漫画も

この作品はもともとウェブ連載していた作品を書籍化したものです。

文庫版は2018年11月28日にでるそうで、シンガーソングライターあいみょんエッセイ「アンサーソング」・相澤いくえ 書き下ろし漫画・兵庫慎司 解説が収録されています。

お話の中には90年代のカルチャーが物語の中に散りばめられており、小沢健二や電気グルーヴという単語がでてきますが、この90年代カルチャーが詰まった本に今のカルチャーを生きるあいみょんがエッセイをかくこともとてもワクワクしますね。

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