さみしいと言えなくなった人へ。吉本ばなな 著『おとなになるってどんなこと?』

自分が「おとなになった」と思った瞬間はありますか?

私は自分が20歳になったとき、年齢的には「大人」だけど今までとなにもかわらない、このままじゃだめな気がする。なんてことを悶々と考えていました。

そんなことばかり考えては落ち込んでいましたが、そんな時に出会い、心をゆるりとさせてくれた一冊。吉本ばななさんのエッセイ「おとなになるってどんなこと?」を紹介します。

高校生向けにかかれているそうですが大人も子供も関係なく勇気をもらえる内容です。
この世の中のひとつひとつを肯定してくれているような強くて押しつけがましくないお守りのような言葉が綴られています。

この本では著者の吉本ばななさんが8つの質問に答えています。
「第1問 おとなになるってどんなこと? /第2問 勉強しなくちゃだめ? /第3問 友だちってなに? /第4問 普通ってどういうこと? /第5問 死んだらどうなるの? /第6問 年をとるのはいいこと? /第7問 生きることに意味があるの? /第8問 がんばるってなに?」

どれも生きている中で誰もが一度は考えたことがあるような疑問に対し、著者の実体験をもとに「こういう考えもあるよ」といったかんじで1問ずつ丁寧に応えてくれます。
その中でも特に私の印象に残った2つを紹介します。

メタに見る

大人になるということは、つまりは、子供の自分をちゃんと抱えながら、大人を生きるということです。

第1問「大人になるってどんなこと?」では著者が子供時代にとあるかなしい体験をきっかけに、その悲しみのなかにいる自分だけに目を向けることのではなく、その場にいてくれた他者への思いやりを優先させたというエピソードが綴られています。

これだけでは綺麗ごとで終わってしまいそうなのですが、そこはさすがの吉本ばなな。
他者を思いやることはもちろんのこと、その時悲しかった自分の気持ちが大切だと説いています。

いちばんだいじなことは、自分の中にいる子どもを認めてあげることです。そうすると心の中に空間ができて、自分を大丈夫にしてくれるのです。

心が感じた「かなしみ」と向き合うことは簡単なことじゃありません。自分に嘘をついたほうが楽なときもいーっぱいあります。
弱さや未熟な部分も含めて自分を認めて、さらにその自分をメタに見ることをできたならおとなへの第一歩なのかもしれません。

 

これ以上、愛せないな

第5問「死んだらどうなるの?」では著者の母親の介護からお別れまでのエピソードが綴られています。その中で自分の親に対して、看病中のときに「これ以上、愛せないな」と気づいた。とかいてありました。

テレビ等をみていると「いい娘(息子)」「いいともだち」にならなくてはいけないような気持になり、「もっと愛さなければならない」と考えてしまうことがあります。

もちろん育ててくれた親だったり、大切にしてくれる友人たちは出来る限りの愛をもって接したいです。でも自分のできる範囲をこえてしまうとその愛は嘘に変わってしまいますし、そんな自分のことは好きになれないということに気付かされます。

最後に

この本には紹介しきれないほど多くの光をもつ言葉が綴られています。

何を大切にしていいか分からなくなってしまったとき、すごく落ち込んでしまったときにも読めます。
そして読んだ後に「あぁ、読んでよかったなぁ」と心から思える本です……。
ぜひ、手に取ってみてください。

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