あの娘が僕をフルボッコ! 長谷川集平 著『パイルドライバー』

みなさんは小さなころに絵本を読んでいましたか?

きっと絵本を読んでいた方は“おきにいりの一冊”があったのではないでしょうか。

そこで今日は「私のおきにいりの絵本」を紹介します。

幼稚園生のときに母が買ってきてくれたもので、今も大好きな本です。
バイブルといっても過言ではありません。

著者は長谷川集平さん、タイトルは『パイルドライバー』 

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以下、ネタバレを含む。

あらすじ

主人公・ブンくんは大好きな同級生の女の子・エッちゃんにいじわるをしてしまいます。
スカートめくりをしたり、弁当にネズミの死骸をしのばせたりするのです。

そんなある日、道端で偶然、エッちゃんに出会います。

「ブンくん!」と言いながら、少し睨んだような目で見つめるエッちゃんに、
ブンくんは(本当は嬉しいのに)強い口調で「ななな、なんだよ。急にそんな目しちゃってよー」言います。

すると、エッちゃんは突然「ファイアアアアアーッ!」と口から炎を吐き出し!
続けてウエスタンラリアット! 卍固め! 最後にパイルドライバー!!※1

どうしたエッちゃん!? どうなるブンくん!?

※1パイルダライバー…プロレス技の名前。
レスラーがその技を出せば試合に決着を付けられるとされる技なので、最後に行われることが多い。

強すぎたエッちゃん



調子に乗りすぎたブンくんに(いい加減にしろよ☆)という感じで、エッちゃんは様々なプロレス技をきめました。

ブンくんはお弁当にネズミを入れたんだから、
ボコボコにされるのは当然といえば当然なのですが、
あのかわいいエッちゃんが!?とブンくんも私もビックリです。

普段は清楚でかわいい彼女は本当はとっても強いのです。
最高のギャップですね。

 

わたし、ほかにもいっぱいあぶない技を持ってるの。でも、このことだれにもないしょだからね。

と言ってさらりと去るエッちゃん。

かっこよすぎやしませんか、とても魅力的です。

最後のページには泣きべそで大の字で道端に寝転がるブンくんが描かれています。

その日、ブンくんは、 エッちゃんのことを いっそう好きになった。

 

わかる、わかるよブンくん……。
エッちゃんの秘密を知って、さらに好きになるブンくんにも共感してしまいます。

 

大人になってから気になったこと

小さなころに読んでいた絵本を読み返して、気になったことが2つあります。

 

背景に謎の戦車

文章ではまったく触れていないのですが、背景に戦車が登場します。

これは「男の子の強さみたいなものを象徴するため」に描いているのか、
もしくは「ブンくんの頭の中がエッちゃんでいっぱいで戦争にも気づかない」という表現なのか……。

家や木々でしたら背景に描かれていても気に留めませんが戦車となると、どんな意図なのか気になります。

名前の由来

「ブンくんとエッちゃん=文と絵」なのではないかと私は思いました。

文と絵という対照的なふたりを表すためなのか、絵本における文と絵の関係の隠喩なのか? と思ってしまいましたが、考えすぎかもしれません。

でも、そうやって小さいころに好きで読んでいた絵本を今、大人になってから読み返すと
新しい発見や疑問が生まれてとても楽しいです。

 

最後に

今回の書評はほぼネタバレになってしまいましたが、
ストーリーはもちろん、長谷川さんの大胆な色使いの素敵な絵は何度見返しても楽しいです。

気になった方はぜひ読んでみてください。

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