小さくても本当のことをしたい。渡邊 格 著『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』

「小さくても本当のことがしたい」

高校卒業後、7年後に大学に入学し卒業した30歳の新卒社員のパン屋創業物語です。

わたしが10月末に福岡県の糸島にある「食べ物、仕事、エネルギーを自分たちでつくる」をコンセプトにした「いとしまシェアハウス」へ行った際に、
そこのオーナーさんがオススメしてくれたのがこの「腐る経済」本との出会いでした。

働けば働くほど豊かになる?
利潤は増える?
効率さを求めると労働は?

漠然と理解しているように思っていた「資本主義」の構造を、この田舎のパン屋の「腐る経済」を読んで改めるべき部分に出会いました。

「労働力」という「商品」

「商品」の条件

マルクスの「資本主義」によると、

  • 「商品」の条件 その1:使用価値があること
  • 「商品」の条件 その2:「労働」によってつくりだされていること
  • 「商品」の条件 その3:「交換」されること

とあります。

パン屋さんであれば、パンには「誰かが食べたい」と思う限り使用価値があり、職人によって生み出されるので労働がベースにある、そして、手に入れたいと思う者によってそのパンは交換される。
例えばこれが、”自分のために作った”パンであるのなら、使用価値、労働はあるけれど、その3にある「交換される」という部分はないので、「交換価値」がないため、「商品」の条件にはならない。(当たり前だけど・・・!)

「労働力」という商品

  • 「労働力」という商品の特徴 その1:買い手は、資本家(経営者)に限られる
  • 「労働力」という商品の特徴 その2:「交換価値」は給料

「労働力」という商品を買うのは資本家だけで、その時の「使用価値」は自らに代わって労働者が商品を作ってくれること、となります。そして労働も「商品」である以上、「交換価値」を持ち、この価値が「給料」に変わります。

では、この給料がどのようにして決まるか?
ここでは、「給料」とは、労働者とその家族の生活ひと子育ての費用と技術習得にかかる費用を足し合わせた金額、とあります。

つまり、労働力に変換する交換価値とは、労働者が毎日元気で働く状態を作ること
マルクスは、このことを「労働者の生産性」と呼んでいます。

だから、途上国と発展国では基本的な生活費の違いから差が出ていたり、なるのが大変な医者や弁護士のような職種の給料が高いのは必要な知識や身に付けるまでにかける教育費などのコストを後払いのような形で給与に反映されていると書かれています。
この部分を拝読して、「労働力に変換する交換価値とは、労働者が毎日元気で働く状態を作ること」という状態をきちんと意識できている会社や雇用主はいるんだろうか・・・?と少し疑問になりました。

近頃、外国人技術生が、月7万円程度で休みなく働かされているニュースが問題になっていたり、
「利潤」を得るために度が超えた長時間労働など、「労働力」に変換する給与としての見方があれば、増えないはずなのではないのかなぁと思います。

 

パンを作る過程での変化

著者は、大学卒業後30歳の新卒社員として、ブラックな会社で勤め、疑問を感じて、自分で「パン工房」を開くようになり、
その過程で、「菌」について学び、菌との付き合い方を通して人生の展開が変わっていき、「田舎のパン屋」が完成します。

そこで実践する、働く人、地域の人の還元する生活と暮らしが丹念に書かれています。

ぜひ拝読ください・・・!

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ABOUTこの記事をかいた人

鹿児島出身、関西在住。社会人2年目。 わたしの本棚 ライター 好きなジャンル:恋愛、ビジネス、エッセイ 好きな著者:江國香織、森絵都、東野圭吾、伊坂幸太郎、吉本ばなな、はあちゅう(敬称略) 商社でプロダクト関連のデザインのお仕事をしています。 書くこと、デザインすることをお仕事にしていきたく奮闘中・・・!