【特集/食欲の秋】140字で語るシンプルで力強いごはんのこと。寿木けい 著『わたしのごちそう365』

はじめまして!瀬奈サヲリ(@sennna_saori67)と申します。

今日から書評を書かせていただくことになりました。

新しい本との出会いのお手伝いができたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いします!

書評第一弾の今日は、「食欲の秋」ウィークということで、食べ物にまつわる本をご紹介します。

疲れ切って「お腹はすいてるけど、作るのは面倒くさいなあ」と思う日って、ありませんか?

そんな日に開くのがこの本。寿木けいさんの、「レシピと呼ぶほどでもない わたしのごちそう365」です。

140字で語るシンプルだけど力強いごはんのこと

この本は、作者の寿木けいさんが、もともとTwitterで「きょうの140字ごはん」というアカウントで発信していたレシピを、一冊にまとめたものです。

とはいえ、書籍化する際にありがちな大幅な加筆修正などはほとんどありません。

一つの料理につき説明は140字以内、写真も完成品の一枚だけという潔さ。

Twitterの雰囲気をそのまま本にしたような味わいがあります。

短い文字数で説明する料理なので、大げさな工程やごてごてとした味付けはあまりありません。素材の力・味を生かした、シンプルだけど力強く、それでいて丁寧な料理ばかりです。

レシピは12ヶ月のカテゴリにわけて掲載されていて、旬の食材や季節の行事などを感じさせるメニューも多く掲載されています。

作る力・食べる力が湧いてくるレシピ

わたしはこの本を、掲載されているレシピをそのまま作るというよりも、ぺらぺらと読んで料理に対する気持ちをあげて台所に立つ気力を出すのに使います。

わたしは料理をするのは好きですが、疲れ果ててどうしようもない時には、「もう今日は出来合いでいいや」とか「コンビニで何か買ってこよう」と思いがちです。

けど、そんな食事では元気が出ないのはわかりきっています。

必要なのは、きちんと栄養になってわたしの身体を生かしてくれるごはん。

この本には、そんなごはんがたくさん載っていて、読むともなしに眺めている間に、「あ、作ろう」という気持ちになってくるのです。

各月の章のはじめに掲載されている短い文章も、季節に向かう気持ちを高めてくれます。

わたしが一番好きなのは、10月の文章。一部抜粋してご紹介します。

朝一番に湯を沸かし
乾いた台所に湯気を放つ。
蒸すのは人参、きのこ、さつまいも。
まるごと潰して乳を注ぎ
マーブルをぐるりと混ぜる。

マザーグースのような、唄うような言葉運び。もうこの部分だけで美味しい。

疲れ切った帰り道で嗅ぐ、隣家の夕食の匂いのような、そんな食欲の深いところに触れるのがこの本のレシピの特徴です。

食べることに対する、実験・創作・遊び心

この本には、「え、それ合うの?」と思うよなレシピが、ぽんと登場します。

例えば、10月の章の最初のレシピ

鍋にオリーブ油とバターをあたため、レモンをしぼる。パスタゆで汁を食えわえて乳化させ、塩。酸っぱすぎたら砂糖を足すと角がとれる。ゆでたパスタを加え最後にパルメザンチーズ。無農薬国産レモンが手に入ったので早速作った。

わたしは、「レモン味のパスタ」など食べたことがないのですが、こういういわゆるスタンダードではないレシピが、気負わずに出てくるのもこの本の面白いところ。

台所で、遊び心をもちながら日々実験を繰り返している。そんな作者の姿が見えるような気がしませんか?

「料理」や「食べること」に対して、もっと自由でいいんだよ、と思わせてくれる。

きっちりと手順が書かれたレシピ本よりも、この本をめくることが多いのは、楽しみながら作って食べる気持ちを思い出すためなのかもしれません。

普通のレシピ本に疲れた時には、ぜひ思い出して欲しい。

料理が好きな人へのプレゼントにも、オススメの一冊です。

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