誰でも小説がかける日がくる? 中村航,中田永一 著 『僕は小説が書けない』

今回紹介する本『僕は小説が書けない』は二人の作家、中村 航と中田 永一が小説執筆支援ソフトをつかってつくられました。

 

私がこの本を購入したきっかけは人工知能の力が加わった物語ってどんなものなんだろう……と興味が湧いたからです。

中村航さんが、彼の母校、芝浦工業大学と開発した「ものがたりソフト」を使って作品プロット*を作り、
それに沿って400字積め原稿用紙5~10枚ずつを交互に書いていったそうです。

共作ということで、ところどころに個性がでたり、どちらの文章かわかったりするのかな?
なんてことを考えてよみはじめましたが、全く分かりませんでした。

*プロット……物語の大筋に関連する出来事を簡潔にまとめたもの。ストーリーの設計図。

 

あらすじ

不幸を招き寄せる体質を持った高校1年生の光太郎
その名も不幸力(ディスセレンディビティ)。

数年前に知った家族内に抱える問題が原因で彼が書きはじめた小説は中途半端なままです。

そんな光太郎は先輩である七瀬との出会いをきっかけに文芸部に入部することになる。
個性的な部のメンバーに囲まれ、小説の書き方を学ぶ光太郎は「小説がかける」ようになるのか。

物語を紡ぐことを通じて光太郎の葛藤と成長を描いた青春小説。

物語をつくるのに必要なこと

光太郎が小説の書き方ついて悩んでいると、二人の文芸部OB 原田と御大が別々の考えをもったアドバイスをしてきます。

原田はシナリオ論、御大は精神論・感性を大切にしているのです。

理論を大事にする原田は「自分には才能が無い」と割り切って、シナリオ理論や脚本のテクニックを磨く理論派のプロの作家です。
普段はゲームのシナリオを書いたりして生計を立てている努力の鬼。

彼は光太郎のかいた原稿を読む前に「君には才能がない」と言います。
だから努力するべきだし、勉強してシナリオ論にしたがってかけばある程度のものはかける。というのが原田の意見でした。

一方、御大は一切の勉強をせず、ひたすら文章を書く作家志望のフリーター。

原田の現実的な言葉にショックをうける光太郎をみていると、
平凡だと自覚しつつも、「なにかの才能」が眠っているんじゃないかと、
なんの努力もせず期待してしまう自分の学生時代を思い出しました。

小説の中で登場人物の台詞を通して小説の書き方を学べるところも面白く、
読んでいるうちにシナリオ論への興味がわきました。

作家を志す方も志さない方も、開いてみると今の自分にはない考えを知ることができるかと思います。

最後に

 

読む前は小説執筆支援ソフトとつかって書くなんて、いったいどんな物語になるのだろう?と思っていましたが、
違和感がなく、機械によってつくりだされた物語だということを忘れて読んでいました。

この小説でつかわれた「ものがたりソフト」は補助ツールですが、今の人工知能は小説も書けるそうです。

私の知っているAIというとLINEなどのアプリで会話もできるマイクロソフトの人工知能AIりんなちゃんや、
お掃除ロボットルンバなどがありますが、これからもっと多くのAIが身近に増えるのかも……思うとワクワクします。

 

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