幽霊屋敷で起こる9つの物語。 恩田 陸 著『私の家では何も起こらない』

みなさん、ホラー小説は好きですか?

私はホラー小説を読むと、天井のシミやお風呂場の窓に「なにか」がいるような気がして怖くなります。

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今回、私が紹介するのは恩田陸さんのホラー小説「私の家では何も起こらない」
丘の上に立つ幽霊屋敷を舞台にした連作短編集です。

舞台が海外のお屋敷なので、日本の幽霊像が苦手な人でも読めると思います。

「何も起こらない」とわざわざ言われると、なにかでるのだろうと思いますよね。

私は好奇心でこの本を手に取りましたが、思っていた以上に幽霊がわさわさ出てきました。

しかし、想像していた怖さとは違い、淡々と物事が進んでいき静かな怖さです。

お話は9つに分かれていて、時系列は飛び飛びですが混乱することもなく読むことができるのです。
読み終えた後に(読めば読むほど面白いってこういうことか…..).と唸りました。

 

あらすじ

小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。幽霊屋敷に魅了された人々の記憶が奏でる不穏な物語の数々。アップルパイが焼けるキッチンで殺しあった姉妹、床下の動かない少女の傍らで自殺した殺人鬼の美少年…。そして驚愕のラスト!ようこそ、恩田陸の幽霊屋敷へ。

 

第一章では屋敷に越してきた女性作家が、本物の幽霊屋敷を探している男からの質問攻めをされるシーンから始まります。
幽霊はいないと言い切る作家。どうしても幽霊屋敷であってほしい男。

編の最後、男が何かしらの事件に関わっていたことと、幽霊の影がちらついて次に繋がっていきます。

そして第二章からはこの屋敷で起きた乱雑な事件や過去が明かされていきます。

悲劇の連鎖が見事に起きている様子はゾクゾクしますよ。

ちぐはぐな会話

 

一人ならば気付かぬ不幸を、お互いの姿を鏡として、合わせ鏡のように増幅させてしまうことがあるんです。

 

9つの物語の中で1番不気味だったのが、第四章「あたしたちは互いの影を踏む」

姉妹がアップルパイを焼きながらお互いを刺し殺す。という話なのです。

会話の掛け合いで物語が進んでいきます。

仲の良い姉妹が晴れた日の明るい午後に屋敷のキッチンで楽しいおしゃべりをしているのですが、その会話の中で彼女たちは過去のことについて話します。

その中で徐々に会話がかみ合わなくなり、片方の発言がおかしくなる様子が不気味です。

最終的に気が狂って刺しちゃうんですけど、人が豹変する姿って幽霊より怖いかもしてません。

 

幽霊と人間、怖いのはどっち?

読み進めて気付いたのは幽霊が悪さをして人が狂っていく…というような話ではなく、罪悪感や欲望から生まれる自分自身の闇や幻覚に怯えた人間たちが悲劇の連鎖を起こしていく話だということです。

後半では「生きている人間のほうがこわい」に同意してしまいそうになります。

が、最後の最後に「え? あれ?」って思うような文章が太字で綴られていて、今までの考えがごちゃごちゃにされます。

これは完全に恩田陸ワールド。

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生者も死者も記憶がある限り、存在し続ける。というのが私の感じたことで、
この小説は人によってかなりとらえ方が変わってくるだろうなということ思いました。