こんにちは、まき貝。です。
突然ですが、皆さんはメガネはお持ちですか。
最近は、視力を補うものとしてだけでなく、
おしゃれのアイテムとしてもすっかり定着しましたね。
私も、普段はコンタクトですが、度数の入ったものや伊達メガネなど複数所持しています。
初めてメガネを手に入れた十数年前のことを思い出してみると、
当時、メガネはこんなに気軽に購入できるものではなかったように思います。
1つあたり、万単位の金額を出し、そのメガネを大切に使う。
買い換えや複数持つことは少なかった、そんな印象です。
当時、母に対して「高い買い物をさせてしまったなぁ」と、
子供ながらに気を遣ったのを覚えています。
この十数年でメガネの在り方は大きく変わりました。
それは自然とそうなったのではなく、業界を勝ち抜くために、
各社が生み出す企業努力の結晶によって生まれた変化なのではないかと感じます。
■ロープライス
■洗練されたデザイン。
■軽さの追求。
■ブルーライトのカット。
■著名人やキャラクターとのコラボレーション。
メガネをかけたとき、「見えるようになる」というのはもちろん、
如何に時代に沿った付加価値をつけるか、そのために凝らされた工夫や練られた戦略が、
今もなおメガネ業界を変革し続ける動力源になっているのではなないでしょうか。
今回ご紹介させていただくのは、
倒産寸前にあったメガネチェーン店、オンデーズの再生を描いた物語、
『破天荒フェニックス』です。

「再生」と簡単に書いてしまいましたが、再生までの道のりには苦難、苦難、また苦難。
銀行とのリアルな交渉。
生々しい裏切り。
とにかく続く苦難の数々ですが、だからこそ彼らが掴みとる成功の一つ一つに心が踊ります。
働く人の心を熱くする、そんな一作です。
あらすじ
小さなデザイン会社を経営していた田中修治、30歳。
彼が「絶対に倒産する」と言われたメガネチェーン、オンデーズを買収するところから物語は始まります。
新社長として、会社の再建や世界進出を目指す中、次々と起こる苦難。
資金ショート、社員や取引先との衝突や裏切り、幾度となく危険にさらされるオンデーズですが、
その度に田中社長と社員達は団結力を強め、危険から脱します。
正解不正解が見えない中で判断を迫られるも、果敢に攻める田中社長とそれを支える社員たち。
彼らの先に待つものは、そしてオンデーズはどうなるのか…!
著者であり、株式会社オンデーズ 代表取締役社長の田中修治さんの実話を基にした、
ビジネスとエンターテインメントの融合作品です。
経営者とは
オンデーズを買収した直後に訪れた資金ショートの危機。
月末、田中社長とその右腕であるCFO奥野良孝さんにこんな会話が交わされます。
「今月末は、どうやらなんとかなりそうです」
「良かった。それで全部支払った後、月末の預金残高はいくらくらい?」
「20万です」
「残高が20万・・・・・・」
これは、個人の残高ではありません。
企業の残高金額なのです。
ほんの数年、経理業務に就いていた身からすると(壊滅的に数字に弱いのに何故この業務につけたのか…)、この金額は寒気がするほど恐怖を感じます。
オンデーズはこんな会話がなされるほど、資金繰りにおいて窮地に立たされていたのです。
翌月も同じような、否、それ以上に苦しくなる資金繰りですが、
二人のこんな会話に胸が熱くなります。
「了解。銀行交渉は奥野さんに全部任せる。とりあえず従業員の給与だけは確実に遅延しないで支払えるようにしといて。後の売上は俺がなんとかするから」
「わかりました。ただし最初に断っておきますが、自分は嘘が嫌いです。粉飾は絶対にしませんよ。これまでの経営陣がのこしていった膿も、今判明しつつあるだけで相当でてきています。これらも時機が来たら、全て解明してオープンにしていくつもりです」
「わかった。任せる」
丸投げではなく、仲間である奥野さんを信頼したうえでの「任せる」という言葉。
社員の給与は絶対に守れという姿勢の田中社長。
嘘を嫌い、真っ当な流れで仕事をするという奥野さん。
経営者なら当たり前だろそんなこと・・・と思われる方もいますよね。
その通りです。
経営者=その企業の責任者なのですから。
ですが、昨今のニュースを見て、みなさんは何か感じていらっしゃるのではないでしょうか。
今年正月明けに世間を騒がせた振袖レンタル・販売会社については、皆さんも衝撃を受けたかと思います。
検査データの改ざん、倒産、粉飾決算・・・。
お客様、取引先、そして社員に対し、責任を果たしているとは言えない企業もあるのです。
田中社長の言動は苦難に次ぐ苦難の中でもまっすぐで、
でも弱さも見せてくれる、そんな田中社長に人間らしい感情を感じます。
皆が失敗から脱したときの安堵感。
成功したときに思わず溢れる涙。
読み進めているうちに、いつのまにか応援してしまう、そんな場面がたくさんあり、
思わずオンデーズという企業のファンになっている自分がいました。
オンデーズに行ってきました。
苦難の数々から再生したこのメガネチェーン店をこの目で見てから書評を書きたい。
そんな気持ちから、いてもたってもいられなくなり、お店を訪問しました。
▼OWNDAYS オンデーズ

オンデーズの今の姿です。
本作のような過酷な時代があったことなど微塵も感じさせません。
高ぶった気持ちのまま店内に入ると、
洗練されたデザインと、高級感のあるメガネの数々に心が躍ります。
何よりも、本編で苦難の末に生まれたブランド、
AIR ultem
FUWA CELLU
John Dillinge...
これらが実際に自分の目の前にあるという現実に、文字通り胸が高鳴りました。
綺麗に並べられたメガネは、どれも試着したくなるものばかり。
軽さ、つけ心地に驚いていると、スタッフの方がナチュラルなタイミングで声をかけてくださいます。
ですが、私は目を合わせることが出来ず、挙動不審な態度を取ってしまいました。
なぜ?
この時の私は、実際のオンデーズを見て、
破天荒フェニックスでの苦難や成功のあらゆる場面と重ねてしまい、
異常なほど気持ちが高ぶった結果、涙で目が潤んでいたからです。
私の場合は、少し感情移入が強かったかもしれませんが、
読み終わった後には、きっと皆さんもオンデーズに行ってみたくなるはずです。
もしそうなったときには、ぜひ足を運んでみてください。
本作に登場するブランドやスタッフの皆さんの温かい接客に、きっとオンデーズのファンになってしまうはずですよ。
(さっそく欲しい型が見つかりました・・・!)
※スタッフの方には書評を書く際に使用させていただきたいことなど、
事情を説明し、許可をいただいたうえで写真撮影をさせていただきました。
(株)オンデーズ 田中社長 講演会のお知らせ
11月27日、東京は表参道にて、田中社長の講演会が開催されます。
田中社長流のリーダーシップ論や本作では語られていない裏話などもご展開いただけるようです。
破天荒フェニックスで心を熱くした方、ぜひご参加されてはいかがでしょうか。
イベントページはコチラ▼
【破天荒フェニックス】田中 修治氏 講演会 in東京